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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第4章・女騎士アルテミスと王国再編の女王様
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『運命改変』第13話・炎の神の最後

 ここは『王国』の『クロノシア侯爵領』です。


 春播きの麦の収穫作業が終わり、秋播きの麦の種播きの準備に追われています。


 そろそろ涼しくなってもいい時期ですが、『クロノシア侯爵領』は、暑い日が続いています。




「『魔女様』、これは『異常気象』でしょうか?」


 『異常気象』は、領民一丸となって『サトゥルヌス』様にお願いして、解消してもらいました。


 それなのに、暑い、のです。


「あー!もう、あなたは!!元々『異常気象』を何とかしようとしたのは、あなたが私に『異常気象が!異常気象が!』っていう陳情ばかり言ってきたからでしょ!?私だってヤケになるってもんでしょ!!」


 確かに、昨年の不作の経験から、領民達は『異常気象』が枕詞となっていました。


 当初『魔女様』も、冷静に「気象には波があります。常に同じ気候の年が続くとは、限らないのです」と領民達を諭していましたが、その時は、我慢の限界がきたのでしょう。


 『王国』全体が大不作という、未曾有の災害規模だったこともあり、大地『ガイア』の気候を『運命改変』するに至りました。


「私だって、何もしてないわけじゃないわ!」


 そう言って『魔女様』は、権能の覇気を高めます。



「我が信奉を捧げる神、『サトゥルヌス』よ!


 運命を読み解き、我に『啓示』を与え給え!


 コインが表ならば『異常気象』!


 コインが裏ならば『問題は無い』!」



 そして、おもちゃのコインをトスします。


 ぴーーーん、ぼろ、ぼろ、ぼろ……


 おもちゃのコインは、床に落ちることなく、粉々に砕けて風に飛ばされていきます。


「……ずっと、これなのよ。これって、どういうことなの!?」


 うーん。謎です。


 『暑い日が続く異常事態』が、『異常気象』でも『問題は無い』でもない。


 一見、この二つは、コインの裏表のように感じますが……


「『魔女様』、試しに、表が『異常気象が原因』と裏が『異常気象が原因ではない』で、やってみませんか?」


「なるほど。あなたは『場合分け』が正確じゃなかった、と考えているのね?わかったわ、やり直してみるわね……『サトゥルヌス』よ!我に『啓示』を与え給え!」


 再び、おもちゃのコインをトスします。


 ぴーーーん、ころ、ころ、ころ……


 おもちゃのコインは放物線を描き、床に落ちます。


 出たのは『裏』。すなわち『異常気象が原因ではない』!


「……『異常気象が原因ではない』ことは、わかったけど、結局、原因はわからないわね」


 『魔女様』の『啓示』の権能は、擬似的な『千里眼』であるために、連続での使用は、生命に関わります。


「アルテミス、タロットによる『啓示』だと、『なろう』に投稿したときに滑稽になr……じゃなかった、100%の確率が担保されないから、領民への聞き込みをしてみましょう!」




 領民への聞き込みの結果、朱雀湖付近が、特に暑いことがわかりました。


 何か原因があると思った私達は、朱雀湖へ向かいました。


「……暑い。領都とは比べ物にならないくらい、暑いわ」


「そうですね。それに……」


 異常に強い、権能の覇気を感じます!


「ええ、何かいるのかも……『サトゥルヌス』よ!運命を読み解き、彼のものの正体を暴け!」


 『啓示』の権能の応用して『鑑定』として使っているのでしょうか?


「『魔女様』!あそこです!」


 朱雀湖に浮かぶ小島。祠の近くに、何か倒れ込んでいます!


「ええ、行ってみましょう!」


 小島には、飛石のように足場が続いていて、渡ることができます。


 小島に近づくと更に暑く、倒れているものは翼を持ち、全身が燃えているように感じます。


 『魔女様』が問いかけます。


「この地の古き神と、お見受けします。私は『魔女』と名乗る者で、こちらは領主様です」


『……おお、「サトゥルヌス」様の使い手じゃな?……お初にお目にかかる、儂は『炎の神』じゃ。儂は、炎を纏い、空を駆け、燃え過ぎた身体を、この湖の風で冷やす……そのような神なのじゃ』


 おおよそ、領民から聞いた話や、古い文献の記述に当てはまります。


「お身体の具合が悪いようですが、いったい何があったのでしょうか?最近の、この地の異常な暑さと、あなたの体調は、関係があるのですか?」


『然り。儂の寿命が、尽きようとしているのじゃ。おぬし達にもわかるように例えると、ロウソクが一番激しく燃えるのは無くなる間際なのじゃ。儂も、何とか湖の風で身体を冷やそうとしているが、周りへの影響が抑えられないようじゃ……儂の身体が、いよいよ保たなくなった時は、空高く飛び上がり散ろうと思う……おぬし達は、それまでには、ここを立ち去るがよかろう』


 私は、叫ばずには、居られませんでした!


「!!……あなたは、自分の死より、領民への影響を気にしているのですか?何故、そこまでするのですか!?」


 『魔女様』は、ハッとして、『炎の神』を見つめます。


『……お若いの、領主様じゃな?……今際の際となって、悟るものじゃ。「神」は、人間が「神」として扱ってくれて、初めて「神」となるのだと。おぬし達が、儂ら「古き神」を尊重し、人間たちに呼びかけていることは知っておる……儂は、それが嬉しかったのじゃ』


 『魔女様』は『炎の神』の告白に感極まったのか、何処かへ走り去ってしまいます。


「『炎の神』よ!私達の『クロノシア侯爵領』には、あなたのような神が必要です。どうか、私達のために乗り越えてください!」


『領主様、儂は「炎の神」じゃ。「炎」は燃えて、いつか燃え尽きるのが「運命」。それには逆らえないのじゃ……』




 その時、何処からともなく、炎を纏った鳥が現れます!!


 不死鳥……『フェニックス』でしょうか!?


『心優しき、古き神よ!私が、助けに参った!』


『不死鳥「フェニックス」様と、お見受けしますじゃ。この老いぼれは、ここで燃え尽きる「運命」。願わくば、儂が亡き後の、この地の人間を見守りくだされ!』


 『魔女様』が戻ってきて、『フェニックス』に告げます!


「『フェニックス』!『炎の神』を、あなたの権能で救ってあげて!!」


『御意。「新しい契約」の元、私の権能を、お見せしよう!』


 『フェニックス』は『炎の神』に向かい、告げます!


『……「炎の神」よ!私の権能は「炎の再生」!!さあ、共に燃え上がり、滅びの「運命」を乗り越えようではないか!!』


『……おお、「フェニックス」様!!』


 『フェニックス』と『炎の神』は飛び上がり、空で燃え上がります!


『ゆくぞ「炎の神」よ!私の権能「炎の再生」!!』


 ひときわ強く燃え上がり、二柱は巨大な炎になります!


「『炎の神』よ!我が『サトゥルヌス』により、あなたの神格を昇格させることで、滅びの『運命』を乗り越えることができるはずです!どうか、私と契約して『クロノシア侯爵領』の守護神になってください!!」


『……おお、願ってもないことじゃ!「サトゥルヌス」様の使い手……「魔女様」、「フェニックス」様、そして領主様。儂は、この地を守り、人間達と共に歩むことを誓いますじゃ!!』


 私達は『炎の神』の誓いを聞きました。


 そして『魔女様』が『サトゥルヌス』様に願います!!



「我が信奉を捧げし神、『サトゥルヌス』よ!


 ここに契約は成った!『クロノシア侯爵領』が新たな守護神を祝福せよ!


 古き神『炎の神』の、滅びの運命を乗り越えるために、新たな神格を授けよ!!」



 『サトゥルヌス』様の権能が膨らみ、『炎の神』も自身の権能で燃え上がります!


『さあ皆様!炎の中で、儂が生まれ変わる光景を、祝福くだされ!』




『炎の神』は、光り輝き、新たな姿を現します。


 燃え上がる身体と翼を持ち、湖の小島に降り立ちます。


「さあ、新たな名前を差し上げましょう!あなたは『朱雀』!!『クロノシア侯爵領』の守護神よ!!」


『感謝いたしますじゃ、「魔女様」、「フェニックス」様、そして領主様。儂は『朱雀』!この地の守り神にして、人間と共に歩む神!!』


 心優しき神は、新たなる名前と決意を、高らかに宣言します!


 『フェニックス』は、その様子を見守り、何処かへ飛び去っていきました。


 『クロノシア侯爵領』は、守護神『朱雀』を、お迎えすることができました。


メモリに追加:『炎の神』は【精霊級】から【人格神級】に昇格し、『クロノシア侯爵領』の守護神『朱雀』となった。

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