表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

261/362

257

よろしくお願いします。

「少し話が逸れましたが、エステの話を無理強いするつもりはありません。だけど貴方にとっても悪い話ではないように思いますが? エステの効果と実績は疑いようがありません。建物は既に開業できる寸前。そしてその客の一人は既に決まっております。いや三人ね」


 その三人とは間違いなくマリー様、アンジェ、そして次女のレイラ様だろう。とんでもないVIPが会員になると言っているのだ。その集客効果は筆舌に尽くし難い。王家は無料で利用してもらってもいい位だ。


「グフフフ」


「どうか致しましたか?」


「グヒ、いや、ゴホン。そうですね、大変有難いお言葉です。出し惜しみしている訳ではないのです。ただアデリーゼは王都にある特別なエステサロンとなりますので、不備が無いかを慎重に見定める必要がありますので」


「そう......残念ね。でも流石はNamelessの社長ね、妥協しない所がますます気に入ったわ。いつくらいになりそうかしら?」


「長々とお待たせ頂くつもりはございません。そうですね、一月以内には王家にはもちろん、各所に案内を出せればよいと考えております」


「そう、なら良かったわ。待っているわね」


「ええ、ご期待下さい」


 そうして、話も終わり俺たちは王城を後にした。といっても、俺はしばらくダンスレッスンの為に王城に通う事になってしまったが。そんな理由で王城に出入りしても良いのかな? ふつうあり得んだろうな。



------------------



「ちょっと」


「どうしたサティ?」


「一月以内にオープンなんて本当にできるの?」


「そこはレイナに確認になるけどな。ダメな場合は遅れる事を言う必要があるけどレイナが大丈夫って言ってんだから問題ないだろう。あのまま黙ってたら明日開店だぜ? 流石にそれは無理だろう。ひと月なら人間我慢できるものなのさ」


「ふーん、そうなのね。また後回しにしたのかと思ったわ」


「......そうとも言う」


「まったく。毎回上手くいくとは限らないのよ?」


「押し切られる前に何か言わないとダメかなと思ったんだよね」


「ふふふ、サティ、いつものヒロシさんらしくて良いじゃない」


「もう! ホントにソニアはヒロくんに甘いわね」


「そういうサティもでしょ?」


「べべべ、別に甘くはないわよ。ビシバシいってるわよ」


「はいはい」


 二人がキャイキャイやってる横で俺は考えていた。どれからスタートさせるべきなのか? アデリーゼのエステも良いが、観光船の話もあるしな。だがバルボア周遊はそれこそエミリアやスバンたちに任せて、ドルスカーナへの海路を開く方が良いような気もする。


 バルボアはローランドさんが今頑張っている所だし、あまりあれこれ口を出すのも良くないだろう。しばらくは観光事業がどう動くかのモニターも必要だ。そう思うと......うーん、テコ入れを急ぐ必要はないだろうな。


 よし、エステは近々見に行って建物とエステティシャンが集まっていれば案内を出すとするか。丁度ドルスカーナへ行こうと思っていた所だ。海路を開く上でドルスカーナ側の港を考える必要がある。今回の主目的は砂糖の件とそれにしよう。そうしよう。


 そして次の日。俺はクロを連れて港町へと行ってみることにした。散歩がてら船の工事経過の視察をするためだ。メインはロングフォード家のクルーザー、出来栄えを見るのが楽しみだぜ。



--------------------------------



「ラザックく~ん」


「あ、ヒロシ様。なぜ私を呼ぶときはそのような言い方になるのですか?」


「なんとなくだ、なんとなく。他意はない」


「船はフェリーを優先させてましたからね。観光船とクルーザーもほぼ完成しておりますよ」


「それを見に来たんだよね。じゃあ見せてもらおうかな」

 

「観光船は基本的にフェリーと仕様は同じですよ。クラスごとの部屋と資材置き場が増えた位です。ですので、クルーザーを見る事をお勧めしますね」


「そうなの?」


「ええ、レイナさんのリクエストは全てクリアできております。船大工が頑張ってくれましたよ」


「へえ、それは嬉しいな。おお、あれか? カッコいいじゃないか! ん? でもなんか距離感がおかしいな。俺の目がおかしいのか? 隣のあれはなんだ?」


「あれは......ほらアレですよ。バルボア城に乗り込む時にスバンが運転してた船ですよ」


「......小舟に見えるんだがな、本当にアレがスバンの船なのか?」


「そうですよ。作業のために寄せてますけど、スバンの船は普段は一般停泊所に保管する事になります」


「へぇ。じゃあクルーザーが停まってるのは?」


「ランクは一般、シルバー、ゴールドの三種類ですね。ヒロシ様のクルーザーは当然ゴールドですよ。レイナさんからも大陸で唯一無二の最高級クルーザーを作ると言われてましたからね。気合入りましたよ」


「レ、レイナは今どこにいる?」


「えーと、今しがた急いで出て行ったところですね。いやぁ、お忙しい方ですよ」


 唯一無二とはなんだ? アイツ、俺を見て慌てて出て行ったとかじゃないだろうな? うーむ、とりあえず話がしたい所なんで呼んできてもらうか。


「ラザック、悪いけど誰かにレイナを呼んできてもらえるように頼んでもらえないか?」


「分かりました、直ちに人を手配致しましょう」


 レイナが来るまで俺たちは船着場の事務所で待つことにした。ここの建物も奇麗になっている。ゲートを作る際に新しくしたのだろうな。というような事を話しながら待つ事しばし。レイナがやってきた。



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ