登録よろしくぅ!
審査方法は1組の演技に12点が与えられ減点方式で行われる。審査員は10人の先生と代表で選ばれた男女2人。審査員は一人につき1点減点できる。点数が無くなれば演技途中でも退場となる。
運命のくじ引き、今日は運がいい。トップだ。
「イッキュー組演技 チルチルミチルチャンネル」
アナウンスが流れる。
「チルチルミチールーウゥ!!」俺とハイクさんいや、チルチルとミチルはハモった。
チルチル「いやぁミチルちゃん、今日はね、迷宮にね、金塊を盗みに行こうと思ってんだよね」自撮り棒付き携帯で二人を写した。
ミチル「ちょっと、今、メイク直してるから写さないで!」
チルチル「メイクなんて変わんないよ!おめぇブスだろ!」
ミチル「はっ?マジで言ってんの?」
チルチル「ブスは嘘だけど、変わんないは本当 やっぱ変わるか?」
ミチル「どっちだよ」
「でっ迷宮?あたし、蜘蛛とか本当にNGだからね」
チルチル「それは大丈夫、金持ちの家らしいからさ」
「じゃさっそくシンニュウ!」ハモる二人
ミチル「うわぁ、あの像とか幾ら位すんのかなぁ?」
チルチル「ミチルちゃんのマンションの家賃位じゃね」
ミチル「そんな良いとこ住んでねぇわ」
チルチル「おっと、オタカラハッケン!!」
「いただきたろうゲゲゲのゲ!」
ミチル「それあんま好きじゃない」
「あれ?超エモなんですけど」
ウサギのぬいぐるみを手に取り動かすハイクさん。
ウサギ「助けて下さい。道に迷ってしまって」
チルチル「うわぁ、超ウケる。ウサギ、しゃべってるし」
ミチル「あんたは黙れ。いいよ一緒に帰ろう」
チルチル「あれ?入り口無くなってね?」
ウサギ「ここから出られるのは二人なんです。一人でも、三人でもダメです」
チルチル「ウケる。ウサギ一人ってなってるし じゃまたなウサギ」
ミチル「ふざけないの。答えは簡単。管理人に通報してもらう」
チルチル「チャンネル登録よろしくぅ!」
「チルチルミチルーウゥ!!」
最後までできた。そして俺達はあいつらに勝つことができた。
しかし、俺達は素直に喜べなかった。
あいつらがやったのはなんだったんだ。演技?わからない。点数を残した先生もトリガオの一人だけだった。
あのナイフは本当に偽物か?今でもわからない。あいらは殺し合いをしていた。
「死なない女 心のない子供」
どんなに刺されても子供を抱きしめようとする母親ナマアシと無邪気にナイフを入れる子供アカリのシバイ。
この脚本は二人のバランスがとれていれば優勝は間違いないなかったろう。
俺も含めて普通の生徒が見れたのは、3分位だっただろうか。ハイクさんはずっと目を伏せていた。
ナマアシは確かに母親だった。芝居じゃないレベルに達していたと思う。問題はそこではない。そのレベルのプラマイ10ならいいだけの話しだからだ。あいつもみくびっていたのだろう。
アカリという悪魔を。
彼女の笑顔が頭から1日中離れなかった。
あの人、松田 嵐の映画「狂人F」を思い出した。
自国にミサイルか撃たれたことをきっかけに一人で敵国と戦うヒットマンの話で笑って見ていたが、本当はすごく怖かった映画だ。
因みに嵐さんは遼さんの父親である。
すべてが終わった劇場
「残念だったなイッキュー 3位か」
あいつが話しかけてきた。
「そうだね。流石に、イロモノ過ぎたかな」イッキューは残念そうだった。
「君達は頑張ったね 面白かったよ」こいつは、イッキューと俺達は分けてるみたいだな。
「お前は、完全に脚本ミスだったな」本当のことを言った。
「仕方がなかったんだ。ナマアシが意外と頑固でね どうしてもあの脚本がいいって 身の程を分からせるのもいいと思ってさ」ニヤつくショウ
こいつには怒りしか湧かない。
「僕達これから、祝勝会するんだ。君も来るかい?」イッキューが言った。
「残念、俺とナマアシは反省会なんだ 彼女に脇役の楽しさを教えないとね」ショウが真顔になり戻っていった。
「蒼秀で 足跡探し 戻る道」
「帰りましょうか」ハイクさんが言った。
帰り道
「あれってイケメガネだよな」俺は後悔した。
イケメガネが女性とキスをしていた。
「えぇ、あれってアカリちゃん!」
夕焼けでハイクさんの顔が見えなかった。
「僕、店予約してくるよ」イッキューがその場を去る。
「赤点さん、私たち付き合いませんか?」
ずるい質問だ。でも好きなのも事実か。
「うん、付き合おう」
午前2時
「おい、54点、54点」女性の声?
ぼんやりと見えた姿は、一年前、あの事故で無くなった女性の姿だった。
「セイラさん、どうして?」
「へぇ、お前にもセイラに見えるか」不適に微笑むセイラさん
「どういうことですか?」俺は混乱していた。
「見つかったんだよ。もうひとりの俺が」セイラさんの目が青く光った。
そして、消えていった。
2時半。 嫌な予感しかしない。
その日は、眠れなかった。