『絶対遵守』第8.1話・コンティニュー
ここは『王国』の王宮。『女王様』の部屋。
「……っはぁ、はぁ、はぁ!!」
此処はどこ?私の部屋?アルテミスが居ないから状況がわからない……
……落ち着け。今のところ危険はない。『タイムリープ』に成功したとみて問題なさそうね。
そもそも、あれは何!?
私は、『クロノシア侯爵領』を制圧しようとする『騎士団全軍』を、『サトゥルヌス』の権能で半数を掌握して、同士討t……
……その情景を思い出して、吐き気が込み上げてくる。
いくら『クロノシア侯爵領』を守るためとは言え、人道に悖る行為をしてしまったのだ。
『全軍を掌握し、王権に差し向ける』。それはさすがに『絶対神サトゥルヌス』であっても、叶わない『奇跡』だった。
……言い訳にしかならない。
それは、私の『所業』。だけれど、その後は……
私は、『権能』の力を、『運命』を司るの力を高めてみる。
……なるほど。『サトゥルヌス』が【絶対神級】に至り、タイムリープ先の運命にも干渉できるようになったのね?
そう、今までは『時間』を司る能力で、過去の私の経験を、追体験することしかできなかった。
『運命』と『時間』。二つの権能が合わさって『歴史修正』ができるようになった、ということかしら?
部屋のドアがノックされる。
甲冑姿のアルテミスに、ああ、ここか、と納得する。
「我が主、どうかご安心ください。敵は少数の寄せ集めです。我が軍は、『女王様』の指導のもと、精強な騎士たちを揃えました!私も『絶対』に、無事、帰還いたします!」
私は、ニヤリと笑って応える。
「……もう、終わりにしましょう」
「何を弱気な!こちらには、三g……
アルテミスの言葉を、手で制する。
「戦になれば、騎士団であっても、クーデター派であっても犠牲者が出るわ!どちらにせよ、我が国民なのよ!」
「……騎士であるならば、死ぬ覚悟もできているはずです!あなたを守れるならば、騎士として本望でしょう!」
そう、アルテミスは、確かにそう言った。
「『死ぬ』などと、軽々しく言わないでちょうだい!私にとっての『導きの光』……『アルテミス』は、あなたしかいないのよ!!」
アルテミスは、『死』を覚悟していたんだ。
私への『忠誠心』に、殉ずる覚悟。
「アルテミス、私は、あなたに出会って『愛』を知った。『事件』によって、両親や親戚のみんなを失った私にとって、あなたが『導きの光』だった」
私は、自分が辛いばっかりで、アルテミスのことなんて考えてなかった。
「あなたが居ない世界ならば、私は要らない。あなたが、私の日常を守ってくれた!」
私は一呼吸おく。そして『女王』として告げる。
「我が騎士、アルテミスよ!『女王』として『勅命』をもって命ずる!夜を待って、あなたの『光の屈折』と『暗視』の権能をもって、クーデター首脳陣を『暗殺』しなさい!」
アルテミスが怪訝な顔をする。確かに、騎士に『暗殺』など、名誉に関わること。
……ならば、『絶対遵守の命令』を使ってでも!
「『絶対遵守の命令』をもって【命令】すr……
「我が主、恐れながら、【命令】を使うに及びません!」
アルテミスが遮ってくる。
「確かに合理的です。クーデター首脳陣を排除できれば、数は多くとも烏合の衆。我が騎士団を前に、逃走するやも知れません」
「……へっ?」
確かに、この娘は、こんな考えをするわね。
「ならば、速やかに任務を遂行せよ!」
「はっ!かしこまりました、『女王様』!」
アルテミスは背筋を伸ばし、礼をする。
あっ、一応、釘刺しとかないと!
「アルテミス、これは最優先事項よ!ハーデスは生かして連れて来るように!」
アルテミスは、驚いた表情をした後、恐る恐る聞いてきた
「……そうですね。幼いとは言え、ハーデス殿下も王族。王族の務めを果たしてもらわないと……」
確かにそうね。再教育の後、王位を継いでもらわなきゃいけないし……
「……そうね、あなたも、わかっているじゃない」
『王位継承』の問題で、頭を抱えてる私は、苦笑いをするのだった。
私、アルテミスは、『女王様』の部屋を後にします。
やはり『女王様』は、恐ろしい御方です。
まだ幼いハーデス殿下を、王族の務め、つまり公開処刑にしようだなんて!
しかも、ニヤリと笑っていました!!
……ですが、それが主の意思!私は、騎士の務めを果たします!
アルテミスは、月光を浴び、闇夜に紛れるのでした。
私は『タイムリープ』前の記憶を、思い出そうとする。
私が『騎士団全軍』を掌握して、死屍累々となった『クロノシア侯爵領』。
その後、『クロノシア侯爵領』は、『蘇ったアンデッドの騎士団』に押し潰された。
『使役』されているものに、『支配』は効かない。
原因を探らなきゃ!『死者を蘇らせる』そんな『権能』……
その時、左手の人差し指に指輪が付いていることに気付いた。
『王家の秘宝』。初代国王・ソロモンが『72柱の悪魔』を呼び出す時に、使っていたという指輪。
「古の契約をもて、我に姿を見せよ!パイモン!」
辺りの闇が収束して、魔法陣の形になる。
そこから、男の子のような悪魔が出てくる。
「くふふふ……人の子よ、よくぞ、我を呼び出した!願い事を一つ叶えよう。だが、叶えた後は、お前を食わせてもらおう!!」
ちっ、召喚に失敗したか!ならば、また掌握するだけよ!!
「……なーんてね!おねえちゃん、冗談だよ、冗談!」
「ふぅ……パイモン君、あなたの冗談は、本当に冗談にならないから、止めてって言ってるでしょ?」
どうやら、あのパイモン君みたいね。
「普段、僕達は『魔界』に待機しているから、人間世界とは時の流れが違うんだ。だから『世界線』っていうの?を跨いでも、契約を維持できるんだよ!」
「何は、ともあれ助かったわ。あなたを、掌握したときが一番骨が折れたもの」
『クロノシア侯爵領』が荒地ばかりで良かったわ。王宮で、あんなバトルやってたら大変なことになるところだった。
「……なら、僕を最初に呼ばなきゃ良いのに!」
「だって、『私の一番の配下』なんでしょ?」
パイモン君は頬を膨らませて言う。
「……それが、解釈が一致しないんだよなぁ」
そんな時、親しかった公爵令嬢の顔が、思い浮かんだ。
春風を纏い、慈しみ、癒しを与える『権能』。彼女が……
「パイモン君、『ある人』を連れてきてほしいの。今後の鍵を握る、重要な人物よ!」
ふてくされてた、パイモン君が、綺麗なお辞儀をする。
「かしこまりました。速やかに任務を遂行いたします……我らが『魔王様』」
そして、くふふ、と笑って部屋を出ていく。
さ あ 、 徹 底 抗 戦 を
始 め ま し ょ う !
ク ー デ タ ー へ の 、
そ し て 、
『 運 命 』 へ の !
C O N T I N U E ?
[ Y e s ] N o
『女騎士アルテミスと徹底抗戦の魔女様・第1話』




