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あと2話ほど更新できたらいいなと思ってます。
よろしくお願い致します。
「説明はしてくれるんじゃろうな?」
「もちろんだ。俺、いま文無しだろう? だからちょっとした商売をはじめようかと思ってさ。色々アイデアはあるけどまずはポーションってのを作ろうかと思う。ギルドで聞いた話によるとポーションてのは薬草からできる。薬草をつぶして、磨り潰して、混ぜて、煮て、ろ過して完成。この純度によりポーションのランクが決まる」
「そうじゃな」
「傷を治す薬のランクとしては、薬草→ポーション→中級ポーション→上級ポーションというように変化し、価格も決まる。最上級ポーションってのもあるらしいがそれは今は除外する。薬草を除くそれぞれの割合は7:2:1だ。圧倒的に低級ポーションの割合が大きい。中/上級ポーションは需要があるが希少なために価格が高い。だがあれば間違いなく売れる品物だ。もしそれをロングフォード家がギルドへ安定供給できるとしたらどうする?」
「買うわ。少々高くてもね」
「サティさんが言ったとおりだ。これは商売になる」
「でも、どうやって生産するつもり? 作れないから希少なのよ?」
サティさんはクールビューティータイプの狐お姉さんだ。グラマーだぞ。時折揺れるしっぽから目が離せん。
「どこ見てるのかしら?」
「しっぽ、いえ、ゴフンゴフン。生産方法はまだ詳しく言えませんが、近いうちに男爵家から連絡させてもらいます」
サティさんだけでなく、ソニアさんからの視線が痛い。俺ってチラ見ができないタイプだ。そう、ガン見してしまうのだ。中身は羞恥心が抜けたおっさんだからな。その視線さえ心地よく思えてくるぜ。
「ふむ、それができるのなら良い話ではあるが、ここではダメなのか?」
「街から少し離れているし、街中の方が勝手も良い。あと狂犬の件もある」
「狂犬の事を思うなら、なおの事ここに居た方が安全じゃろう?」
「安全かも知れないが、不安は常に付きまとうだろう。一人なら何とかなるさ」
「どうするつもりだ?」
「それは後でじいさんとセバスさんに話をするよ。その際には扉の前に人を置かないようにしてくれ」
「よく分からんがいいぞ」
じいさんは分かってないが、セバスチャンは畏まりましたと言っている。セバスさん、やっぱりちょくちょく聞いてたな。常習犯とみた。
「あと、クロード。お前はちょっと戦闘面の強化が必要だと思う。実力を直接見た訳ではないけど、そうだな、サティさんに教えてもらうと良い」
「ちょっと待って。私はソニアさんとあなたの護衛であって、クロちゃんの戦闘教官の為に来たのではないわ? あなたが教えてあげれば良いのではなくて?」
「あー、なんて言うのかな。それはちょっと早いというかなんと言うか。サティさんがクロードに教えてくれるなら、サティちゃんには俺が教えてやるよ」
「あら、言ってくれるわね。あなたごときが私に教えれる事なんてあるのかしら?」
サティさんの周りの空気が少し下がった気がする。なんで俺は説明が下手なんだ? コミュ障ではないはずなのに上手く行った試しがあまりない。思えばリーマン時代にも何言ってんのか分からんとよく言われた気がするぜ。
「いや、あの、えーっとですね......」
「もういいわ、後でゆっくり教えてもらう事にするわ。覚悟しておくことね」
サティさんの俺を見る目がゴミでも見るかのようだ。俺ってそんなにザコく見えるのだろうか。いや、仕方あるまい。甘んじて受けよう、ご褒美として。
「大丈夫ですか?サティさん、アルガスのギルドでも有名な冒険者なんですよ?」
ソニアさんが心配してくれる。ありがとうソニアさん。
「いや、まぁ大丈夫と思いますよ、心配してくれてありがとうございます」
と言ったのが気にくわなかったのか、サティさんが射殺すような目で俺を見ている。ニコッて笑い返したつもりなんだが火に油を注いだようだ。とりあえず今は気にしないぞ。
「ま、まぁ、そっちは好きにしてくれて構わん。だがヒロシよ、狂犬については後で話を聞かせてもらうぞ」
「ええ、分かりました。とりあえず私はサティさんと模擬戦をしたいと思いますので、裏庭をお借りしますね。あと、ソニアさんとクロちゃんはじいさんとセバスさんから狂犬と別宅の件について注意事項を聞いておいて下さい。とりあえず別宅は僕だけ住む形でも結構ですから」
「いえ、ヒロシ様。私も連れて行ってください」
おいおい、呼び方がお前からヒロシ様に変わってるぞ。
「お、おぅ。じゃあその辺の調整もしておいてくれ」
「畏まりました」
どうしたんだ、クロ!
お読み頂きありがとうございます。