お前は誰だ
次の日
表現の課題の教室へ行くと着物を着たハイクさんが居残り先生と仲良く話していた。
ハイクさんと目が合った。
「おはよう ハイクさん」笑ってみた。
ハイクさんは一瞥してまた居残りと話し始めた。
俺が悪い。百俺が悪い。
「おはよう赤点君、ちょっといいかなぁ?」白いイッキューだ
「おぉ」なんとなく予想は付いた。
「何てことしてくれたんだ赤点!」
「ハイクさんいや、キモノさん、もう俺達と組まないって言ってるぞ!」かなりのご立腹だ。
「すまない」頭を下げるしかなかった。
「あれから、何本、君達で脚本書いたと思ってんだよ 全部パーだよ!そんなことで赤点になんないでくれよ!」笑いながら怒っている。
「本当に残念だなぁ 彼女の俳句、もう聞けないよ すごく残念だ!」気にいってたんだ。
その時だ。今、一番会いたい奴が教室に入ってきた。 イケメガネ。
「君と話すのは初めてでいいのかなぁイケメガネ君」俺は探りを入れた。
あの目は間違いなく遼さんの目だった。それなのに暴走してなかったどころかアカリとキス。一体どんなカラクリがあるんだ。
「そうですね。片付けのお礼でもいった方がいいでしょうか?」そう言って、メガネの縁に手をやった。
お手本のようなメガネキャラだ!ここからあのガサツな男を想像することができない。待て、まだだ、このキャラだと推定するとあのアカリとつりあう筈がない。いや、そもそも俺はアカリのこともこいつのことも何も知らないじゃないか。
「いやぁ俺達のグループさぁ今度、受験戦争の劇?やろうと思ってんだよね、ライバルのメガネキャラ欲しくてさ」イッキューに目配せする。
「そうなんだ 君ならイケメンだし最適だと思ってね」
ナイスイッキュー!
イケメガネは少し考えた後
「いいよ イッキューさんの脚本面白かったし」微笑むイケメガネ。
いいよ?
「でも、君ってアカリちゃんと付き合ってるよね。いいのかい?一緒じゃなくて」
「じぁあ、アカリちゃんも入れてよ 私ならあの娘、静かにできるからさぁ ねっ ヨウセツ君」目が青色に光った。
間違いない!遼さんだ!でも、こんな遼さん生きていた時も見たことがない。それにそのアダ名。
「皆さん、席に付いて下さい」居残り先生が言った。
「失礼」イケメガネは後ろの席に着いた。目の光は消えている。
こいつとは話すことが山ほどありそうだ。それともう、一人。話を聞いていない人物がいる。後回しにしてきましたが授業、やっと出れますよ。トリガオ先生。
「言葉は生きている!」
「表現語学担当講師のトリガオです」
表現語学とは、簡単に言えば擬音を分かりやすく言葉にすること。「ガガガ」という言葉で表現語学を使うと、突き上げる、震える、振動音などと言うらしい。伝えられないモノを伝える力を身に付ける授業といったところか。
トリガオ先生は一人の擬音を出題し、3つの表現を答えさせた。はっきり言って今までの授業で一番解らなかった。
そして、授業が終わり、前に遼さんから言われていた指令を実行した。
俺「遼さんを覚えていますか?」
トリガオ「遼?ここの卒業生かな?」
覚えてないかぁ。とりあえず実行しましたよ。
せっかくだ。
「技術者と役者の違いは何ですか?」質問してみた。
「嵐から教わったんじゃないか」俺を見るトリガオ先生
「そうですね」
リサイクルショップ
プレイヤーの半月板を削りとる。キズを取り除くのだ。あと30台、時間内に終わるかな。残業してもいいかな。この作業嫌いじゃない。有線は春曲から夏曲へと変化していた。
午前2時
珈琲を入れてあの人を待つ。
「おっ何でわかったんだ?」現れる遼さん
「キズが新しかったからですかね 先生の」
「そうか、あの人、俺の記憶沢山持ってんだよ」
「それで俺がUSBですか」
「あなたは皆の記憶の集合体だったんですね。遼さんを調べるうちに遼さんにセイラさんを調べるうちに今度はセイラさんに」
「俺は、松田 嵐の息子だ!それがあるかぎり俺が消えることはねぇよ この女に乗っ取られることもな」
「これは、お前の為に言ってやる俺をセイラにしたら苦しむのはお前だからな セイラを調べさせたのは悪かった だからお願いだ俺をセイラにしないでくれ」
そういって遼さんは消えていった。
俺は一つ疑問に思ったことがあった。セイラの記憶を強くしている存在がいるということだ。