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よろしくお願いします。

 陛下の挨拶は皆が静まり返った中で始まった。時々民衆からはすすり泣く声が聞こえてきたりした。陛下は混乱を極めたバルボアの民に改めて謝罪をし国家を上げて国を守っていく事を改めて誓った。


 バルボア反逆以降、アデリーゼの取った行動は民衆にも広く伝えられている事から、その言葉は快く民衆の胸の内に入って行ったに違いない。演説が終わった後でもその拍手と歓声は大きく鳴り響いていた。


 そしてゴードン内務卿や一部大臣の挨拶が入ったりしてローランド侯爵の出番となった。ローランドさんが壇上に立った時にはひときわ大きな歓声と拍手が巻き起こった。


 実はローランドさんは、侯爵となってすぐにバルボア復興のために動いていた事で非常に民衆の受けが良いのだ。大人気と言って良い。更には街に手当金を出したり、仕事を斡旋させたり。そしてこの事業を成功に導いた立役者だ。


 言っておくが俺は手柄を取られたとか全く思っていないぞ。普通あれだけ勝手気ままにブチ上げたら、俺なんかとっくに追放されてもおかしくなかったと俺は思っている。


 それを理解し、資金繰りから物資の補給、人員の管理を含め何から何までこの人がやっているのだ。そこに何の文句をつけることが出来ようか。もちろんNamelessとしては存分に手伝いはさせてもらったけどな。


 ローランドさんは熱く語っている。この人ってアルガスよりバルボアの方が合ってんじゃないだろうか? 俺はそんな事を想いながらローランドさんの後姿をボンヤリと見ていた。ローランドさんの熱い言葉は続いている。 


「そして今、我々は新しいだ一歩を踏み出すことが出来たのだ!」


「「ワアアアアア!!」」


「ここにその平和を掴み取った事を記念して、このバルボア記念公園に銅像を設置する事にした。陛下、ご覧下さい。バルボアの民の総意により建てられたこの像を!」


 そこでローランドさんは右手をサッと上げると中央に被されていたシートがゆっくりと取り払われる。おおっ、いよいよ見れるんだな。俺は半分席から腰を浮かしながらそれがはがされるのを見ていた。


「これが、バルボア平和の象徴。バルボアを反逆者の手から奪い返した英雄。仮面の男(マスカレード)だ!」


「「ワアアアアア!!」」


 俺ももう少しで一緒に叫んでしまう所だった。ひっくり返りそうになったぞ。そこには仮面の男の銅像が建っていた。まさかこれを作るとは予想外だった。デカすぎるやろ。青龍偃月刀を構えてカッコつけている。俺はこんな風に見えるのだろうか。少し照れ臭いぜ。


「バルボア反逆の際、彗星のように現れその全てを奪い返したと言う仮面の男、そしてこの度バルボアの街を裏から支配しようと目論んだ悪党を撃破したのだ。この記念公園に彼の銅像を望む声は日増しに大きくなり天にも届く勢いであった」


 そうだったのか、ちっとも知らなかったぞ。あと、彗星のように現れた訳じゃないがな。そこは吟遊詩人さんも少しは考えて欲しい。確か窓から颯爽と去って行ったとかってのもあったな。あの高さからどうやって颯爽と去れば良いのか......


 しかしローランドさん正体はバラさないだろうが、本人を前に持ち上げすぎだろう? まあ、今回は冒険者の前に姿を現してしまった事だし、存在自体を秘匿する必要はなくなったのかも知れん。うーん、あまり深く考えるのはやめよう。


「ここで、今回の国家反逆者討伐を成し遂げた者達、代表者だけになってしまうが紹介させて欲しい。まずはリンクルアデル騎士団より三番隊ホークス隊長とマーカス隊長!」


 民衆の歓声に煽られて、二人は前に出ると民衆に手を振る。騎士団の正装で現れた二人を見て民衆も興奮している。確かにカッコいいよな、あの衣装って。


「そして、アルガス所属の冒険者より狐炎のサティ・ロングフォード! そして天空の剣ガイアス!」


 サティとガイアスはゆっくりと立ち上がると皆へと向けて手を振る。リンクルアデルどころか大陸で有名な冒険者を前に民衆も大喜びだ。


今日のサティは戦闘服ではなく落ち着いたドレスだぞ。ソニアもそうだがウチの嫁は何を着ても似合うぜ。ムフフ。ガイアスはあの性格もあって冒険者からは人気だ。しかもAクラスなもんだから彼らを慕うものは本当に多い。


この時ばかりはガイアスも羽目を外すことなく笑顔で手を振っている。意外と空気も読める男なんだな。見直したぜ。


「次はバルボア冒険者ギルドを代表してパッカード!」


 恐らく前もって決められていたのだろう。パッカードは右側の親族席の方に待機していたようでそこで立ち上がり手を振っている。バルボアから公式の場で名前を呼ばれる栄誉を受けたのだ。民衆も大喜びだ。


 パッカードは照れながらも大きく手を振って皆の声援に応えている。


「そして......最後に」


 おっ、最後は誰だ? 民衆もローランドさんの声のトーンが少し下がった事で一斉に静まった。みな誰が呼ばれるか少しざわつきながらも次の言葉を待っている。


「ここに居るのだろう? 仮面の男......マスカレードよ!」


「は?」



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] >いきなりバカネタ。もしくは自分の銅像を見せられた男の現実逃避という名の脳内葛藤(笑)  ※この部分に関しては、スネークマンショー海賊版(https://ojRETkzvn5Ywww.you…
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