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よろしくお願いします。

「どういうことだヒロシ?」


 シュバルツ陛下が聞いてきた。


「いえ。この場でどうしようもないなら、向こうでなら何とかなるのかもと思っただけですよ」


「しかし......いやお主の事だ、行ってみるのも良いのかもな」


「流石ヒロシよ。信じておったぞ」


「ただ真剣な話、先ほどの話からして私からもいくつかお願いがあります」


「全てお前の好きにしろ」


「そうだな、それで良いぞ」


 なに言ってんだこの人たちは。


「王女様、とりあえず出発は明後日でも良いでしょうか?」


「え、ええ。もし来て下さるのでしたらお待ち致します」


「私に敬語など不要です王女様。ヒロシと呼んで下さい。明後日にした理由は、家族に話をするってのもありますが、ちょっと野暮用があるんですよ」


「わかりました」


「あと陛下。先ほどの話ですが、ええとですね。いくつかと言いましたけどかなり多いですよ? まずはゴードンさんとロッテンさん。それから......」


 俺は話した。全てでないにせよ二国の金を動かすかもしれないのだ。内務卿は必須だ。そしてその護衛。後は俺たちの護衛をしてくれている天空の剣とNamelessの人間だ。


 俺は最後に陛下を見て言った。


「後ほどお二人だけに直接伝えておきたいことがあります」


「「よかろう」」



----------------------



 陛下達との話を終えた俺は直ぐに屋敷へと戻った。事の顛末を話すと、ソニアもサティもやっぱりなって顔をしてた。予感めいたものはあったらしい。


「と言う訳なんだよ。天空の剣も呼ぶわけだが、悪いがサティも一緒に来てくれないか? あとシンディもだ」


「畏まりました」


「仕方ないわね」


 と言いつつも、サティのしっぽは大きく揺れている。


「ソニアはスマン、交渉だけで済めばいいのだがいくつか問題が発生する可能性があるんだ」


「ええ、ここで子供たちと帰りをお待ちしておりますわ」


「いつも待たせるばかりで済まないな」


「最後に帰る場所がここなら良いのよ」


 思わず抱きしめたくなっちまっただろ。ソニアは相変わらず俺殺しが上手いぜ。子供たちを見るとジト目ではあるが何も言わない。


「いっちゃダメ」


「いっちゃヤダ」


 二人は俺に飛びついてきた。行くのやめようかなと思ってしまったぞ。思わずよし分かったと返事をするところだった。


「二人とも我儘を言わないの」


「「だって」」


「おとうさんはみんなを助けに行くんですよ。いつかおかあさんを助けてくれた時のように」


 そう言うと二人は俺を見て言った。


「帰ってくる?」


「ああ」


「絶対?」


「もちろんだ。約束する。セントソラリスのお土産を沢山買って来てやろう」


「じゃあ分かった」


「おみやげ」


 ロイの興味が俺よりお土産に移った気がするがまあ良い。とりあえず考えを纏めるとしよう。


「シンディ、すまないが天空の剣の宿屋まで行ってラースを呼んできてくれないか? あと、レイナもな。ソニアに言っておきながら言うのは心苦しいが彼女にも同行してもらった方が良いのだ」


「すぐに行って参ります」


「あと、明日はラースを連れて森に行ってくる。皆は一緒に明後日からの準備を進めておいてくれ。クロは明日一緒について来てくれ」


「承知致しました」



-------------------------



「という事なんだ。いつも急で悪いんだが協力を頼みたいわけだ」


「妙な気遣いは無用だぜ、ヒロシさん。ヒロシさんが来いと言えば俺たちは行くんだからよ。伯爵家の命令ってだけじゃないぞ? 念のため」


「そう言ってくれると嬉しいよガイアス」


「おまけに今回はシュバルツ陛下とダルタニアス王からの依頼でもあるんだ。むしろ誇りに思えるぜ。お前達もいいよな?」


「聞くまでもない」


「あたり前でしょう」


「ボクももちろんオッケーさ」


 天空の剣のメンバーも問題ないようで安心した。そこで俺はラースに向かって話を続けた。


「すまないがラース、明日長老と会えないかな? 急だから無理かもしれないけど出来れば会いたいのだが」


「大丈夫だよ。この後伝えておくから明日には来てくれると思うよ」


「え? マジで?」


「そこはサーミッシュの技と言うか術と言うかだよ」


「それは有り難いぜ。しかし来て頂く訳にはいかんだろうから俺が行くよ」


「いや大丈夫だよ。絶対に向こうからやってくるよ」


「そうなの? なんで?」


「それは秘密だよ」


「よく分からんが、本当にそれでいいのならお願いしようかな」


「了解だよ」


 そして今度はレイナに向かって話をする。


「レイナ、悪いが商売と言うか契約の話になるかも知れないんだ。新しい商売の話でもないのに来てもらうのは悪いとは思うのだがな」


「社長、お気になさらないで下さい。社命とあらばこのレイナたとえ火の中水の中」


「俺はお前をそんな社畜に育てた覚えはないのだが......」


 少し俺が困った顔をしていると横からソニアが言った。


「ヒロシさん、レイナなら大丈夫ですよ。きっとあなたの力になってくれるわ。そうでしょうレイナ?」


「もちろんです奥様」


「ヒロシさんをお願いね?」


「この命をかけて」


「いや、だからそう言うのじゃないんだってば。うーん、もう良いか。じゃあよろしく頼むぞ」


「お任せ下さい。少し部下を連れて行っても良いでしょうか?」


「その辺りは任せるよ。ただあまり大人数は無理だと思うから考慮してくれ」


「了解しました」


 よし、これで連れて行くメンバーのアテはついた。残るはノール長老がどう言うかだが、これはダメなら諦めるしかないだろうな。間違いなく掟に関係する話だろうから。





お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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