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ここから新展開となります。

引き続きよろしくお願い致します。

 たまに昼食はソニアさんとクロと3人で外で食べている。いつもはメイドさんが作ってくれるのだが気分転換も兼ねてだ。ずっと店の中にいると気が滅入ってくるし、新しい発見もないからね。


 サティは狂犬(ハウンドドッグ)のカタが付いたのでギルドに戻っている。時間がある時にはギルドによってサティも誘う時もある。今日は天気も良いし誘うつもりだ。


「なによ?」


「いや、良かったら昼食でも一緒にどうかなと思って。もし弁当があるとか約束があると...」


「行くわよ。行けばいいんでしょ?」


「いや、だから無理にとは言ってな...」


 俺の培ってきたしっぽ判断ではサティは悪い気はしてないとは思うのだがな。毛並みの良いしっぽがフッサフッサと左右に揺れている。『誘ってよかったよね?』とクロに聞くと、


「はは、ヒロシ様、これはあれですよ。俗にいうツンデレ属性と言うのに当ては...グホゥ」


「クロちゃんはお喋りなのかしら?」


「い、いえ」


 サティの剣の柄がクロの脇腹にヒットしている。地味に痛そうだ。少し涙目になってるぞ。


「スパゲティの美味しい店があるそうなんだよ。そこに行こう」


「良いわね、ヒロシ君楽しみだわ」


 レストラン「森の番人」で俺達4人はそれぞれスパゲッティを注文した。まずは飲みものと一緒にチョリソーを楽しんでいる。ちなみに俺はビールだ。昼間っからビールと思うかもしれないがここでは昼間からビールやワインを飲むのはダメという習慣はない。もちろん飲んだくれるのは論外だが、昼食のひと時に軽く一杯ってのは日常の風景だ。他の3人はワインを飲んでいる。ワイン作ってんのかな?


 昼食どきだからか、店内はよく賑わっている。冒険者とみられる人間も多いが、商店や主婦、様々な層の人たちがいるようだ。因みにここが特別繁盛していると言う訳ではない。他の食堂やレストラン、露店も含めある程度の客は入っているように見える。


「アルガスは、なんと言うか経済が上手く回っているのかな?」


「と言いますと?」


「当たり前の風景と思いがちだろうが、貧しい国では外で散財することはあまりない。ある程度経済が動く、そうだな、皆にお金が上手く行き渡らないと、誰も金を使わなくなるんだ。そうなると、店に落とす金がなくなる。店はお金が入らないと材料を買わなくなる。材料が要らなくなると狩りの仕事が減る。狩りの仕事が減ると、ギルドの依頼が減る。ギルドの仕事が減ると冒険者や商人たちの仕事が減る。つまり俺たちの仕事がなくなる、誰もお金を持ってないという事だ。」


「なるほど」


「まぁ例えとしてはちょっといい加減だけど、金がないなら外でご飯なんて食べれないだろ?」


「そうねぇ」


「じゃぁ、どうやってお金は回るのかしら?」


「まぁさっきの話の逆だな。適度に仕事をして適度に使うってのが一番良いんだ。金に執着して貯め込み過ぎてもお金は回らなくなる。ある程度のお金は使わないと意味がないんだよ。社会に貢献できる仕事が皆の為になって街や国を豊かにするんだ」


「ヒロシ君がやってる仕事も冒険者とか病気の人には頼りにされているわよね」


「そうね、ギルドでもありがたく使ってるわよ?」


「ヒロシ様の仕事は素晴らしいです。尊敬できるお仕事ですよ」


「エヘヘ、ウフフフフ。まぁ、そうなんだけどね。でも薬品ばかりの仕事もダメだと思ってんだよね」


「照れてるのかしら?その顔もまた良、、ゴホン」


「この間、変な薬作ってたわよね?」


 おっと、ソニアさん今その話するか?


「どんな薬なのかしら?」


「あのね、どうやら男の人が元気になる薬らしいわよ」


「元気になるとは?」


「あのね...そうね、夜の営みの時に飲むと、なんかすごいんですって!」


 どうしてソニアさんが知ってるんだ?クロに目をやると『私は知りません』と言う視線を返してきた。恐らくセバスさんかじいさんに聞いたなこれは。ソニアさんの質問を無碍にできるほど強くないからな。孫ラブだから。当然ひ孫に対してはもうあれだ、表現できない。


「へー、ヒロシはどうしてそんな薬が欲しかったのかしら?」


 最近ようやくサティは俺の事をヒロシと呼びだした。2人の時はヒロくんって言うぞ。顔真っ赤っかで。かわいらしい。だが、今はこの質問に上手く答えることが先決だ。やめろ、剣の柄から手を放しなさい。


「いや、あれだよ。偶然に発見した?みたいな感じなんだよね。それにこれもれっきとした人助けだ。男性の悩みは、相方の女性の問題にもなり得るからな」


 すっげぇ適当な理由だ。サティのジト目が痛い。


「ふーん、まぁ良いわ。む、群れを増やす時に便利かもね」


 Oh,なんてこと言うのですか、昼間っから。


「サティさんは、その誰と、む、群れを持つのかしらね?」


「まぁ、そうね、だ、誰かしらね? そういうソニアはどうなのかしら? そろそろ新しいオスが必要なんじゃないのかしら?」


 サティはソニアさんの事も普段は呼び捨てにしている。獣人も呼称は男性女性なんだけど、普段は『オスメス』で話す時が多い。俺はこの2人の会話をクロと静かに聞いている。


「まぁ、そうね。シェリーとロイにも父親が居たらなと思う時はあるもの。もちろん私も含めてよ?」


「ならソニアは、その、だ、誰と群れを持つのかしらね?」


「まぁ、そうね、だ、誰かしらね?」


 君らは語彙が少なすぎるんじゃないのか。しかし、俺達も横で聞いてるとちょっと恥ずかしい内容だが。


「ヒロシ様も大変ですね...」


「いや、クロよ。こう言うのは深く聞いたらダメなんだよ。流すんだ、その時が来るまでな!」


「それはいつもの問題の先送りと言う奴では...」




お読み頂きありがとうございます。

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