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ランキングで日間BEST300入りしました。

本当に皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

引き続き楽しんで頂ければ嬉しいです

「襲撃だと!?」


 よく見ると森の向こう側より一人、また一人と人が出てきた。左右からも出てきている。かなりの人数だ。彼らはゆっくりと、だが確実にこちらへの距離を詰めてきている。50人以上居るんじゃないのか?


 ヤバい、どうする? 逃げてもこの人数ではすぐに追いつかれる。俺たちだけで逃げるか? バカヤロウ! そんなこと冒険者のやる事じゃねぇ。少しでも時間を稼いで向こうの出方をみて、スキを突いて逃げるしかないか。


 最悪、積み荷は置いていく事になるが...仕方ない。男爵家にはこの俺の身をもって責任を取るしかない。俺は簡単に仲間に俺の意思を告げた。ダンとルナは俺の目を見てしっかりと頷いてくれた。ロビンはどこか遠くを見ている、何を見ているんだ?


「止まれ! お前ら何者だ! この馬車がリンクルアデル領、アルガスの男爵家の馬車だと知っての事か!」


「あぁ、よ~く知ってるぜ!」


「!!」


 人垣が割れるよう開いたかと思うと頭の禿げた背の高い男が出てきた。この盗賊団のリーダーだろう。


「貴様ら、盗賊だな?男爵家にこのような振る舞いが許されるとは思ってはいまい? 今なら見逃してやる、さっさと帰れ!」


「ヒャッハッハ、おい、聞いたか野郎ども? 帰れだと。男爵家と知っての事かと言ったな? あぁ、知ってるぜ! その馬車が男爵家ってことはな。高価な積み荷、高額な依頼料、金貨200枚だったっけかぁ? 今日、この日、ここに、お前たちが来るのは全部知ってんだよぉ!」


「何故? 何故しっている?」


「何故だって? そりゃぁ決まってんだろう。教えてくれたからだよ、そこの男がなぁ。なぁ! ロビン君よぉ!」


「な、なんだと! おい!ロビン! あいつが言ってる事は本当か? 本当なのか! どうなんだ!ロビン!答えろ! お前は...お前は俺たちを裏切ったのか!!」


「そんなに怒るなよぉ、ロビンは賭場の借金が膨れてなぁ、首が回らない状態でなぁ。アッハッハ」


「ロビン、貴様なんてことを......」


「ロビン! 嘘でしょ? 裏切ったなんて嘘よね。嘘だと言ってよ!」


「さぁ、どうする? ま、どうするもこうするもないがな。お前らは皆殺し。女は頂いて後で犯してから殺す。これで誰も男爵家に言いようがないだろう? 逃げたきゃ逃げれば良い、逃げられるもんならな。いつも冒険者の連中は真っ先に逃げ出すから、笑いが止まらんぜ」


「貴様......舐めるなよ! この暁の砂嵐は決して逃げん! 依頼主を守り抜くことが、今の俺の使命だ!」


「くせぇ事言ってんじゃねぇぞ! お前は死ぬんだよ! 仲間に裏切られて、女が犯されるところを見ながらなぁ! ロビン、早くこっちに来い。お前は約束通り生かしておいてやる。早くこっちに来いや」


「ロビン......」


 手が、剣を持つ手が震えている。裏切られて、このままでいいのか? でもロビンを殺すのか? 今、ここで?


「ロビン、頼む、嘘だと言ってくれ。裏切っちゃいないよな? 俺らを売ったりしてないんだろう?」


「......裏切ったさ。」


「「「え?」」」


「裏切った、俺はお前たちの期待も何もかも! 俺は裏切っちまった。でも信じてくれ。俺は、俺は......俺はお前らを裏切っちゃいない......俺が裏切ったのは、お前だジャギル!」


「あ? なんだと?」


「俺はもう少しで人間のクズになっちまう所だった。すまん、コビー、ダン、ルナ、俺はもう少しで闇に堕ちてしまう所だった」


「お前、何を言って...裏切ったんじゃないってんならこの状況はどういう事だ? おい、ロビン! ロビン?」


「ぐっ......ぐううううううっっ!」


 ロビンは泣いていた。


「もう宜しいでしょう」


 その時、セバスチャンが立ち上がり言った。


「お前がジャギルか。ようやくその面を見ることが出来ました。ローズ、扉の鍵を。そしてロビン、いつまで泣いているのですか? あなたの仕事はこれからですよ」


「はい......はい......」


「「「どういう......事だ?」」」


 俺たちは理解が追いつかない。

 

 それはジャギルも同じことだった。


「おい、こらジジイ! 何を訳の分かんねぇこと言ってんだ!?」


「分かりませんか? 分からないんでしょうね。罠にはめられたのはあなたってことですよ」


「なんだと?」


 その時ローズが開けた扉が開いた。何故ローズさんは扉を開けているんだ? と思ったらなんと中から人が出てきた。


「お前、コビーだったか? よく言った! 感動したぞ。あとロビン、しっかり言い切ったな。お前もよくやった」


「アニキ、ヒロシのアニキィ......うううううう」


 俺はホントに意味が分からない。なに? この馬車、人が乗ってたの? しかもあの気性の激しいロビンがアニキって呼ぶって......なに? 誰この人? 俺はダンとルナに目を向けるが2人とも全く分かってないようだ。


 馬車からは後から2人出てきた。一人は男性だが知った顔ではないな。見た感じ狼獣人のようだ。そしてもう一人は女性、この人はアルガスの盾のサティさんじゃないか!


「サティお姉さま!」


 ルナが叫んだ。え? ルナ、お前サティさんを『お姉さま』って呼んでたの?


「サティ、お姉さまだってよ。尊敬されてるね?」


 この男性誰なんだ? 何故この男がサティさんと懇意にしているんだ。しかも呼び捨てだと?


「ふふん、私も頑張ってるってことよ」


 サティさんも呼び捨てで呼ばれてもまんざらでもなさそうだ。気になる。そんな場合ではないのだが。


「あぁ、そうだな。ローズ、俺の得物を。あぁ、ありがとう。ここは俺とサティとクロードで任せてもらおう。セバスさんは、ここでこの3人と討ち漏らしを頼めるか? ローズはそうだな、馬車の向こうの離れた所でお茶の用意でもしててよ。ロビンは分かってるな、お前は走れ」


「「心得ましたヒロシ様」」


「アニキ、分かった、すぐに行くぜ!」


 ロビンは馬に乗って駆けだした。おまえ素直すぎんだろ...どうなっているのか...


 ヒロシと言う男は黒のコートを纏い、黒のマスク、口面と言うのだろうか?を装着する。口面は鬼が口を開けたようなデザインとなっている。怖い。黒の髪も相まってほぼ全身黒一色だ。長い得物を持ってこちらを見る様子は何だろう......どう形容したら良いのだろうか。


 しかし、男爵家家令の男が様付けて呼んでいたよな今? もしかしてやんごとなき立場のお方なのか? いずれにせよ俺たちも様付けで呼んだ方が良いのは間違いないよな? 同じことを思ったのかダンとルナもこちらも見て頷いている。


 サティさんはいつもと同じ赤を基調にしたスリットが入っている膝元辺りまでのスカート?を装備し腰元には剣を携えている。上半身は動きを阻害しないような胸当てを付け、短い赤のマントを羽織っている。


 肩口と両腕にも赤を基調としたプロテクターを装備している。足は膝までの赤いブーツだ。剣はいつもは2本なのに今は1本しか差していない。男性から見てもカッコいい。ルナが夢中になるのも仕方ないというものだ。


 クロードと言われた男は深い青を基調とした革製の衣装だ。フードの付いた革製のジャケットのようなものを羽織っている。両手と両足にはプロテクターを当て、手には銀色のナックル、いやガントレットか? を装備している。


 ジャキン! という音と共に刃の付いた銀色のクローが飛び出してきた。カッコいい。格闘家? いや武闘家と言えば良いのだろうか?


「さぁ、お三人方はこちらへ。万が一こちらへ来るバカがおりましたら我々で対応しましょう」


「対応って、一緒に行かないと......50人以上はいるんですよ?」


「特に行く必要は見当たりませんね。理由は3つあります。一つはこれは男爵家の意向もあり、今件は私どもで何としても処理したい。もう一つは、申し訳ありませんがあなた方ではヒロシ様の足を引っ張りかねない。そして最後に彼奴等如きではヒロシ様の相手には到底ならない。と言うことです」


「は?」


「まぁ、ここに居なさい。それで分かります」





実はランキングの確認先を間違ってまして、

違うカテゴリーばかり見てました。

改めてお礼申し上げます。


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