【SIDE】聖剣団【STORY】
ここは『王国』の、王都に近い場所。
私、アルテミスは、『聖剣団』の任務として『意見箱』に入れられた投書の回収と、地域に住む国民の聞き取り調査のため、各地を巡回しています。
ですが、私は『聖剣団』団長ですし、女王様と『国民の謁見』に携わりますので、王都近隣を担当するようにと、団員から言われています。
広い『王国』の辺境を担当する他の団員には、頭が下がる思いです。
「……アルテミス、次は何をやれば、いい?」
この青年は、バルバトス。『聖剣団』に突如現れた、凄腕の騎士です。
剣や槍、馬術など、騎士に求められる技量もさることながら、弓も得意です!
もしかしたら、全騎士団でも、十指に入る実力かも知れません!
……ですが、普段はグッタリとしています。無気力です。
「『意見箱』は、回収しました。近隣の住民への、聞き取り調査を行いましょう!」
「……わかった」
口数が少ないバルバトスですが、聞き取り調査はちゃんとしてくれます。
時々、大量の意見を聞き出してきて、驚かされます。
次の『意見箱』の場所に行く途中。
馬から降りて休憩してる時に、バルバトスが、何かを私に差し出します。
「……食べる?」
何でしょうか?毒々しい色のトウモロコシの実のようです。正直、美味しくなさそうです。
せっかくなので、いただきます。あまり味わわないようにして……
「……そうだ、私も携行食があります!如何ですか?」
そう言って、私は、カバンを確認します。まずは……
「……クッキー!」
バルバトスの前に置くと、目を輝かせて反応を示します。次に……
「……クラッカー!!」
私は、面白くなって、もう一つ出します……
「 ビ ス ケ ッ ト ォ ォ ォ ッ !!!」
普段のバルバトスからは想像できない、大声を出します!!
何故か、ビスケットに過剰に喜んでいる?ようでした。
『意見箱』に投書された国民の意見を鑑み、『ペルセポネ・アカデミー』の『ドクター』『プロフェッサー』『ドクトル』『教授』『老師』……通称『5博士』は、『議会』の設置を検討しています。
これは、『王』もしくは『女王』の下に設置され、貴族や商人、庶m……一般国民の意見を、掬い上げる機関となるようです。
諸外国では、既に『議会』を実施している国もあるみたいで、『5博士』は、それを参考として『王国』に相応しい形を模索しています。
難しい言葉で『君主統治型議会制』と表現されるらしいですが、他国にも類を見ない政治形態なので、調整が難航しているのです。
私達は、『荒れ果てた領地』と呼ばれる場所に、差し掛かります。
バルバトスは、立ち止まり、荒涼とした荒地を見つめていました。
ここは、豊かな森があったと言われています。
昔の領主が、木を切り倒し、建材や燃料として近隣に売り払い、一時的な富を得ました。
ですが、その行いで、森は再生不可能な被害を受けてしまったのです。
当時の国王は、領主を罰し、領地を取り上げました。
しかし、王家直轄領となっても、管理が行き届かずに『荒れ果てた領地』となってしまった、と言われています。
また、私達が立っている、王都から北の辺境伯領に真っ直ぐに伸びる幹線道路。
ここは、北の侵略者を王家が迎え撃つ、古来の戦場だったと言われています。
それは、北の異民族であったり、貴族同士の領地争いだったりしたのかも知れません。
しかし『王国』となってからは、『戦争』が起こったことはないようです。
……私は、それが不思議です。
確かに『王国』には『王国法』があり、『戦争』を禁止しているように捉えられる条項もあります。
同様に、他国の『法律』にも、同じような条項があると言われています。
これらは『神と人間との契約』であり、『世界の強制力』が働きます。
……ですが、『戦争』とは『政治の手段』です。
『騎士』や『戦争』についての知識を蓄え、知れば知るほど、私には、この世界の在り方が『歪』に感じてしまうのです。
突風が、私を現実に、引き戻します。
「……すみません、少し考え事をしていました。王都に戻りましょう、バルバトス」
バルバトスは頷いて、馬に向かいます。
……願わくば、今の平和が続きますように。




