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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第3章・女騎士アルテミスと徹底抗戦の女王様
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『徹底抗戦』第2話・王国法と王位

 魔法の炎を操り、ペルセポネが叫ぶ!


「あなた達に、ハーデスを殺させやしないわ!!」




 ん?ハーデスを殺す?


 『金縛り』の魔法が解けてきて、発言できるようになる。


 この場を収めるには『絶対遵守の命令』しかない!!


「【二人とも、止めよ!!】」


 権能の拘束力で、二人がピタリと止まる。


 悔しそうな顔をするペルセポネに向かって、話す。


「あー、ペルセポネさん?私は、ハーデスを殺そうとしてません、よ?」


「「えっ!?」」


 ペルセポネとアルテミスが驚く。いやいや、アルテミス!?


「まずは、落ち着いて!王宮が焼けちゃうから、火は消して!……アルテミスは、そこで反省!!」


「……どういうことなの?あなたは、ハーデスを捕らえて処刑するために、私を呼んだのではないの?」


 いつの間か、ハーデスを処刑することになっている!?


「……『女王様』が『ハーデスは生かして連れて来るように』と言ったので、公開処刑にするのかと……」


「ひっ!?」


「アルテミスは、黙ってて!!」


 しょんぼりする、アルテミス。




 さて、どう説明したら良いのかしら?


「まずは、ハーデスは現在『継承序列・第一位』よ。そして、今の、私の立ち位置は『中継ぎ』といった状態よ」


「……どういうこと、かしら?」


 忌々しい『王国法』の記述を、私の口から説明しなければならないなんて!


 『王国法』のせいで、アルテミスを裏切らせて、騎士の名誉を傷付けた世界線だってあるのに!!


「『王国法』において、王位は男系相続であり、『女王』は基本的に認められてないの。『成人の正統後継者』がいる場合には、速やかに王位を譲らなければならないわ」


 そう。だから『女王』は、王族の信任が必要なのよ。


「王族は、ハーデスを『正統後継者』と認めていて、私も、それを支持している。ハーデスが成人する……か、ハーデスの資質ならば、もっと早まるかも知れないけど、それが『女王』としての私の『任期』」


 ……私は、ハーデスの『代用品』にしか過ぎない。だけれど!


「もしもハーデスの意思で、王位に立つ、と宣言すれば、私は『王国法』が持つ『世界の強制力』によって、排除されるはず」


 『コックリさん』。『おじいちゃん』が、ヒントをくれたから。


「けれども、そうなってないのは、ハーデスが『傀儡化』に抵抗しているからよ」


 過去の、いえ、『()()()()()』の私は、その認識が曖昧だったのよ。


 私は、自然と窓の外を見る。


 だけれど、『サートゥルナーリアの大結界』は、この『継承』問題だけは、解決してくれなかった。


「……ならば尚のこと、ハーデス殿下を処刑すれば、『女王様』の任期は延びますよね?」


「ひっ!?」


「アルテミスは、黙ってて!!あなたは『不敬罪』って言葉を知らないの!?」


 再び、しょんぼりする、アルテミス。




「だから安心して、ペルセポネ。あなたも、私も、ハーデスも。私達は皆、あの『事件』で、家族や親戚を失った者同士」


 ペルセポネの目に涙が溢れる。


 そう。ペルセポネの両親も公爵であり王族。あの『事件』で犠牲になり、公爵家は取り潰しになった。


 ハーデスも、そう。目の前で両親が犠牲になったと聞いている。


「私達は、同じ苦しみを共有している。だから、他者にも優しくできる……そうよね、ペルセポネ?」


 ペルセポネと私は、互いに寄り添い、抱き合う。


「好きだったのよね?……ハーデスのことが」


 ペルセポネは、声をあげて泣いた。




 ハーデスは、『事件』で両親を亡くして、精神を病んでいた。


 ペルセポネは、ハーデスを弟のように可愛がり、身の回りの世話をしていた。


 ハーデスも、ペルセポネを慕い、心の傷が癒されつつあった。


 家族を亡くした二人にとって、その生活は幸せなものだった。


 そんな二人を引き裂いたのが、今回のクーデターであり、反『女王』派とも言える集団。


 ハーデスを連れ去り、『傀儡』の旗印としたのだった。




「……ごめんなさい、『女王様』」


 泣いたせいか、落ち着いた様子のペルセポネ。


「だから協力してちょうだい、ペルセポネ。ハーデスを、一緒に助け出しましょう!」


 ペルセポネは、私の目を真っ直ぐに見る。


 そして、決意をもって告げる。


「……ええ……ええ。『女王様』、私も、ハーデスを助けたいわ!!」


 強力な魔法使いであり、『春の女神』の権能の使い手、ペルセポネ。


 私達は、心強い味方を得たのだった。




 アルテミスは、クーデター派の情報入手のため、留守になることが増えた。


 私の自室には、ペルセポネが代わりに来てくれるようになった。


「私達も、ハーデスの情報を得るために、動き出すべきね……アルテミスも頑張ってたし、私達も頑張らないと!」


「そうね。『サトゥルヌス』の『運命』を司る権能は使えないかしら?占いみたいな感じで」


 『運命』を司る権能による占いは、考えたのだけれども……


「タロットカードを使った場合、『なろう』に掲載した時に、滑稽になりそうで控えているのよね」


「あらあら、随分メタい発言をするのね?」


 タロットだと、人の『印象』が介在する要素があるから、純粋な『運命』の結果が出ないような?


「……じゃあ、コレはどうかしら?」


 そう言って、ペルセポネが出したのは、おもちゃのコイン。


「コインの表と裏で、結果を割り振ってからトスすれば、必ず、表と裏が出るから、占いに100%の確率を担保できるはずじゃないかしら?」


「それだわっ!!」




 私達は、実験を開始した。


「では、明日の天気を占ってみましょうか!100%の確率が担保されてるから、確実にわかるはずよね!」


「ええ、100%の確率が担保されているから、確実にわかるんじゃないかしら?」


「では、表が『晴れ』、裏が『雨』!『運命』の神、『サトゥルヌス』よ、我に『啓示』を与えよ!!」


 ぴーーーん!ぼろ、ぼろ、ぼろ……


 !?!?!?!?!?


 おもちゃのコインは、無残に砕け散り、風に飛ばされていった。


「おかしい!100%の確率が担保されているのに、コインが砕け散った!!」


「あらあら、100%の確率が担保されているのに、コインが砕け散ったのかしら!?」




 私達の、ハーデス捜索は、振り出しに戻った。


メモリに追加:ペルセポネは、女魔法使い。元公爵令嬢。

『通常モード』:優しいお姉さん口調。『春の女神』の権能。

『裏モード』:_

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