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今日中にあと2話投稿予定です。

 食堂に行くと既に祖父母が座っていた。周りに数人メイドさんみたいな人がいるぞ。こっちは執事さんかな? もしかして良いお家柄の人なんだろうか?


「小僧もう大丈夫なのか?」


「ええお陰様で。特に問題ありませんよ」


「そうか、なら良かった。こっちのばあさんはワシの嫁での。レザリアだ」


「ごめんなさいね、あなたの体調のこともあるから食事の内容について変更してもらっててねぇ。様子を見に行けたら良かったんだけど」


 そうだよな。ソニアさんがおばあちゃんに食事の用意をさせてたわけじゃないよな。おばあちゃんが誰かにさせてたって事だよね。ビックリした。


「そうですか、はじめまして相原比呂士と言います。この度は本当にありがとうございます」


「いいのよ、いいのよ。大変だったねぇ。さ、早く召し上がれ」


「ありがとうございます、では頂きます」


「お兄ちゃん、これ美味しいのよ」


「お兄ちゃん、これも美味しい」


 シェリーとロイがサラダやら肉やらをお皿においてくれる。なんてかわいい子ども達だろうか。しかしここにもサンドウィッチがあるんだな。からしマヨネーズが美味しいぞ。大使館か領事館があれば日本に戻してもらえるだろうか。こんな時だからこそか、家族がやけに恋しくなる。


「どうしたの? お兄ちゃん泣いてるの?」


「ちょっと家族を思い出して......じゃなくて泣いてなんかないよ?」


「ふーん。変なの」


「お兄ちゃん、どこから来たの?」


「えーとね、東の小さい島からだよ」


「東にニホンって島なんてないよ? ずーっと地面が広がってるの。その向こうは海を挟んでジルコニア大陸。その間にいくつか島はあるけど日本って島はないよ? さっき地図で見たでしょ?」


「え、そうなのかい? でもシェリーちゃんは物知りで賢いんだね。驚いたよ」


「エヘヘ、すごいでしょ?」


 照れるシェリーちゃんだが本当に賢いな。見たところ小学生の低学年だぞ。


「シェリーは記憶力が良いのよ。あと簡単だけど治癒魔法が使えるわ。あなたも少し打撲の跡があったようだけど、シェリーが治してくれたのよ」


「そうなのかいシェリーちゃん? 本当にありがとう、助かったよ」


 打撲跡があったのか、恐らく機内でいろいろとぶつけた時だろうな。しかしそれなら機体はどこにある? ほかの乗客はどこだ?


「僕が倒れてた時に周りに他の人が誰かいませんでしたか?」


「いなかったよ? お兄ちゃんだけ」


「そうか、何となくだけどそうだろうと思ってた。ありがとう。ところでゾイドさん、ギルドと言う場所に行くという話でしたが、そこは冒険者が集まる職業斡旋所のような場所の事であってますか?」


「職業斡旋所......まぁそういうところだ。お前さん持ち物も何もないし、分かってるのは名前だけだろう。ギルドに行けばたいていのことは分かるからきっと助けになる」


「そうなんですか?」


「ギルドはいわば市民の登録所みたいこともやっていてな。冒険者はもちろんギルドカードを発行してもらえるが、市民にも役所の代わりに市民パスを発行しているんだ。だから小僧のパスがあるかもしれん。まぁ、今までにこの国に来たことがあれば、の話じゃがな」


 ふむ。いわばこの国、いやこの世界と言って良いかも知れないが出入国管理と市民登録もやっているという事か。まぁそうだな。そうでないと誰でも国の出入りが自由ってことになる。


 ギルドってのは日本にはなかったが外国には......いや待て。さっきさらっと聞き逃していたけど、シェリーちゃん治癒魔法が使えるとか言ってたな。流石に魔法はないだろう。おまじないなのか? でもソニアさんはマジっぽかった。おまじないでしょ? ではなく()()()()()()とはっきり言っていた。

 

 つまりここは日本どころか地球ですらない可能性がある......のか? まだ、起きたばかりなんでもう少し情報を......と思いながらふと窓の外を眺めた。


 おい、何かすごいものが目に入った気がしたぞ、今。


「すみません、食事の途中ですが窓の外を見ても良いですか?」


「あぁ、構わんぞ」


「お兄ちゃん、ダメなのにー」


「ごめんよロイ君。すぐに戻るからね」


 外は石畳の道。石造りの建物。道路を挟む家と家はロープで結ばれ国旗か何かがはためいている。一部洗濯物を干しているな。通りには馬車が走り店や屋台が並んでいる。中世の世界のようだ。


 もっとしっくりくるのは何だろう。天空の城ラブータの世界観に似ているか? とか思いながら俺は自身の予想はもうほとんど外れていないのではないかと考え始めていた。


 だって......馬車を引いてるの......馬じゃなく大きなトカゲだもん。腰が抜けるかと思った。


「馬車は馬が引いてないんですね?」


「馬だろうが、あぁ、ホスドラゴンの事か?」


「あの大きなトカゲ、ドラゴンなんだ」


「ドラゴンつっても人を乗せたり物を引いたりするのが得意な魔獣だ。野生のホスドラゴンには気性の荒いのもいるが、馬車を引いているのは基本的に人に慣れているからな。草食だからめったなことで人も襲わん。後、当然だが馬もいるぞ」


「魔獣」


「魔獣じゃ、何かおかしいかの?」


「ああ、いえ」


「なんじゃ、初めて見たような顔じゃな」


「まぁ、はい」


「はぁ? ホスドラゴンが居ないってのはニホンって馬車がないのか?」


「いえ、昔はあってですね、馬が引いてます......ました」


「ふーん、よくわからんのう」


「お兄ちゃん嘘言ってないよ?」


「うん、え?」


「こらっ、ロイったら。ごめんなさいね、この子人の言ってることの真偽が分かるみたいなの。多分将来発現する技能(スキル)の影響が出始めてると思うの。もう少し大きくなったら制御できるようになると思うのよ」


 スキルですか。いよいよ決定か。食事を終えた俺は、明日行く予定だったギルド行きを前倒しして今日行くことにした。




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「着いたぞ、ここがギルドじゃ」


 俺はゾイドさんに案内されギルドに到着した。ここにはゾイドさんが所有する馬車でやってきた。ゾイドさんたちの宿屋は繁盛しているのか外から見たら他の家よりかなり大きな建物だった。家の隣が宿屋になっているようで、かなり大きな土地を確保していた。


 最初宿屋とか食堂とかって言うから小規模なものを想像してたがとんでもなかった。【銀龍の鱗】と呼ばれるホテルはアルガスの街で一番大きな宿屋らしい。もうホテルだなこの規模は。食堂と宿屋は多くの従業員を雇っており、祖父母はほぼ隠居状態らしい。


 いつもは違う場所に住んでて、たまたま別宅代わりに使っているこの家に来ていたらしい。この規模の家が別宅かよ。要するにあれだ金持ちってことだね。馬車を運転してくれているのはセバスというさっきダイニングでみた執事だ。それっぽい名前で嬉しかったよ。


 ギルドもこれまた大きな建物だ。大きな看板には『アルガスの盾』と書いてある。ちょっとした市役所くらいの大きさはあるんじゃないのか? なんでも中には食堂や武器防具などの店舗、簡易宿泊施設や闘技場など様々な設備があるらしい。俺は少しビビりながら爺さんの後をついて行った。


「コロナ。ケビンは居るかの? サティでも良いんじゃがの?」


 じいさんはコロナと言う受付に居る娘に声をかけた。あれ? この子......なんだか猫みたいだな。これが俺の第一印象だった。


「あ、ゾイド様。今は二人ともギルド長の部屋にいるかと思います。ちょっとお待ち下さいね。あのー、はいコロナです。今受付にゾイド様がお越しになられてましてギルド長に面会を希望されてます。あ、ハイハイ、分かりました。それではご案内します」


 昔の電話機のようなもので話している。電話ではないか。筒形の音を響かせて伝える仕組みのやつだ。昔の映画で出てくる潜水艦とかで使ってるやつだ。


「ゾイド様、ギルド長はすぐ会えるようですのでこちらへどうぞ」


「うむ、助かる」


「ゾイドさん」


「なんじゃ、小僧」


「様付けなんだな」


「そうじゃな」


 じいさんは特に何か言うわけでもなくそのまま受付嬢の後をついていく。オレもその後に続いた。コロナさんの頭の上で耳のようなものがピコピコ動いている。耳か? 耳なのか? 


 さらにお尻辺りにはシッポのような、いやこれはもうシッポだろう、がユラユラと動いている。どう解釈すればいいのか。俺の現実が崩れていく。


 大きな扉の前に立つと受付嬢は扉をノックする。


「コロナです、ゾイド様をお連れ致しました」


「いいぞ、入れ」


 コロナは扉を開けて俺たちを中へと促す。じいさんはひと言ありがとうとコロナに言い中へと入っていった。俺もお礼を言ってついて行ったぞ。中に入ると奥の大きな机の向こうで男性が座っている。横のテーブルには美人のお姉さんが座って、いや立ち上がってこちらに近づいてきた。


「ゾイド様、どうぞこちらへ」


「ありがとう、サティ少し邪魔をする」


 爺さんと俺はサティさんに促されソファに座った。



読んでくれてありがとうございます。

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