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よろしくお願いします。

 結婚した。


 何か変わったかと言われるとあまり変化はない。だが明日に控えた伯爵家行きについてサティがゴネたらしい。ちょっと怒ってたらしいからケビンの腰は明らかに引けていただろう。


「なんで私が行ったらダメなのよ?」


「アッガスがドルスカーナに戻ったんだよ。元々アイツはドルスカーナのギルド『灼熱の太陽』所属だろ? アルガスの盾のわがままでいつまでも引き留めておけないんだよ」


「知ったこっちゃないわよ」


「いや、でも有事の際にガイアスだけではアイツも大変だろう」


「冒険者はガイアスだけじゃないわよ」


「いや、でもな」


「伯爵にこっちに来るように言いなさいよ」


「そんなこと言えるわけもなく...」


「10年くらい延期しなさいよ」


「...」


「伯爵如きが偉そうに私の旦那を呼びつけてんじゃないわよ」


「...」


「ギルド辞めるわよ?」


「いや...それはちょっと」


 ケビンはその後も宥めてすかして何とか乗り切ったと言う。周りの職員はコロナ含め全員が空気のようになっていたらしい。


 今その話を教えてくれているコビーもその一人だ。


「という事があったんですよ」


「そうか、わざわざありがとうコビー。すまないな」


「いえ、それで僕たち暁の砂嵐も同行することになりました」


「あ、そうなの?」


「はい、明日からよろしくお願い致します」


「ああ、こっちこそよろしく頼むよ」


 いま俺たちは商店のカウンター越しに話をしている。社長の俺も現場にたまには入るのだ。毎日ではないがな。


 クロも接客したりしている。マダムたちに入荷したばかりのアロマを紹介しているぞ。これは売れ行き好調で品薄状態だ。


 ちょっとしたキャンドルにもなるし、置物としての要素もある。抱き合わせ商法と言ってくれるな。儲かりますねん。ぐふふ。でも火事には注意だぞ。


「「「ただいまー」」」


 おっ、チビ共が帰ってきたな。


「はい、おかえりー」


「おと兄、明日休み?」


「おと兄は休みだよね?」


「えー、俺は明日からしばらく家にいません」


「「どうして?」」


「伯爵様の家に行かないといけないんだよ」


「行っちゃだめ」


「行っちゃやだ」


「いや、そうは言ってもですね...」


 うーむ、困った。どうする。ここはお土産攻撃で流すか。それが良いそうしよう。


「「おと兄のバカー!」」


「ええっ!」


 切り返しが間に合わず二人は泣きながら中へ走っていってしまった。


「待ってー」


 シャロンもついて行った。


 サティは怒り、子供たちにも怒られ...


 この俺が、行く意味あるのか、伯爵家。


 上手い!...はぁ。気分が乗らんなぁ。



--------------------------



「と言う訳なんだよ」


 俺たちは子供たちが寝た後、リビングで話している。


「でも仕方ないわ。二人には私からもよく言っておくわね」


「悪いけど頼むよ、後はサティだな」


「サティにはここに来てもらおうかと思ってるのよ」


「そうなの?」


「子供も喜ぶし私も嬉しいしね」


「そう言えばまだサティとどうして暮らすかも決めてないな...流石に不味いだろ俺」


「結婚して数日しか経ってないのよ?仕方がないわよ。一先ずそれは後回しでも良いんじゃないかしら? でもサティが怒るのも無理はないわ。伯爵家に挨拶に行くのに正妻がついていけないなんておかしいじゃない?」


「確かにそうだよなぁ」


「それだけ魔獣や魔物が増えてるのかも知れないわね」


「そうだなぁ。ちょっと物騒になってるのかな?」


 街から森までは1日も掛からない。もしそこから魔物や魔獣が現れたら意外と街へは早く到達するのだ。そうならない為に警備隊が組織されているのだが、その数を今は増やしていると言う。


「クロ、日程ってどうなってんの?」


「はい、護衛もおりますので大きな問題が無ければ伯爵家まで10日ほどで到着します。森の中の進み具合ではもう少し早く着けるかと。ただ、食料と献上品を含めて馬車が3台となりますので、短縮についてはあまり期待しない方が良いと思います」


「そうか。伯爵家での滞在期間は?」


「恐らく長くても1週間ほどかと」


「やっぱり1ヵ月は見とかないとダメか。留守の間商会の方はどうなる?」


「特に変わりありません。工場の方はレイナがいれば問題ありません。こちらの方も基本ソニア様が居りますからね。大丈夫ですよ」


「そっか、そう言うと俺ってあまり役に立ってないのな」


「通常業務に社長の出番はないですよ」


「向こうに支店でも出すか」


「支店ですか?」


「せっかく行くんだからな。向こうにもNamelessの看板を上げるんだ」


「へー。そう言うのは知りませんでした。基本はその街だけですからね」


「その辺りが少し感覚が違う所なんだが、信用のおける人間に任す。商店の名前も広がる。利益も増える。雇用が増えて仕事がない人も助かる。欲張らなければ悪いことはないんだよ」


「なるほど、流石ヒロシ様。明日からの仕事が出来ましたね」


「とは言っても、人の問題、場所の問題、設備の問題、資金の問題。考える事は沢山ある。今回の位置づけはその視察と感触を確かめるのが基本線だな」


「一度には無理ですよ。本当に大変ですね」


「ソニアは悪いけど商店の連中を使って誰か伯爵家の城下町で働きたい、また働けるものが居ないかそれとなく調べておいてくれないか?」


「了解よ」


「あとシェリーとロイにはお土産買ってくるから」


「ふふ、そっちも了解よ」


「クロード、伯爵家に持って行くものってどうなってんの?」


「基本はゾイド様とセバスさんが仕切ってますので特にすることはありませんが、商会として相当数の製品を持参していく事にしてます。後は装飾品を含めた金品ですね」


「そっか、十分だ。ありがとう」


「どういたしまして」




そして出発の朝が来た。




皆さん

コロナのニュースが連日報道されております。

深刻な状況になると大変です。

十分にご注意くださいね。


家でゆっくり異世界社長をもう一度読み直すとか評価を付けるのも良いかも知れません。(^-^)


お読み頂きありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

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