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あと2話更新します。

よろしくお願い致します。

 引越しの日がやってきた!

 今日はいい天気だ、良かったぜ。俺は外の空気を吸い込んだ。空気がきれいでウマいと感じれるのは幸せだ。


 あれから俺の荷物は増えた。増えたものは『薬草』だ。他にはない。本当に悲しい。でもクロードが色々と用意をしてくれた。出来る男だ。荷物の搬入はシェリーやロイも手伝ってくれたぞ。


 チョコチョコして可愛らしいさ満点だ。荷馬車数台に積み込まれた荷物は男爵家を後にし街へと向かった。この馬車に何が詰め込まれているのか俺は知らない。俺とクロードしか住まないのに何故だ。


 新しく改装された住居は立派な商店へとその姿を変えていた。元々大きな建物だったが以前より少し小さくして機能性を上げたらしい。新築じゃないよな?


 1階は店舗。奥が作業場。会議室とか色々ある。2階がメチャクチャ広いリビングとダイニング。それにバス、トイレだ。キッチンは別室に設けられている。基本的に家主は入らないからとのこと。


 俺は一般人なのだけどな。3階は客室に従業員の住居スペースだ。多すぎやしないか? そして4階が寝室。ここにもバスとトイレ、簡単なキッチンが完備されている。


「クロさんや、4階には寝室が一つなんだがね?」


「私たち執事やメイド、または住み込みの従業員が入った場合など、全て3階で生活致します」


「4階は俺一人ってこと?」


「当然でしょう?」


 クロは当然でしょう?って顔をしている。当然なのか?


「あと、メイドとは?」


「メイドとは主に家の掃除洗濯炊事など家事全般を行うエキスパートです。まずは7名ほど用意しました」


 それは知ってる。聞きたいのは何故いるのかってことなんだけど。


「当然でしょう?」


 聞こうと思ったら先に言われた。その顔はやはり当然でしょう? って顔だった。


 じいさんが到着し、馬車より降り立った。


「どうだヒロシ? 気に入ったか?」


「僕には手に余るのではないかと緊張しております」


「何にも心配しとらんよ。好きにすればいい」


 そう言いながらじいさんは、後ろに控えていたセバスに目配せをする。それを見たセバスは執事とメイドに『かかれ!』と号令をかけた。と同時に商店へと荷物をもってなだれ込むエキスパートたち。


 その動きには無駄がなく前世の0123を思い出す。セバスは後ろで腕組をし細かな指示を出している。信じられないだろうがこれだけ大規模な引っ越しが夕暮れ前で終了した。


「では、困ったことがあればいつでも何でも言ってくるがいい」


 じいさんたちはそう言い残して去って行った。前から思ってたが、このじいさん男前すぎるんじゃありませんこと? 引越し祝いは中の整理整頓が終わってからとのことで来週に行う事になった。


 リビングで紅茶を飲む俺とクロード。周りにはメイドが控えている。あとソニアさん。あれ? どうしてここに?


「私たちもここに住もうかと思って。以前は私だけだからダメっておじいちゃんに言われてたけど、今はヒロシさんやクロちゃんもいるから大丈夫だろうって」


「「よろしくね!」」


 知らんかったやで。


 隣のクロをみると当然でしょう? って顔をしている。お前それで全て終わらすつもりじゃないよな? まあいいや、そうですか、するとその隣に座っているサティも。


「当然でしょう?」


 ですよね。クロお前は言葉に出さなくても顔で分かる。とりあえず護衛期間中だけってことだったけどね。


「そうですか、皆さん色々ご迷惑をかけるかもしれませんがこれからよろしくお願いしますね」


 みんなニッコリ笑ってくれたぞ。俺はここで頑張るぞ。


「あれ? その場合サティやソニアさんと子供たちはどこで寝るんだ?」


「私は三階よ」


「私たちはこの階よ。子供たちも近くにいるからリビングとかキッチンが近い方が便利なのよ」


 しかしホントにでっかい家だな。あの奥にまだ部屋があるってのか? 外と中では見た目の空間に差がありすぎる。魔法ではないよな? この国の建築技術には恐れ入ったぜ。最初大した事ないかもとか言ってすまんかった。


 子供たちはパジャマを着て新しい部屋とリビングの間をキャッキャと走って往復している。時には俺の膝の上に飛び乗ってきたりしてソニアさんに怒られてるぞ。そんな様子をサティが見ている。こんな優しい目もできるんだな。と思ったら目が合った。


「な、何よ?」


「いえ、優しい顔だなぁと思って」


「バカね!」


「すみませんでした......」


 クロよ、お前の情報古いってことないよな? 怖いんだけど。


 一つだけこの建物を作る際にお願いしておいたことがある。小さくても良いから神棚を(こしら)えてもらう事だ。この世界では神棚を祀る文化はなく聖儀堂と呼ばれる教会に行くことが普通らしい。


 俺の話を聞いて男爵家にも(こしら)えるってじいさんは息巻いてたぞ。頼んでいた神棚だが上手くできている。センスあるなこの家を手掛けた設計者は。


 俺はクロに予め買ってきてもらってた上質の紙に直筆で創造神アザベル様と日本語で書き一番奥に置いた。その前にアザベル経典を置き、その両側にはお神酒を置く。本当はその横に榊も置きたかったが似たような葉が見つからなかったので、花屋できれいな花を見つけて飾ることにした。


「ヒロシ君、気になってたんだけどこれは何なの?」


 ソニアさんが聞いてきたからシェリーやロイも含めて全員に説明をした。俺もこの辺の知識はあまりないので、いつでもいいから一日一度は手を合わせてお祈りすると良いと言うに留めた。


 俺もそれくらいしかできない。ただお神酒は毎日、花は枯れる前にできる限り交換した方が良いと言うとクロが直ちにメイドに伝えていた。クロは仕事が早いぜ。


 何日かした後に朝起きて寝室から降りてくると、執事とメイド全員が神棚の前でお祈りしててびっくりした。俺もその後に続いたんだけど、よく見たらアザベル様と書いた札の横に俺の名前も書かれた札が置かれていたのでまたビックリした。何故だ? バチとか当たらないよな? 大丈夫だよな?




お読み頂きありがとうございます。

もう少しで物語はまた動き出します。

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