表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第3章・女騎士アルテミスと徹底抗戦の女王様
25/84

『運命改変』第9.1話・ペルセポネ再来

 ここは、『王国』の『クロノシア侯爵領』。


 『サトゥルヌス』の権能により、大地『ガイア』の運命に働きかけ、『異常気象』を退けた私達。


 去年の秋に播いた麦の収穫が、始まろうとしている。




 領主の館の離れ。私の棲家。


『クロノシア侯爵領』の領主・アルテミスが、お茶会をしに来ている。


 今日は特別に、私が、紅茶を淹れた。


 この前、「『魔女様』が、淹れた紅茶が私の『ご褒美』です」って言ってたからね。


「……これは、『魔女様』自ら、淹れてくださったのですか?ありがとうございます」


 そうでしょ、そうでしょ……あれ?味については、コメントしてないよね?


 そうしている内に、パイモン君がやってくる。珍しい。


「領主様ー!ご来客です!!」


「はい、今、行きますね。すみません『魔女様』、また今度、来ますね」


 来客ならしょうがない。今日のお茶会は、お開きにしましょう。


「……『魔女様』、客人は『重要人物』ですよ?」


 !?パイモン君は『()()()()()』の記憶も有している。つまり……


「私も行くわ!」




 領主の館の応接間。その人物は恭しく、お辞儀している。


「英雄アルテミスに、お目通りかないまして、嬉しく思います。わたくしは、ペルセポネ。本日は、おりいってお願いに参りました」


 そう!元公爵令嬢のペルセポネだった!


「お久しぶりね、ペルセポネ。どうか、楽にしてちょうだい」


 私は、フードを取って挨拶する。私達は、親戚として親しかった間柄だった。


「『元女王』!?なぜここに!!」


 ペルセポネから、向けられたのは『憎悪』の感情。


「……お知り合い、のようですが……えっと、どのような関係で?」


 アルテミスも戸惑っている。その、一瞬を突かれて……


「ええい、私の魔法をくらいなさい!!」


 これは、『魅了』の魔法!?


 私への『支配』系の魔法は『サトゥルヌス』が緩和してくれる。


「止めておくことね、ペルセポネ。その魔法は、わたしには効かないわ!」


「……だけど、英雄様は、どうかしら?」


 しまった!アルテミスを見るか、どうかという状態で斬りつけられる!


 間一髪で、後ろに転がるように避ける。


「……英雄アルテミスには『ご助力』願おうと思っていたけど、あなたがいるなら話は別よ?私の質問に答えなさいな」


 アルテミスは、ペルセポネの側に守るようにして立つ。


「もちろん、知ってることには答えるわ。だけれど、もう少し穏便にできない?」


「口ごたえは、しないでちょうだい!!」


 ペルセポネは、闇の波動を纏った鞭を打ち鳴らす。


 うーん、明らかにペルセポネの様子がおかしい。今は、おとなしく、従うしかないわね。


「王権が、この『クロノシア侯爵領』に、全ての騎士団を派兵しようとしているの!あなたは心当たりない!?」


「……私を、始末しようとしているはず。彼らは『サートゥルナーリアの大結界』を取り払いたいのかも知れないわ」


 まず考えられるのは、ハーデスの『傀儡化』や『奴隷利権』や『労働搾取』ってところでしょうね。


「『元女王』、あなたを討伐するための軍隊を、ハーデスが指揮を執る可能性があるの!」




 !!……見えてきた!『クロノシア侯爵領』に迫る『全ての騎士団』を、ハーデスが指揮していた。


 それを、私が『全滅』させて、ハーデスが死亡した。


 王権から要注意人物とされていたペルセポネが、ハーデスと『()()』したのは、亡くなってからだった。


 おそらく、ペルセポネは『冥界の女王様』としての権能を発動し、アンデッドの騎士団で『クロノシア侯爵領』を……もしかしたら、世界を飲み込んだ!?




「……どうしたの?黙り込んじゃって。あなたには、まだまだ聞きたいことがあるのよ!」


 ペルセポネは、闇の鞭を打ち鳴らし、威嚇する。


「……かった、よね」


「はぁ?」


 私は、自然に涙を流していた。


「……つらかったよね?『事件(あんなこと)』があって、やっと安心できる人ができたのに、また引き裂かれて……」


「だから、何!?『事件』を起こした黒幕のあなたが、わたくしに同情するの!?」


 ペルセポネは激昂して、隙ができた!今よ!


 私は、ペルセポネに向かって走る!


「……何を!?」


 虚を突かれて、防御が追いつかないペルセポネ。


 そこを『魅了』状態のアルテミスが、防御に入る。


「アルテミス!!」


「ッツ!!」


 アルテミスの動きが、一瞬だけ鈍る!


 私は、方向転換して、アルテミスに飛びつく!


 『サトゥルヌス』の、『運命改変』の権能を流し込み、『魅了』の魔法を打ち消す!


「……『魔女様』?」


「正気に戻ったみたいね!」


 アルテミスの側に立ち、背中に触れる。


 『運命改変』の権能を送り込み、常に『魅了』の魔法を打ち消す体制。


「……英雄アルテミスは、俊敏寄りの騎士。そのようにくっついては、持ち味が活かせないわよ……そして、魔法を放つには十分な間合いがある」


 ペルセポネは嘲笑しながら、杖を構える。


 一般的に、魔法使いは騎士に弱い。


 騎士の捨て身の攻撃が、魔法使いの魔法に打ち勝つからだ。


 一方で、盗賊や暗殺者などは、騎士を素早さで翻弄し、急所に刃を突き立てる。


 しかし、密接しているなら兎も角、範囲攻撃をバラ撒ける魔法使いに対しては、弱い。


 同様に、体格で勝る騎士たちに勝つために、アルテミスは俊敏さを磨いた。


 つまりアルテミスは、騎士に強く、魔法使いに弱い性質なのだ。


「……ぐぐ。確かに、場数を踏んでるだけのことは、ありそうね」


「ふははは、どう?降参する気になった?」


 だけれど、『()()()()()()()』のアルテミスには、もう一つの武器がある!


「アルテミス、弓に持ち替えるのよ!」


「!!……わかりました!!」


 アルテミスは、剣を収め、月光でできた弓を召喚する。


「なにかと思えば、弓?そんなもの、矢が私に届く前に、冥界の業火で焼き尽くしてくれるわ!」


 弓を引き絞るアルテミス!魔力を高めるペルセポネ!


「シッ!」


 アルテミスの月光の矢が放たれ!


「はぁっ!!」


 ペルセポネの冥界の業火が迎え撃つ!


 青白い光と漆黒の炎!


「おぉぉぉっ!!」


「ふぅぅぅっ!!」


 互いに権能の力を振り絞る!


 両者、互いに拮抗し……そして、


「ぐはぁ!!」


 アルテミスの矢が、ペルセポネをとらえる!




 アルテミスの矢のダメージに、息も絶え絶えなペルセポネ。


「はぁっ、はぁ……どうしたの!?殺しなさいよ!!……お父様も、お母様も、あなたの両親や、ハーデスの両親……みんなのように、私も殺しなさいよ!!」


 激昂し、涙を流すペルセポネ。『事件』で家族を亡くした悲しみと、ハーデスと引き裂かれた悲しみ。


「……ペルセポネ」


 私はただ、ペルセポネに抱きついて、一緒に泣くことしかできなかった。


 私達は、逆だったかもしれない。


 私はアルテミスがいてくれて、ペルセポネはハーデスを引き離された。


「……どうして。どうして、私を殺さないの?ハーデスを殺さないの?……あなたは、権力のために、『女王』になるために『事件』を起こしたんじゃないの!?」


「……もうわかっているよね、ペルセポネ?私が真犯人じゃないことを……」


 聡明なペルセポネのことだ、『事件』の『真相』なんて、既に気付いていたんだ。


 だけれども、辛くて、苦しくて、上手くいかなくて、惨めで、情けなくて、不甲斐なくて……


 そんな時に、都合のいい『噂話』に、人は熱狂してしまう。


 都合のいいように『自分の心』を、作り変えてしまう。


「……私は、私は!!」




「ハーデスを助けるために、アルテミスに『助力』をお願いしにきたんでしょ?」


 私は、ペルセポネに笑いかける。


 ペルセポネは、毒気が抜けたような顔で、私達にお願いする。


「……お願いします、ハーデスを助けるために、力を貸してください。大切な、大切な人なんです」


「もちろんよ、ペルセポネ!さあ、一緒にハーデスを助け出しましょう!」


「ええ、ペルセポネ様。私達が協力すれば、きっとハーデス殿下を助けることができます!」




 そう、これを私は待っていた。


 ペルセポネが積極的に動かなければ、『()()()()()』では、ハーデスを救うことができない。


 だから私は、『タイムリープ』を繰り返し、『ペルセポネとハーデスが仲良く暮らせる世界線』をたくさん作った。


 『運命律』に導かれ、未来は『その未来』に収束されていく。




 すべての人が、幸せな未来へと……


メモリに追加:ペルセポネは、女魔法使い。元公爵令嬢。

『通常モード』:優しいお姉さん口調。『春の女神』の権能。

『裏モード』:支配的な口調。『冥界の女王』の権能。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ