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よろしくお願いします。

 ユリアンはセントソラリスがノーワンの言惑のスキルによって侵略されようとしていた事が明らかになった事、セントソラリスが事を公にしアネスガルドへ宣戦布告をした事、同時にアネスガルド王家がノーワンによって亡き者にされる可能性があり彼らの保護も視野に入れている事を話した。


 そしてそのノーワンの策略を一人の商人が見破ったという事を。


「なるほど......それで王家の救出にボニータとアンジェリーナ王女が手を挙げたと言うのか?」


「その通りです」


「ボニータが付いているとは言え何という無茶をするのだ......どう思うシュバルツよ」


「無茶を咎めるべきか意外と仲良い事を喜ぶべきか......だが、王家の立場を知り飛び込み、また我らもそれを止めなんだ。そうよな、ダルタニアスよ?」


「その通りだ。我々は間違っておるかも知れぬ。しかしヒロシの側に立つ為に王女は足掻いておるのだろう。自らの在り方を示すためにのう」


「うむ。ワシもそう感じる。結局、あやつ頼みになるかも知れぬがな。いや済まない、ユリアン卿こちらの話だ。それでヒロシは何と言っていたのだ?」


「最悪のケース、つまり今回の事態がアネスガルド王家によって画策されていた場合の事ですが、その場合は速やかに撤退、またそれが難しいと判断される場合には防御に徹するようにと」


「しかしボニータはどちらかと言えば攻撃の方が得意なんだぞ?」


 そこでユリアンはシュバルツ王の方を見た。その視線に気づいたダルタニアス王が口を開く。


「シュバルツ、どういう事だ?」


「お主に隠し事をしても仕方ないの。良かろう。アンジェはヒロシに救われたその際にあるスキルを発現させている。防御に特化したスキルだ」


「ほう、王家にはうってつけの良いスキルだ」


「お主の姫君もな」


「ヒロシとしても王女の我儘に付き合った訳ではなく、あくまで勝算ありという事か。なるほど話は分かった。で、ユリアン卿よ、お主はアネスガルド王家の真実を見極める為に我々に証人になれという事か?」


「その通りです。しかしお二人にはあまり驚いた様子がございませんね?」


「ああ、実はヒロシがセントソラリスに向かう前、ワシらだけに対していくつかの予測を立てて行きおった。アネスガルドと事を構えるかも知れぬとな」


「まさか......」


「本当だ。セントソラリスの宣戦布告まで匂わせておったよ」


『そんな信じられ......いや彼の方にとってはこれ位は造作もない事? あぁ、やはり彼の方は我々の待ち望んだ......』


「何をブツブツ言っておるのだ。ただヤツも王女が付いて行く事までは予想しておらなかったと思うがな。アイツの驚いている顔が目に浮かぶわい。しかしこの状況を考えると王女が居た方が良かったかもしれぬな。それで......我々が今動いても間に合うのか?」


「今からアネスガルドへ移動すれば十分間に合いましょう。彼の方の話ではあの国は滅亡する可能性があると。セントソラリスの女王はもし王家がノーワンの手に堕ちていた場合、またこれが王家の指示であったならそのまま蹂躙する考えをお持ちのようです」


「なるほどな......あと彼の方であるが、もうそれはヒロシの事で良いのだろう?」


「さて?」


「またそれか、要領の得ぬ答えだ。もうバレておるのと同じであろうに? とにかく我々が向かう事に異存はない。それよりアネスガルドへ向かった兵はそれほど多くはないのだろう?」


「万が一の際には国境付近にセントソラリスの聖騎士団が待機しております。戦闘が激化すればすぐに移動可能のようですね」


「何故国境付近なのだ? 王都エルモは大丈夫なのか?」


「彼の方によれば敵軍は王家エルモまで到達しないであろうと」


「どういう事だ?」


「私の口から言える事はエルモは問題ないという事だけです。そしてそれは両国の王女にも当てはまる」


「王女にも?」


「彼の方が大切にしておられる両国の姫君に、私の娘が護衛として同行しております」


「お主の娘?」


「名はラース。リンクルアデルでは天空の剣に属しているはずです」


「シュバルツ知っておるのか?」


「ああ、バルボア奪還に参加した冒険者だ。つまり長老の、最高権力者の孫娘だったと言うことか。ん? しかし確か男ではなかったか......?」


 イマイチはっきりとした回答をしないユリアンにダルタニアス王が苛立ちを隠さずに言う。


「ユリアン卿よ、余は気が長い方ではないのでな、ハッキリ言ってくれた方が助かるのだが?」


「彼の方が我らに頼むと申されたのです。それがどのような無理難題であろうと成功させるのが我々の務め。アネスガルドで戦闘が始まり彼の方に危害を加えると言うのであれば黙って見ている訳には参りません」


「サーミッシュは戦闘を好まずひっそりと暮らす民族ではなかったのか? だが今のお主の顔はどうだ? この状況に喜びを感じているようにすら見える」


 その言葉を聞いてユリアンの口元にはうっすらと笑みが零れる。



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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