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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第5章・女騎士アルテミスと聖国襲来の女王様
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『聖国襲来』第7話・ペルセポネの覚醒

「ペルセポネ、あなた、もしかして『正気』なんじゃないの?ゼウスに従っている『フリ』してない?」


 葛葉様とミトラ王と分かれた私は、ペルセポネと対峙する。


 駆け引きとか面倒くさいから、ぶっちゃけて聞いてみた。


「あなたの洞察力には、いつも驚かされますわ『女王様』。でも、わたくしは、ゼウスに従うことを選びましたの。わたくしが、本当に『正気』かどうかは、あなた自身で確かめてみることですわ」


 ペルセポネは、私を冷たい目で見ながら、微笑む。


「ふふふ、ペルセポネ。やはり、あなたは面白いわ!」


 言うや否や、ペルセポネが、パチンと指を鳴らす。


 すると、鋭い氷柱が音を立てて迫る!


 ヒュン、と頬をかすめる冷たい刃!!……ゾクリとした悪寒が、背筋を走る。


「あらあら『女王様』、逃げていては勝てるものも勝てませんわよ?」


 小動物をいたぶるような笑み……そう、それこそがペルセポネの本性!


 幼き頃の、公爵令嬢としてのペルセポネは、絶対的な支配者だった!


「楽しいわね、ペルセポネ!鬼ごっこなんて、子どもの頃以来よね?」


 廊下を走りながら、精一杯の挑発をする。


 『サトゥルヌス』の権能を奪われ、『ソロモンの悪魔』も出払っている私には、まともな戦闘力はない。


「……うふふ、まだ気付いてないのかしら?今のあなたは、わたくしの玩具。猫がネズミをいたぶるように、可愛がってさしあげますわ!」


 正直、ペルセポネの笑顔が怖い。


 放たれる氷柱は、的確に私の服だけを破く!


「『窮鼠、猫を噛む』って、ことわざが東方にはあるらしいでチューよ?あんまり追い詰めると、噛んじゃいまチューよ?」


 階段を登り、また廊下を走る。息が上がってキツイ。


 ゼウスを倒したら、アルテミスと体力作りをするんだ!(やるとは言っていない)


「あらあら、何それ、面白いですわ!あなたが、わたくしの可愛いネズミのペットになってくださるなら、助命を考えてあげてもよろしくてよ!!」


 ペルセポネの放つ氷柱が、少しずつ私の皮膚を切り裂く。


 魔法のコントロールが、本当に凄い!


 私は堪らず、部屋ドアを開けての中に入る。


「うふふ……さっきの、あなたの言を借りるなら、まさに『袋のネズミ』。こんな狭い所に逃げ込んだなら、範囲魔法で殺してくれ、って言っているようなものですわ!」


 ペルセポネも、部屋に入ってくる。部屋のドアが、ひとりでに閉められる。


「……だけど、ここが何処か、わかる?そう、私の部屋よ!」


 ペルセポネは、嘲笑うかのように言う……


「『女王様』の部屋?けれど、それがどうしたと言うのかしら?……まさか!!」


 が、事態の深刻さに気付く!!


「そう、この部屋は『亜空間』……魔力の流れも、権能の波動も届かない。形勢逆転ね、ペルセポネ!」


 『サトゥルヌス』の権能で『()()()()()()』をしてたら『そう』なっちゃった、ってだけだけれどね。


 ペルセポネは、ドアを開けて部屋から出ようとするが、ドアノブが回らない!


「くっ……わたくしを閉じ込めて、どうするつもり!?」


 焦るペルセポネに、私は、穏やかな……決して、勝ち誇ったような笑みではなく……穏やかな笑みを浮かべて言う。


「別に、どうするものでもないわ。紅茶をいただきながら、お話しましょう?(ドヤァ)」


 ……やっぱり、ドヤ顔を隠せてないかも。


 私は、長椅子に座り、テーブルの対面に紅茶を差し出す。




 私は、ペルセポネが着席するのを待つ。


 私が紅茶を飲むのを見て、恐る恐る、ペルセポネも紅茶を飲む。


「ペルセポネ、あなたは、ハーデスと親密な関係だったけど、クーデター派の神輿になったハーデスの周りから排除された。再びハーデスと生活することを希望していたあなたは、私と協力してクーデター派からハーデスを助け出した」


 少し説明口調だが、前提の確認なので、明確にする必要がある。


「私は、クーデター鎮圧の褒美として、私の従兄弟であり、正統後継者であるハーデスの後見人に、あなたを据えた。あなたの『ハーデスと再び生活する』という望みは、達成されたはずね?……では、私に何か言うことはないの?」


 私は、ワザと口角を上げる……ワザとよ、ワザと!


 ペルセポネは、苛立ちを顔に滲ませながら、口を開く。


「……『女王様』わたくしの願いを叶えていただき、心から感謝申し上げますわ。ハーデス殿下と、再び共に過ごせる機会を与えていただき、あなたの寛大さに感謝の念が絶えません」


 その言葉に、私は声を上げる!!


「違うわ!違うのよ、ペルセポネ!あなたは、『支配欲』を滾らせた、純然な『支配者』であったはずよ!最近いろいろ忙しくて、忘れているだけ!あなたにとっては『当然』なのよ。『ハーデスとの生活』は当然、約束されていたものなのよ。思い出して!」


 私は『ハーデスとの生活』の『正当性』を説きながら、()()()()を狙う。


 今のペルセポネは『本来の性格』……『冥界の女王』から影響を受けた性格を、『春の女神』から影響を受けた性格が、抑え込んでいる。


 私は、そう、分析している。


 ペルセポネは困惑しながらも、私に応える。


「……そうですわね『女王様』。わたくしの『支配欲』そして『ハーデスとの生活』それは、当然の権利として存在しているべきものでしたわ。ありがとうございます。わたくしは、再び、その立場に戻ることができたことに『感謝』しつつ、当然のごとく受け入れますわ」


 しかし、私は再び、声を上げる!!


「違うわ!違うのよ、ペルセポネ!あなたは、『支配欲』を滾らせた、純然な『支配者』であったはずよ!最近いろいろ忙しくて、忘れているだけ!『感謝』なんて、とんでもない!あなたは、目に映るもの全ての『支配者』であるという『支配欲』。それがあなたの『本質』なのよ。思い出して!!」


 ペルセポネの『支配欲』を煽る!


 令嬢としての、自尊心から生まれた『女王』の性格と、


 公爵家としての、社交性を重んじる『女神』の性格。


 両者が混じり合い、一体となった時、ペルセポネは本当の意味で『自由』になれる……そのように私は感じているのだわ。


 そのように考えていると、突然!!


「……うふふ、はははは!確かに、滑稽だわ!」


 ペルセポネが、口角を上げながら笑い出す。


 いや、煽ったのは私だけど、なんか怖い。


「わたくしは、ハーデスのことが心配で、ゼウス側に付いた。しかし、ハーデスの心は、ゼウスに囚われたままで『自由』を得ることはない!ならばいっそ、ハーデスのために、ゼウスと戦うべきだったのですわ!!」


 大事なことなので、私は念を押す。


「ペルセポネさん、忘れてはいけませんよ?『ハーデスとの生活』を、あなたに与えられるのは、私しかいないのですよ?」


 ペルセポネは、口角を上げたままの笑顔を、私に向ける。怖い。


「ゼウスは、ハーデスを『コマ』として『使い潰す』つもりですよ?……私は、そんなことはしません。あなたがハーデスの側で仕えることに、私は何も文句は言いません。ただ、ほんのちょっと、私に力を貸してくれるだけで『ハーデスとの生活』が保証されるのです。それこそが、あなたの目的ですよね?」


 私は、ハーデスに頑張ってもらいたいと思っているが、それは『王族として』ということ。


 ゼウスとは、明確に違うことをアピールする。ペルセポネの目が怖いから。


「……ええ、もちろんですわ『女王様』。あなたの理解と寛大さには、感謝していますわ。『ハーデスとの生活』が、私にとって大切なものだと、わかってくださるのは、あなたしかいませんもの!!」


 ペルセポネは、私に近付き、しっかりと抱きしめる。


「こうして、あなたに尽くすことで、私もハーデスとの未来を、守ることができるのですわ!」


 ペルセポネは、優しく微笑みながら、私の髪を撫でる。


「安心して『女王様』。私達は、ゼウスに勝ち、ハーデスとの平穏な生活を手に入れるのですわ!!」







 今後、ペルセポネの、多少の『やらかし』を許容することで、


 ペルセポネとの『敵対』を回避できるのならば、


 安いものだ……と、私は、心の底で言い聞かせた。


王宮の七不思議:【一つ、『女王様』の部屋は、異世界に繋がっている】

いつもポットには、お湯が入っていて、すぐに紅茶を淹れられる。

深夜になると姿見が、光だしたり、声が聞こえたりする。

姿見を覗くと、少しだけ違った……既にハーデス殿下が即位なされた……世界を見ることもある。


……だから、『女王様』の部屋を、掃除してはならない。

きっと、良くないことが起こるから……

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