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本当にいつも応援して頂きありがとうございます。
この場を借りてお礼申し上げます。
これからも頑張ります。
「まったく。なんかじいさんの掌の上って感じがするな」
「はは、そう言うな。ワシはお前と出会えて人生が楽しくて仕方がない」
「そう言ってくれると救いがあるよ」
「「おと兄!!」」
お、シェリーとロイが走ってきたぞ。
「おと兄、おめでとうなの!」
「おと兄、おめでとうだね!」
二人は俺の膝の上に登ってくる。
「ああ、ありがとう、嬉しいよ」
『しかしお前たちもそれで良いのか?』
無邪気な子供たちを見て思わず俺は一人呟く。
「良いに決まってるじゃない」
「サティ?」
「嫌なら膝の上になんて来ないわよ。ねえソニア?」
「ふふ、そうね」
「そっか、なら良いんだ」
「ヒロシ様、この度はおめでとうございます」
「ああセバスさん。ありがとう。何か色々あるけどまた相談にのって下さいね?」
「もちろんですよ。いつでもおいで下さい」
「おうヒロシ! おめでとう! サティはこんなだけどよろしく頼むぞ!」
「こんなって何よ! ぶっ飛ばすわよ?」
「アッガス、来てくれたんだな。ありがとう。まぁ、頑張るよ」
しかし、サティに謝辞を良いに来る人ってすごい多いな。ほとんど獣人族の女性しかいないぞ。皆、泣きながら抱きついてる。やっぱりあれか?親衛隊なのか? 驚いたのはアンジーまでもがお姉さまとかいって抱きついてたことだ。お前らいつ知り合ったんだよ?
あ、ルナが来た。こいつ涙と鼻水で顔が大変なことになってるぞ。
「ウググッグッグ」
「おいおい、ルナ、大丈夫か?」
「グウウグググッッ」
「ちょ、ちょっと待てサティ。おいルナ、これで顔拭け。エライ事になってるぞ」
俺はハンカチでルナの顔を拭いてやった。『チーン』あ、ハナかみやがった。
「ルナ、いらっしゃい」
「お姉さまぁぁぁぁ!」
ルナはサティに抱きついて顔をうずめて泣いている。めくるめく百合の世界について実は俺はとやかく言う気はない。俺がおかしいのかも知れないが、男じゃないなら良いかなぁという気持ちだ。言っておくが薔薇はダメだ。薔薇の人達、ゴメンな。
お、ルナがこっちに来た。何で俺を見る目がいつも据わってんだよ、お前さんは!
「言いたくないけどこの度はおめでとうございます。でも万が一サティお姉さまを悲しませることが一瞬たりともあろうものなら、我ら一同この身が砕け散ろうとも...7代先...いや末代まで...」
「コエーわ!」
あと、暁の砂嵐や天空の剣をはじめギルドや商店の人。レイナやシンディ、カールをはじめ工場でいつも頑張ってくれる人たち。本当に色んな人が集まってきてくれた。
俺はこの世界で家族を持ってしまった。これからはもっと頑張らないとなぁ。
あ、そうだ。
「なあクロ」
「如何されましたか?」
「お前たちってさ、いつからどこに居たのさ?」
そうなのだ。いつからどこに居たんだ君たちは。
「二階です」
「え?」
そうか、二階があったのか。
「黙っててすみません。はじめから居たんですよ」
「そうか、全然気づかなかったよ。じゃあ何?俺たちが外に出てから降りてきたわけ?」
「ええ、そうですよ。急いで色々準備をしたりして」
「そうか、悪かったなというかありがとうな」
「とんでもございません。こっちも早くしないと大事なイベントを聞き逃す恐れがありましたからね」
「あぁ、そうかぁ。ん? イベントを聞き逃す?」
「ええ」
「イベントってなに?、まさかお前ら聞いてたの?」
「聞いてましたよ?」
クロはいつもの『当然ですけど?』みたいな顔をしている。
ムカつく。
「き、聞こえるわけないだろう!どんだけ離れてると思ってんだよ」
「いえ、獣人からすればあんな距離ないのと一緒ですよ。しかもルナさんをはじめ兎獣人も数人いますからね。なんと言うか、ヨユーっすよ。超ヨユー」
「う、嘘だ。聞こえるわけないじゃないか...」
「あれ? 信じてない? 『この指輪はエンゲージリングといって...』このセリフ良いっすねぇ!」
「おおおお」
「極めつきはあれっすよ。『サティ、返事を聞かせてくれるかい?』そしてぶちゅーっすか。カーッ、渋い、チョー渋いっすよ!」
「キョ...」
「キョ?」
「キョエエエエエエエエ!!!」
「ちょ、うわ、飛びかかってきた! ちょっとヒロシ様! 痛っ、痛い! 痛いです! いたたたた!!」
「ゴァ! ゴアゴアアア!」
「ちょっと! サティさん! アッガスさん! 助けて! 痛っいたたたた!」
俺はクロの現代若者用語にキレたのか、自身のセリフを全て聞かれたのが恥ずかしくてキレたのか分からない。ただ、俺は皆に止められるまでクロの耳を引っ張り続けてやったのだった。
こうして、この楽しい時間は皆が酔いつぶれて眠るまで続いた。
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皆が酔いつぶれて寝ている様子を見ていた。こんなどこの誰とも分からない俺の為に集まってくれた人達だ。
「みんなありがとうな」
「どうしたのよ、しんみりしちゃって」
「サティ、起きてたのか」
「ふふ、当たり前でしょう? 眠るときは旦那様と一緒よ?」
「お、おう」
やべぇ、可愛い。
「さぁ、もう私たちも眠りましょ?」
差し伸べてくるサティの手を掴む。
「私たちは二階にある部屋で寝て良いそうよ」
部屋に入ると特に何も話す事もなく俺たちはそれぞれシャワーを浴びる。俺がシャワーから出てきた時、サティはバスローブを着て窓際に立っていた。
「サティ」
声を掛けると同時くらいだろうか、サティはこちらへと振り向いた。
その抜群に美しい体を柔らかな月光が優しく映し出す。月明りが描く光と影のコントラストは彼女の魅力をより一層強くしている。
男と女は夜空に浮かぶ優しい月の光に照らされて、いつしか静かに眠りにつくのだった。
二人抱きしめ合いながら。
ここで区切りとなります。
サティとようやく結ばれました。
ソニアとの絡みは賛否両論あるかと思いますが、
作者としてはこれで納得しています。
皆さんはどう感じておられるでしょうか?
これからも彼らの人生を応援して頂ければ幸いです。
引き続きよろしくお願い致します。