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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第5章・女騎士アルテミスと聖国襲来の女王様

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『聖国襲来』第6話・駆け抜ける嵐

 ここは『王国』の王宮前。


 空は陰鬱な灰色の雲に覆われ、重苦しい気配が立ち込めている。


 眼前には、何百年もの時を耐え抜いた巨大な城壁と、鋼鉄を何層にも重ねた堅牢な城門。


 そこに立ち並ぶ衛兵達の鎧は、冷たい鋼の輝きを放っている。


 私こと『女王』、葛葉様、ミトラ王、そして『ソロモンの72柱の悪魔』は、屈強な強者達と対峙している。


 右側には『王国』が誇る騎士団、約2000人。


 左側には『聖国』が誇る戦士団、約2000人。


 私は、そんな強者達に、大声で宣言する!


「我らは、新たな王・クロノス陛下に『()()()()()()』に参った!我らの行動は『()()()()』である!速やかに道をあけられよ!!」


 そう。あくまでも『()()()()』である、という体裁を取る。


 『()()()()』ではないことを、明言しなければならない!


 そうでなければ『第9条・戦争の放棄(ノイント・テーゼ)』により、行動が制限されてしまうからだ!


 あちらから返答がある。あれは『聖剣団』だろうか?


「『デモ活動』の申請は受理していない!すぐに解散されよ!……さもなくば『()()()()』のために『()()()使()』することになる!!」


 ……知恵者がいるようだ。これで両者がぶつかったとしても『()()()()』ではなくなった!!


 私は、ひときわ大きな声で、宣言する!!


「…… な ら ば ! 押 し 通 る !!」


 『王国』の騎士達、『聖国』の戦士達から、地鳴りのような怒号が聞こえてくる!!


 しかし、一部の動きがおかしい!


「義ある者は、我に続け!()()()()()()()()()!『()()()()()()()()!!」


 それは『聖剣団』!!


 彼らは『赤い大結界』から放たれる『支配』の権能に耐え、私への『忠誠心』を保ち続けてくれているのだ!!


「『悪魔』の、みんな!王宮の外は頼んだわよ!……バルバトス、グシオン、フラウロスは『聖剣団』を助けてあげて!」


「……わかった」「おう!」「流星号と呼んでくれ!」


 流星号ってなんだろ?取りあえず、まかせた!


「マルバス、フェニックス、ブエルは後方待機!悪魔も、騎士も、戦士も、怪我人は全て治療して!……アンドラスとサブナックは、怪我人を運んで!」


「仰せのままに」「御意!」「撃滅!!」「……ウザい」「お前ら、うるせぇよ!!」


 大丈夫か?救護班。ウザい、って私に対してじゃないよね?


 そう。『誰か』を失ったら『マイナス』になる。


 救護班の活躍が『戦果』を分けると言っても過言ではないわ!


「パイモン、バティン……バルマも来てくれたのね!あなた達は、私達の突入を援護して!突入後は、騎士や戦士が王宮に入らないようにして!」


「わかったよ!」「かしこまりました」「はい!」


 この三柱は、連携が取れてるはずだから、安心して良いわね。


「僕達は、呼ばれないみたいだね、兄さん」


「そうだな、アスタロトよ」


 ウァサゴとアスタロトが、サボっている。


 あなた達は、由来を知らない人が多いのでは?


「みんな!なるべく戦死者が出ないように、心掛けてちょうだい!」




 この数の『悪魔』ならば『勝つ』ことは、そんなに難しくはない。


 でも『なるべく戦死者が出ないように勝つ』のは、困難であろう。


 それ故に、私は『72柱の悪魔』すべてを召喚し、各々の『悪魔』も眷属を召喚している。


 私達は『勝ち』以上のものを、目指しているのだ!!




 人間達も、負けてはいない!


 『王国』の騎士達は、密集隊形で盾を構えて守りを固める!


 その防御を可能にしてるのは、鍛え上げられた肉体と、強力な対魔法のエンチャントを施した盾や防具。


 『悪魔』も、物理攻撃に切り替えて、対応せざるを得ない!


 そして、騎士達は一柱の『悪魔』を複数人で囲い込む!


 また、バエルにも複数の騎馬重装騎士が、突撃している!!


 そう。だからこそ、アルテミスが『1対1では最強クラス』であっても、『十指に入る』と評されるにとどまるのだ。


 騎士とは、本来『軍』で戦うものなのだから!!




 一方、『聖国』の戦士達。


 こちらは、様々な戦術で翻弄する!


 重装の戦士達が突進して、『悪魔』の隊列を崩す!


 軽装の戦士が飛び回り、馬上からは弓を放つ!


 そして、あれは!?巨大な動物……象!?


 まさしく、質量の暴力!!


 その巨体が『悪魔』達に突っ込み、戦場を蹂躙する!!


 それらを、適材適所に投入してくるのだ!!







 これは、後に『王国』の歴史において『人魔事変』と呼ばれる出来事……


 数々の『英雄』が生まれ、そして奇跡的にも『戦死者』は『ゼロ』であった!!


 特に、『聖剣団』の騎士たちの活躍は、目覚ましかった。


 彼らは、三柱の『悪魔』の加護を受け、戦場を駆けたのだ!!


 その奮闘ぶりは、後に『ソロモンの悪夢』と呼ばれ、


 やがて歌劇となる……しかし、それはまた、別の話である。







 そして私、葛葉様、ミトラ王は、王宮への侵入に成功する!


 私達は、手分けして、自分の役割を果たすのだった!


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