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よろしくお願いします。

 次の日、本当にノール長老がやってきた。驚いたぜ、どうやって報せたんだラースの奴。長老は出来れば二人で話がしたいとの事だった。別に良いけどさ。


 俺は事の顛末と今後の可能性について長老に相談した。早い話、物資の詳細がもし分かれば森を通させてくれないかと言うお願いだ。


 深い森と山々を越えるにははっきり言って馬車でもキツイだろう。ナディア王女の話では何日かかるかわからないくらい遠いらしいからな。


 アネスガルドとセントソラリスが物資の引き渡しが出来たのは、この二国には大森林を抜ける必要が無いからだ。ドルスカーナからセントソラリスまで行こうとすると大森林と山々を抜ける必要がある。


 海路はどうかとも考えたが輸送船がない。そもそも港があるのかも分からない。もし使えたとして観光船になるだろう。この段階で輸送船を作る意味も無いからな。


 そして回答は予想していた通りだった。そらそうだろうな。


「たとえ貴方様のお願いでも森の道を開く訳には参りません。掟に背くことになりますので......」


「いや、そうだろうなと思っていたよ。ダメもとでも聞いてみたかったんだ。遠くまで来てもらっていてすまないな」


「いえ、貴方様の命令ならたとえ火の中水の中......」


「ん? 昨日もその(くだり)を聞いた覚えがあるな? いや、ノール長老そんなこと言わないで良いですから。ちょっと以前お話させて頂いてから皆の様子がおかしいですよね?」


「何を仰いますか。以前お話させて頂いてからが普通なのです。それ以前がおかしかったのです。それもこれも全ては私の責任であり......」


「や、やめよう。なんか話がおかしな方向へ進んでいく気がする。それより、アネスガルドって言う国について知ってる事ってありますか?」


「選民意識の強い国と言う話ですが、実はそんな事もありません。国であればどこでも自国の民が可愛いでしょう? それと同じだと言う認識です」


「そうなの?」


「はい。ただ、数年前に王が倒れ世代が変わっております。その際に即位した王がまだ年端のいかぬ子供だと言う事です」


 なんだか昔の歴史の教科書みたいだな。


「成人するまでは国のかじ取りは丞相であるノーワン・サイードと言う者が仕切っておるようですな」


「へえ」


「王の決定と言う言葉を盾に、色々と内外に渡り権力を振りかざしているとか」


「妃様は? この場合は王が成人するまでは妃に決定権があるんじゃないのか?」


「基本その通りですが、あいにくと体調が悪いと言う噂ですな」


 うーん。なんだろう、この胸のモヤモヤ感。先入観で話はしてはいけない、それは正しい事だろうし俺もそう思う。だがなぁ。


「王が倒れる前後からアネスガルドは国の在り方が変わってきておるようにも感じますな。軍に力を入れ始めているとかなんとか」


「最初安心したのが間違いだった。良く無い感じしかしないんだけど......それってどうなの? 昨日王たちとの話では長きに渡って戦争はないと聞いてるんだけど」


「戦争をしようにも大森林がございますゆえ。簡単に軍を動かすわけにも参りませぬからな。基本的に大規模戦闘は長きに渡り行われておりません」


「なるほど。平和で何よりだ」


「そのような理由からどの国も騎士団等の小規模での戦闘形式をとっているのです。大軍を率いて侵攻すれば大森林に入った時点で恐らく天罰が下るでしょう」


「マジか。あるんだな天罰。小規模なら問題ないと?」


「言ってみれば、戦闘規模も()()()()()と言うことでしょうか? 前の盗賊の類と扱いは似たようなものです」


「なるほどな。だがサーミッシュはそれを良しとしないと」


「以前までは気にしておりませんでしたが、貴方様の言葉にて我ら一同目が覚めました」


「ごめん。あの時は屁理屈だったと自覚はあるんだよ」


「いえ。それでもです。少し話が逸れましたが、戦闘自体は小規模隊で行われ、セリジアホールデムで決着がつけられることもあるようですな」


「セリジアホールデム?」


「そう、セリジアホールデム(敗者に権利なし)。冒険者や貴族が行う決闘ですな」


「決闘で決めていいわけなの?」


「状況にもよるでしょう。生死問わずが基本ですが、賭けるモノも色々あるのかも知れませぬな」


「また勿体つける」


「サーミッシュは戦闘を好まず森の奥深くでひっそりと暮らす民族ですので」


「今更何言ってんだか。あの二国が戦争になる可能性はあるのかな?」


「そこまでは。一つ言える事はアネスガルドとセントソラリスは大森林を抜けずに往来が可能であること。ちょうどリンクルアデルとドルスカーナと似ております」


「それで?」


「大森林の北と南で国の在り方は違うようですな。一方の二国は友好を望み、もう一方の二国は何を望むのか」


「相変わらず勿体付けるね?」


「申し訳ありません。長く掟を守るとどうも話し方に癖が出来るようで」


「じゃあここからは、少し腹を割って話ができれば良いのだけど」


「努力します」


「大森林の中での戦闘は神々の意思により禁止されている。ここに間違いはないよね?」


「その通りでございます」


「じゃあ、空はどうなの? つまり大森林の上だ」



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。


明日は何とか頑張りたいと思いますが、

来週は出張のため投稿できないかもしれません。

楽しみにして下さる皆様には本当に申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
[一言]  空輸かぁ。  考えなくはなかったけど、この場合の一番の問題は積載量なんだよねぇ。  だから、物資の輸送は陸運で賄うと思っていました。  正直、"物資"を運ぶとなると飛行船の搭載量では賄いき…
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