【ANOTHER】太陽【SIDE】
「私達は、ただの主従関係ではない。私達は、仲間であり、家族なのよ!!」
私、アルテミスは、『女王様』に身体を起こされます。ペルセポネが権能で回復をしてくれました。
先程までの私は、クロn……いいえ、ゼウスを主だと思い込み……そうだ!『女王様』に、剣を向けたことも!!
そんな私を『女王様』は、『仲間』だと……『家族』だと、言ってくれたのです!!
心が、ぽかぽかと温かくなっていると、ミトラ様が近付いてきます。
私の脳裏で、先程の戦闘が思い返される……
仲睦まじく、寄り添う『女王様』とミトラ様!!
あぁぁぁぁぁっ!!唐突なNTRにより、脳が破壊されますっ!!
「アルテミス、無事で良かった。貴殿は、かつて光の中で輝く戦士だった。その輝きは、今も消えていない!ゼウスの影から抜け出し、再び、その光を取り戻すのだ!!」
ミトラ様が、私に話しかけます。
……待てよ?これは『女王様』の、またとない『機会』なのでは?
ハーデス殿下が即位された後に、『女王様』は『聖国』のミトラ様の元へ……あり得る!!
つまり、ミトラ様こそ『女王様』の未来の伴侶であり、私の未来の主かも知れません!!
「ミトラ様……私の心を信じてくれた、あなたに、感謝いたします。私の剣は、あなたのために振るわれる!」
『女王様』の幸せを考えれば、臣下である、私の『想い』など!!
「ああ、アルテミス!!何か知らないけど、ミトラへの『忠誠心』まで芽生えちゃってるの、実に、あなたらしくて素敵ね!!……私のことなんか、忘れちゃったのね!?」
あれ?何か『女王様』が、不貞腐れ気味ですね?
……私は、対応を間違ったのかも知れません。
「ミトラ様を敬うのは、『女王様』が彼を信頼しているからです……それが、私の『忠誠』の証です!」
取りあえず、無難に言い訳をします。
そうだ!『女王様』に、その気はなくとも『家族』と呼ばれて嬉しかったので、お礼を言いましょう!!
「……あなたの言葉と信念は、私に届きました。ありがとうございます!」
『女王様』は、はにかんだ笑みを向けてくださるのでした。
玉座の間にて、ゼウスの『真の太陽神』の攻撃が炸裂します。
「……『真の太陽神』の一撃を食らって、なお立っているとは……」
ゼウスの声に、信じられないという色が滲みます。
それもそのはず、ミトラ様が防御に入り、見事、耐え抜いたのです!!
「 不 可 能 を 可 能 に し た の か !? 」
しかし、ミトラ様は、笑いながら答えます!!
「 当 た り 前 の こ と を 、
当 た り 前 に し た ま で だ !!」
そして、誇らしげに告げます!!
「……貴様の謀りではあったが、『太陽神』達の『試練』は、我を、この境地へと導いたのだ!!」
これこそが『太陽』なのか!!
裏切られても、権能を奪われても、しっかりと前を向く!
人生において『冬』は、たくさんあれど、『冬至』を経て再び燃え上がる!それが『太陽』の本質なのか!!
……そうだ!きっと、『女王様』も!!
その時、私の脳内で『月の女神』の知識と、天文学の知識が融合する……そのように感じました!
我が守護神『アルテミス』よ、感謝いたします!!
「……あとは、頼、んだ……ぞ!」
ええ、ミトラ様。任せてください!
「残念だったな!まだ『真の太陽神』の権能は撃てるのだ!!」
ゼウスは、勝ち誇ったように言います。
「……ゼウスよ、私は『太陽神』が、何たるかを教えられた!」
そうだ『太陽』とは、苦難を乗り越える力!
「真夏の暑い時期の太陽も『太陽神』を象徴するが、冬を乗り越えて『冬至』から、また燃え上がる太陽も『太陽神』の象徴なのだ、と!!」
周りの人々を照らし、協調する力!
「私は、あなたを『太陽』だと、認めない!!」
『太陽神』の力はなくとも、誰もが誰かの『太陽』になれるのだ!!
「我が守護神『アルテミス』よ!我に力を!!
その身で、偽りの『太陽』を封じ込めよ!!
『 日 蝕 』 !!」
皆の期待を背負い『女王様』は駆ける。
『女王様』は『サートゥルナーリアの大結界』に『祝詞』を唱えます!
そもそも『大結界』は『サトゥルヌス』様によって設置されましたが、その『根源』は『強制労働や差別を廃止する法律』であり、それは『王国』の国民の手に委ねられています。
「『王国』を守護する『サートゥルナーリアの大結界』よ!
聞け、汝の本懐を!!汝は『支配』するものに非ず!!
全ての人に『自由』と『自立』を与えるものなり!!
今、偽りの『支配者』を討つ力を、我に与えよ!!」
天井が破壊された玉座の間に、『サートゥルナーリアの大結界』の金色の光が差し込みます!
そして『女王様』は、権能の覇気を高めます!!
「 う あ ぁ ぁ ぉ ぁ ぁ っ !! 」
『女王様』は『大鎌』を召喚しました!
……確かに『サトゥルヌス』様の武器といったら『大鎌』です。
農耕の神として、麦などを収穫する『大鎌』。
時間の神として、時を刈り取る『大鎌』。
ですが、今、召喚した『大鎌』は漆黒で、虐げられた者の怨嗟が聞こえてくるようです!
『女王様』の『大鎌』が、ゼウスを斬り裂きました。
奇跡的に生きていたミトラ様とゼウスは、皆に詫び、許されました。
『聖国』の戦士達は、王宮の『復興支援』のために一部が残りましたが、帰っていきました。
……やはり『女王様』とミトラ様の間には、何もなかったようです。
臣下として、喜ぶべきか、悲しむべきか……
『聖国』。正式名称を『神聖アリヤーナ王国』。
歴代の国王は、太陽神『ミトラ』を崇め、その名を継承することで神格を高めてきた。
当代のミトラ王は、幾多の『太陽神』を習合し、その権能を極限まで高めつつある。
その治世は正義と慈悲に満ち、国民から絶大な支持を得ている。
ミトラ王のもとには、宰相ゼウスをはじめとする十二の優れた臣が集い、『聖国』の繁栄を支えている。
そして、やがて『聖国』は大地『ガイア』において、もっとも輝かしい国となる。
……これは、もう少しだけ、先の未来の話である。