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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第4章・女騎士アルテミスと王国再編の女王様
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『運命改変』第16話・咆哮!戦の神!

 『クロノシア侯爵領』には、大小さまざまな祠があり、古くから信仰がある神々が、いらっしゃいます。


 本来ならば、『サトゥルヌス』様以外の信仰を禁じて『魔女様』の権能を高める、というやり方が領地経営としては一般的です。


 ですが私達は、古来の信仰を奨励し、さまざまな神と協力して、『クロノシア侯爵領』を盛り上げていくことを選択しました。


 既に、北方の守護神『玄武』、東方の守護神『青龍』、南方の守護神『朱雀』の協力を得ています。


 『クロノシア侯爵領』は、麦の秋播きを終え、冬を迎えようとしています。




 ここは『王国』の『クロノシア侯爵領』。領主の館の離れ。


 私、アルテミスは『魔女様』と、お茶会、もとい、挨拶をするために伺いました。


「あー、『白虎』!どうせ『白虎』なんでしょ!?」


 『魔女様』は……何ていうか、不貞腐れています。


「……『魔女様』、まだ、次に仲間になる四聖獣が『白虎』と、決まったわけではないですよ?」


「あなた!本当に、いい性格をしてるわね!!」


 そうでしょうか?たまたま四聖獣が続いてるだけで、『白虎』も仲間になるとは限りません。


 紅茶を飲んでいると、経理のパイモン君がやってきます。


「領主さま!ご来客です!なんでも、白虎道のことで、話があるとかで……」


「『魔女様』、来客です。覚悟を決めていきますよ?」




 領主の館の応接の間。


 広い空間に、玉座みたいな段に、椅子が一つ。


 ちょうど、王宮の玉座の間の、簡易版みたいな場所ですね。


 前領主の自己顕示欲の高さが伺える、素晴らしい造りです。


 『魔女様』を伴い、領主の椅子に座ります。


 一呼吸してから、来客の男性が挨拶をします。


「お初に、お目にかかります、領主様。わたくしは、ゼウス・エチゴーヤ。エチゴーヤ子爵家に生まれ、ゼウス商会を立ち上げた行商人です」


 『王国』で一番多い名前である『ゼウス』様が、いらっしゃいました。


 『ゼウス商会』という名前の商会も多数あり、『王国』では問題となることが、しばしばあります。


 『魔女様』は、フードを目深に被っているのでよくわかりませんが、嫌そうな顔をしてそうです。


「お待たせして申し訳ない。さっそく、話をきかせてもらおう」


「はい、領主様。わたくしは、白虎道で商売をしていますが、夜になると、不気味な足音や話し声がして……何度も確認しますが、人影は見えないのです。しまいには、宴会をするような、大声まで聞こえるようになって。わたくし共は、テントや幌馬車での生活ですので、恐怖と不安で眠れなくなった者もいます……どうか、助けてください!」


 名前の割に、物腰が柔らかく、深刻な悩みのようです。


 『クロノシア侯爵領』の経済は、行商人の活躍があってこそです。


「承知した。さっそく調査に向かおう!」


「ありがとうございます、領主様!」




 白虎道まで、馬車で向かいます。


「『魔女様』、今回はどうやら、幽霊の仕業みたいですね?」


「……うーん、ここで私は、『ゆ、幽霊なんて、いるわけないじゃない!!』みたいに、怖がるべきなのかしら?」


 うーん。コミック化する方に任せましょう。


「メタ抜きで、私は、結構『天界』に行ってるから、そんなに怖くないのよね、幽霊」


「ああ、確かにそうかも知れませんね。しかし、幽霊の仕業ならば、私達では太刀打ちできませんよ?」


 『天界』に行けるのは、死者と優れた権能を持つ者だけ。


 ですが、それは『天界に死者を送る』という、能力ではないのです。




 白虎道に到着した頃には、夕方になっていました。


 野営のための行商人のテントが、いくつか並んでいます。


「やはり、幽霊は夜に出るのでしょうか?」


「どうかしらね。行商人の証言では、夜が多そうだけれども……」


 その時!地鳴りのような歓声が聞こえたのです!!


 咄嗟に目を閉じた、次の瞬間。


 私達は、闘技場の真ん中にいました!!


「これは、一体!?」


「……見て!観客は、死霊みたいよ!!」


 観客達は、興奮した様子で歓声を上げています!


 ですが、その身体は黒いモヤのようで、実体が無いようなのです!!


 闘技場のゲートが開きます。


 もちろん、私達を帰してくれるわけでもなく、四足歩行の獣が入場してきます!


『俺の名は「戦の神」!お前らに恨みはない……しかし、死霊共を慰めるため、俺と戦ってもらう!!』


 『戦の神』は、覇気を滾らせています。


「『戦の神』よ!私は、領主アルテミス!何故、私達は、戦わなければならないのでしょうか!?」


「……くどい!()()()()()()()()()と言っているだろう!!」


 その言葉を皮切りに死霊の観客が、一層、声援を上げる!


「アルテミス!」


「ええ……『魔女様』は、下がっていてください!」


 女神『アルテミス』の権能を高めるために、名乗りを上げる!


「我が名は『クロノシア侯爵領』が領主、『王下十字騎士』アルテミス!我が守護神『アルテミス』に代わり、仕置きつかまつる!!」


 歓声の一部が「アルテミス!アルテミス!」と叫ぶ。


『その意気や、良し!だが、俺にかなうかな!!』


 『戦の神』は、獣の跳躍力、筋力、鋭い爪で襲いかかってくる!


「ぐっ!重い!!」


 いつものように、()()()()()()()()()()()()()!!


 苦し紛れに剣を振るうが、『戦の神』は間合いの外に飛び退いてしまう。


 そのような攻防が、何度か続く。


 このまま『戦の神』が、ヒットアンドアウェイに徹するならば、私の勝機は薄い。


『……お前は、こう考えてるはずだ……もしかしたら、あっちの嬢ちゃんが、ブレーンかも知れないが……俺の権能と、その弱点について』


 私が攻撃を耐え、それを見て『魔女様』が、対策を練る戦術がバレている!?


『俺の権能は「不変」!!他の者はバカにするが、圧倒的膂力と瞬発力があれば、権能の助けなど不要!!』


「あなたは、圧倒的フィジカルに自信がある、古の神なんですね!?」


 『不変』。確かに、バフを受け付けない代わりに、デバフを受けないのは、自身の実力に自信があるのならば、理に適っています!


「アルテミス!こちらから仕掛けるのよ!!」


「わかりました!女神『アルテミス』よ!我に月光の輝きを!!」


 相手は『神』。権能の容量は、ほぼ無尽蔵。


 ならば、こちらは権能に頼り、畳み掛けるのが定石!!


 私は、月光の輝きを纏って、姿()()()()()


『……小賢しい!本体は一つだろう!!』


 しかしフェイントを入れ、ブレながら近付く私に、『戦の神』の前足は空を切る。


「……思った通り!肉食動物ならば、目に頼ってしまうみたいですね!」


 たまらず『戦の神』は、後に飛び退く!


『くっ!!』


 そのタイミングで、私も()()()()()()!!


「懐に入りました!!」


 得意気な私に、『戦の神』は笑いかける!


『その程度で、何になる!俺の毛は鋼にも勝る硬度がある!お前の剣では、俺は倒せん!!』


()()()()()()()……」


 私は、誰ともなく語りかける!


「月は……()()()()()()()!?」


 太陽が沈みゆく空に、月がありました!!


「我が守護神『アルテミス』よ!我が剣に月の輝きを!我が信念を貫く力を!!」


 私の剣が、月の光を纏い、輝き叫びます!!


「くらえ、我が奥義!!月・光・剣!!」


 その衝撃が『戦の神』の横腹を打つ!!




 倒れ込んだ、『戦の神』を見下ろします。


『……はぁ、はぁ、まさか、あんな隠し玉を持っていたなんて、侮っていた』


「……あなたは、本気で戦っていなかった」


 『戦の神』は、観念したように話し始めます。


「バレていたのなら仕方ない。その通り、俺は死霊の観客共に、ショーを見せていたのさ!英雄が、俺を倒すという、戦士共の魂を揺さぶるショーをな!」


 観客を見ると、鎧を着ていることがわかります。


 あれは、古代の戦争で亡くなった戦士達なのだろうか?


 死霊の戦士達は、歓声を上げます。


 それは、次第に「殺セ、殺セ!」と聞こえてくる!


『さあ、英雄アルテミスよ!俺を殺せ!……死霊共が、それを待ち望んでいる!』


 私は、耳を疑い、問い質していた!


「何を!そんなことをしたら、あなたはどうなるのですか!?」


『なぁに、少し痛いだけで、またこの地に生じるだろうさ』


「それでも!!」


 その時『魔女様』は、闘技場の真ん中に、駆け出しました。


「お集まりの、みなさま!『戦の神』は、死力を尽くして戦いました!私は、その健闘を讃え『サトゥルヌス』の権能により、『戦の神』に新たなる神格『白虎』を差し上げたいと思います!!」


『バカな!そのような事では、死霊共は納得しn……


 ですが、死霊の戦士達は「『白虎』、『白虎』!!」と、声援を上げています!!


『……どうしようもない、バカ共め』




 『戦の神』は起き上がり、『魔女様』と向き合います。


「では『戦の神』よ!健闘の印として、私と『契約』して『クロノシア侯爵領』の守護神になってください!」


『なりゆきで契約してしまうことになるが、務めは果たそう!この地の西方を守護し、死霊共を慰め、人間共と共に歩むことを誓う!!』


 そして『魔女様』は『サトゥルヌス』様に願います!!



「我が信奉を捧げし神、『サトゥルヌス』よ!


 ここに契約は成った!『クロノシア侯爵領』が新たな守護神を祝福せよ!


 古き神『戦の神』に、古の戦士達の魂を鎮める、新たな神格を授けよ!!」



 死霊の戦士達が、口々に『戦の神』を讃えます。


「ありがとう!」「魂が震えたぞ!」「素晴らしい戦いだったぞ!」「ありがとう!」「敬礼!!」「楽しかったぞ!」


『古の戦士共よ!俺を祝福しろ!お前らの魂を鎮め、後世に武勇を伝えてやる!!』




 『戦の神』は、光り輝き、新たな姿を現します。


 鋭い眼光と鋭い牙、前足には鋭い爪が生え、全身は白い毛に覆われています。


「さあ、新たな名前を差し上げましょう!あなたは『白虎』!!『クロノシア侯爵領』の守護神よ!!」


『 ガ オ ォ ォ ォ ォ ッ !! 』


 『白虎』は、大きな遠吠えをします!




「領主様、素晴らしい戦いでした!それに『白虎』様の、なんと雄々しい姿か!!」


 ゼウス商会のゼウス会長が、そこに居ました。


「どうです?『クロノシア侯爵領』を拠点にするならば、『白虎商会』を名乗ることを許可しますよ?」


「領主様の許可をいただけるならば、是非にも!!」




 こうして『クロノシア侯爵領』は、新たな守護神『白虎』を、お迎えすることができました。


メモリに追加:『戦の神』は【精霊級】から【人格神級】に昇格し、『クロノシア侯爵領』の守護神『白虎』となった。

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