露命
「そろそろ死んでもいいかもな」
君がそう呟いた僕は君のいない世界に意味はないと思っているのでこう呟いた。
「それじゃあ僕もついて行こうかな」
「昨日は何をしたっけ。」
「昨日は映画を観たじゃん覚えてないの?」
「覚えてるよただ聞いてみただけ。その前は何をしたっけ?」
「その前はあんまり覚えてないや。」
「奇遇だね僕も一昨日はあんまり覚えてないんだよね。それじゃあ今日は何をしよっか。」
「今日は海に行きたいな。」
「奇遇だね僕も海に行きたいなって言おうと思ってたところだよ。」
僕達はあまりお金を持っていない。特別な日の為にお金もとって置かなきゃいけないと言う結論に至り歩きで海へ向かうとこにした。
朝出かけたのに着いた頃には夜になってしまっていた。
私は下を向いたまま歩いていた。今も昔からずっとそうだった。なので海についてもずーっとしたばかり向いて歩いていた。ゴミが多くてあんまり綺麗じゃないなと思いつつフラフラ歩いていたらいつの間にか海に漬かってしまっていた。
「上を向いてご覧よとても綺麗だよ。」
君がそう言う。
「流されちゃうと怖いし上は向けないな。」
「それじゃ支えてあげるから上を向いてみなよ。」
そう言われ少し顔を上げた。
とても綺麗な水平線だと思った。
「ほら星空も綺麗だよ?」
私はもう少し上を向いた。ゴミがちらばってるみたいであまり綺麗じゃないなと思った。横をむくくらいが私には丁度いいのだとその時考えた。
「今日はなにをしよっか。」
「今日は山に行きたいな」
僕はあまり乗り気では無かったが結局山に行くことになってしまった。
必要なものを買うためにホームセンターへ向かった。
「思ったより登るのが辛い坂だね。」
「私もそう思ってた。」
僕はなるべく上を見るようにしていたがこの時は足元が危険なので下を見ることにしていた。地面には綺麗な落ち葉やたくさんの虫などがいて意外と綺麗なんだなと思った。もっと色々なものを見たいなと思い前を向くとそこにはちょうどいい大きさの木があった。
「ここら辺でいいかな。さっき買ったものを取り付けなきゃね。」
「そうだね。私はここら辺で腰をかけてるね。」
よくある人生だった。親に殴られ学校ではいじめられてた。ただそれだけのよくある話だ。ただここまで死ななかったのはいつもそこで支えてくれていた彼がいたからだと思う。何を思ってそばにいてくれていたのかはよくわからない。ただ彼といるのはとても心地よかった気がする。
「準備が出来たよ」
少し悲しそうな顔で君が言う。何故だろうこれが本来の目的でその為に彼もついてきたのに何を悲しそうな顔をする必要があるのか少し疑問だった。
「わかった。それじゃそろそろいこうか」
私はそう言う。
「うん。それじゃあバイバイ」
身体中に刺激が走る。何が起こったのか分からなかったが少し経ってから地面に落ちたのだと気がついた。
横を見ると誰かの足があった。
恐る恐る上を見るとそこには君がいた。
そうか、失敗したのか。
それ以上になんなんだろうこの気持ちはとても胸が苦しくなっている。
そこでやっと気がついた。
私は君といるのが楽しくてしょうがなかったんだと。
「そんな君がいなくなってしまったんじゃもう本当に生きてる意味はないな」
私はぽつりとそう呟いた。
よかった予備の縄を買っていなかったら私は君のそばで死ぬことが出来なかった。
そしてよかった直ぐに死ぬ事が出来なくて。君への気持ちに気づいたのだから。
私は君に向かって一言呟いてからもう一度首を吊った。
まずはここまで拙い文書を読んでいただいたことに感謝致します。
これは日常であり冒険でありハッピーエンドでありバットエンドでもあります。
解釈は色々できるようにと作ったつもりです。
解説は描きませんので皆様のお好きなように頭の中で物語を広げていって下さい。