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今日も何話か投稿したいと思います。
よろしくお願い致します。
ギルドに冒険者の男がやって来たのは夕方だった。
男は掲示板から依頼用紙を選ぶと受付のコロナのところまでやって来た。そして男は必要な項目を書き終えるとギルドを後にした。
コロナは用紙を依頼中の棚に置こうとした時に1枚の紙切れが挟まれている事に気がついた。彼女は中身を見ると慌てたようにギルド長の部屋へと駆けていったのだった。
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「それでは発表します」
店の中、俺はポケットからカンペを広げて皆を見渡した。俺の眼前には店を構えておおよそ1年、着いてきてくれた仲間達がいる。
「ええと、皆さんには大変お待たせしたというか、僕自身考えは決まってたんですけど、えーと、何と言うかタイミングと言いますか、あのーえーと」
「早く言いなさいよ」
サティだ。
「あ、ハイ。皆さん、今までこの店を支えて頂いて本当にありがとうございます。兼ねてから懸案になっておりました社名、お店の名前ですね、これを決めましたので発表したいと思います」
皆注目している中、俺は発表した。
「お店の名前は、Namelessです。色々と考えたのですが、この店も名前がないにもかかわらずお客さんもたまに来てくれます。だからあえて名前を付けるのも今更っぽくなってきていたのも実は僕の中にはあって」
俺は続ける。
「でも反面、名前を早く決めたい思いもありました。だから、Nameless、名前の付いていない、また知る人ぞ知る、と言う意味があるこの名前にしました。皆が好きに呼べばいいかと思います。「名無しの店」とかって呼ばれるんでしょうかね? あと理由としてはアザベル様に由来する名前も考えたんですけど、それを考えると余計に付けられなくなってしまって」
俺はそこで皆を一度見まわした。
「大いなる神々と天使たち。彼らはきっと僕らを見守ってくれてるんでしょう。誰かが神々に祈るほど手に入れたいかけがえの無いモノ。そう言う大切な物をあなた達と実現していきたい。名前もないこの店を皆が大事に、大切に、そして頼りにしてくれるお店。そういうお店にしていきましょう。皆さんこれからもよろしくお願いします!」
「わああああぁぁ!」
皆さん拍手で応えてくれた。嬉しくて涙が出そうだぜ。
「それから、ここから改めて歩んで行く為に、組織も決めました。組織というのは会社、このNamelessを正しく運営していくために役割と責任を明確にしたものです。仕事が多くなると、それだけ給料が多くなりますが責任も大きくなる。その際に発生しがちな問題を組織化する事で皆さんに平等に仕事を頑張ってもらえる仕組み作りの一環だと思ってください。今の段階は責任者だけとなります。それでは発表します」
俺は順番にメンバーを紹介した。クロードは部長、この店を実質取り仕切る。続いてソニアさんだ。彼女には経理部長をしてもらう。次はレイナさんだ。彼女にはフロアリーダーをしてもらう。
彼女の役割は従業員が上手く仕事できているか、お客様に対してキチンとサポートできているか、など考えて貴方達のリーダーとして作業全般を見てもらう事になる。最初は初めてて戸惑うだろうが、それは仕方ない。俺が頑張ればいいだけの話だ。
そして俺がこのNamelessの社長になる。説明を終えた俺は皆に改めて声を掛けた。
「よろしくお願い致します!」
「わああああぁぁ!」
もう一度大きな拍手が起こる。
「今日は新しい門出といことでゾイド男爵のご好意でホテルのレストランを貸切にしてもらいました。今日はそこにご馳走を用意しましたので、皆で楽しくこの新しい門出を祝いましょう!」
「わあああああ!」
この日一番の歓声が湧き起こった。
じいさんありがとう。
お読み頂きありがとうございます。