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よろしくお願いします。

「この場で堅苦しい事は不要だ、良いな? あとその話だがそれには及ばぬ。着陸態勢が整っておるならば着陸すればよい。むしろキャサリン王妃とアレックス王子が心配だ。ノーワンが王家にその手をかけておらねば良いが......」


「確かに王家も心配ではありますが」


「ゴードン卿よ、お主たちにはこのような危ない所に同行頂いて申し訳なく思う。しかし着陸せねば王家の状態もわからぬ。それに其方たちの王女も心配であろう?」


「ありがたきお言葉です陛下。しかし王女たちの事についてはこちらより撤退する事は容易だと思います。飛行船の場合は一度着陸してしまうと再浮上までに時間がかかりますので」


「ふむ。まあその通りではあるが約定に従わねば降伏したと思われかねぬ。なので余が下りたら一旦飛行船はいつでも飛び立てるよう準備しておいてくれ。それにはゴードン卿も乗っておいて欲しい」


「それは!?」


「ならぬ。お主は非戦闘員であり、リンクルアデルの立会人だ。先程聞こえた通り死地に向かわせるわけにはいかぬ」


「......分かりました。では着陸しましょう。ただそういう意味では既に王女たちの行動もどうかと思いますが。いや、彼女たちがある意味特別なのでしょうね。すみません、忘れて下さい」


「気にせぬとも良い。ゴードン卿の言いたい事は嫌と言うほどわかっておる。皆の者には本当にすまないと改めて心から謝罪しよう。アネスガルド王家がこの状態を望んでおるとは到底思えぬ。だが諸悪の根源でないとの保証もない。分かっているのは決闘に勝ち、ノーワンを捕らえる事にある」


 セリーヌ女王陛下は続ける。


「余はお主たち他国の者を死地へと呼び込んでいるのだろう。この状況を見て余の判断を果たしてお主らの母国が許すだろうか......それは分からぬ。だが......だが、セントソラリスの為、またアネスガルドの非道を防ぐ為に力を貸してもらえないか」


「保証がないとは言え、アネスガルド王家がノーワンの手に落ちている事は想像に難くありません。このまま放置することは他国にとっても何の利益もない事です。それはここにはおりませんが、今回の作戦は両国の王女殿下によって既に許されております」


「ゴードン卿......」


「二人とも若いとはいえ、国を代表するものです。王の代行者が我々に命を下したのなら、それをやり遂げるのが臣下の務め。それはセントソラリスも同じなのでは?」


「かたじけない。心から礼を申す」


「勿体ないお言葉です陛下。でもこれで良いのだろうヒロシよ?」


「そうですね、でもゴードンさんは飛行船に残って下さいね? あとセリーヌ女王陛下もです」


「ヒロシよ、余は!」


「向こうも王族は出てきてないんです。状況が分かるまでしばらく待機していても問題はないでしょう?」


「嬉しい申し出だがそれでは約定に従った事にはならぬのだ。では......決闘が開始された後に船まで戻ろう」


「分かりました、それではそこからはゴードンさんと二人でしばらく待機でお願いします」


「うむ。承知した。本当に迷惑をかけるな」


「気にしないで下さい。これ以上事が大きくなればセントソラリスだけの問題ではなくなります。いえ、リンクルアデル側としてはバルボアの件もあります。良い機会と捉えましょう」


 そうして俺たちは下降を開始したのだった。



-----------------------------



 俺達が降りた後、飛行船はプロペラを休めることなく待機状態を継続している。闘技場と思われるこの場所も建物は半壊し無残な見た目になっている。周りを見ると視線の先にノーワンが映った。


「よく来たな。いやノコノコよくやってきたと言うべきか」


「何を戯けたことを。それよりこの街並みはどういう事だ! アネスガルドで一体何が起きている!」


「それは直ぐに分かる。それより早々に戦闘の方を始めようではないか」


「当然だ。だがキャサリン王妃とアレックス王はどこだ? 国の威信をかけての決闘に顔も出さないという事はないだろう?」


「なにぶん体調が優れない様子。もはや親子揃って立ち上がる事さえできぬ状態でしてな?」


「貴様、まさか!?」


「この戦争に勝てばあなたのお好きにされたら良いでしょう? あなたたちの宣戦布告と先制攻撃に我々は毅然とした態度で対応させて頂きましょう」


「望むところだ」


 ん? コイツまた変な事を言ったぞ? セリーヌ女王陛下を始め皆その流れに乗っているのではないだろうか? 誰も異を唱える事をしない。


「ちょっとお待ちください、セリーヌ女王陛下。ノーワン卿おかしなことを言いますね? 宣戦布告は確かにセントソラリスから発したが先制攻撃など何の話だ? これはそちらが望んだ決闘だろう?」


「ふむ。やはりあなたがいるとどうも調子が狂いますね。まあ今更ですが。それでは戦闘を始めましょうか」


 そう言うとノーワンは俺の問いには答える事もなく、後ろを振り返り手招きをした。さっきもコイツは決闘ではなく戦闘と言ったな? 何を考えている? 同時に後ろから一人の戦士が出てくる。しかし......これは? と同じくアリアナが声を上げる。



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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