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よろしくお願いします。

 ドルスカーナへは話の流れで俺と嫁さん二人、クロとシンディが行く事になっている。子供たちは流石に学校もあるので我慢と言う事になるが、この話を聞いてシェリーとロイがキレた。


 バルボアの時のように長期不在となる訳でもないのでと言ったのだが、ノーガードで打ちのめされる俺を見かねてソニアが援護に入ってくれた。


 この世界の子供、特に特権階級や富裕層の人達にはこういうケースが多々発生しており、意外と簡単に休めるそうなのだ。そうだよな。今まででも気軽に他の学校に行ってたもんな。


 と言う訳でみんなで行く事になったのだった。基本子供たちはサティの実家で勉強したり遊んだりするだろうけどな。他のメンバーはレイナとNamelessの職員数名、後はラザックだな。こちらの方は商業ギルドと話を進めるので基本的には別行動である。


 そう考えると、俺行く必要ないんじゃないのか? と考えなくもないが、そこは黙っていく事にする。


 そして俺たちはドルスカーナへと出発した。 


 移動は皆と一緒なので結構な団体さんでの移動となった。今回も天空の剣に護衛を頼む事になった。忘れちゃいけないがウエストアデルまで10日間程度掛かるのだ。何と面倒くさいのか。


 前出の通り、ドルスカーナとロングフォードは船で繋げれないか考えるつもりではある。結論から言うと間違いなく繋げれるのだが、それを行うと恐らくウエストアデルは陸の孤島と化してしまう。


 1日で船で行ける所をわざわざ10日間かけて馬車を引く商人などいないだろう。多少金額が高くても船での移動を望むはずだ。一般人でもそうすると思う。


 そこをどうするかなんだよなぁ。俺は馬車の窓から外を見ながらウエストアデルの未来を考えた。正直過疎化していく未来しか見えない。ロングフォードとアルガス(旧ローランド)間を繋いだバイパスを作れば良いと思うだろう?


 しかしここではできないのだ。この二領間には大きな谷がありそれを迂回するのに時間が掛かるのだ。この谷さえ渡れればこの二領間の距離はグッと縮まるのだが。


 橋を架けるか......しかし流石にこの谷に橋を架ける事は難しい。やはり雇用か。ウエストアデルに雇用の種をまけば人はドルスカーナから集まるだろう。それをドルスカーナ経由でロングフォードへ運べばいいのではないか?


 意外とそれが一番の近道のような気がする。しかし今のウエストアデルはワインくらいしかない。後は国境の街と言うのが売りなのだ。船での経路が確立された時点で国境の街は終わる。


 うーん、どうしよう。あの人の良さそうなウエストアデルの領主、リカルド・コーネリアス伯爵を裏切るような真似はしたくない。だが、物事を隠して進めても良い事など一つもない。ここはリカルドさんに話をしてまずは今の現状をおさらいする事から始める事が良いと思う。


 その前にまずは橋か雇用かもしくは両方か。これの案をいくつか考えておく必要があるな。



--------------------------



「ヒロシ様、前方で何者かが道を塞いでおります。恐らく野党の類ではないかと」


「え? そうなの?」


 本来はここで恐れおののくのだろうがそんなことは無かった。もう詳しく話す必要もないだろう。護衛の人達はもちろん、天空の剣とサティが居るのだ。ハッキリ言って盗賊などモノの数に入らん。


「何人位かな?」


「数はまだはっきりとは分かりません。恐らく20人程度かと思われます」


「じゃあ、ちょっと行ってくるか」


 俺が馬車を出ようとするとガイアスが寄ってきた。


「ヒロシさんはいいよ、馬車の中にいてくれ。このための護衛だからな。役に立って来るぜ」


「大丈夫か? ってゴメン。大丈夫だよな?」


「油断している訳ではなく、単純に大丈夫だ。丁度ここも開けているからお茶でも飲んで休憩してたら良いんじゃないか?」


「お前も言うようになったよね。分かったそうしておくさ。護衛を少し連れて行くか?」


「そうだなぁ。でも俺たちの後ろに控えていてくれたら良いさ。万が一抜かれた時の保険だな」


「了解。クロ、何人か護衛をガイアスにつけてくれないか?」


「畏まりました」


「心配だから私も行くわ」


「サティもかい?」


「えー。サティが来たら獲物が減っちまうじゃねぇか」


「大丈夫よガイアス。見てるだけよ、見てるだけ」


「手出し無用だぞ?」


「分かってるわよ。ちょっとだけよ」


「全く信用できねぇな......」


 もはや盗賊は狩りの対象でしかなくなってきている。何と気の毒......いや、これも野盗などしている方が悪いのだ。生まれ変わったら真っ当に働くんだぞ。


「ヒロくん、こっちは大丈夫でしょ?」


「まあね。護衛はもちろん、クロとシンディが居るし」


「何かあっても英雄殿がいるからな。ここまで辿り着いた奴が一番不幸なやつだな」


「英雄とか言うな。子供には内緒なんだぞ」


「はは、分かったよゴメン。じゃあヒロシさん行ってくるぜ」


「よろしく頼む」



 当然の如く、盗賊は俺の乗る馬車へと到達する前に壊滅したのだった。しかし盗賊の輩がまだいるとはな。こう言うのはなかなか減らないのだろうか? 盗賊の類が山に潜むのであればやはりある程度陸路は残しておいて定期的に討伐を行う必要があるだろう。


 こう思うと一つの事だけを考えて物事を進めるとどこかで歪みが出る事がよく分かる。海路と陸路、この二つを残す事を考えるのが肝要だろうな。




お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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2021/11/19 01:39 退会済み
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[気になる点]  サブタイトルに、”異世界で社長になる”になっていましたのでてっきりこの物語の”終章”かと思ってしまったのですが、まだありますよね(期待ww)          ↑  実は、昨日のうち…
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