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よろしくお願いします。

 どうする? 見せるか? しかし......アザベル様が閲覧不可にしているからな。もちろん家族にも言っていない。まぁ、それはわざわざ言う必要もないと考えての事だが。


「長老の名に懸けてワシ以外に無用に知る者が出てくることは無いと誓う」


「......」


「ラースよ、済まぬが席を外してくれぬか?」


「分かりました長老。ヒロシさん、僕は下で待ってるよ」


「どうして知りたいんだ?」


「数年前、エルリア様が降した神託に理解できないモノが含まれておった。森に訪れし加護を持つ者を守り、共に歩み、共に栄えよとな。具体的にどこの誰とも言われておらぬ。サーミッシュ、いやもう良いか、我らエルフに加護が与えられた子供が生まれてくるのかと思ったが、それなら訪れるという表現は使うまい」


「それが俺だと?」


「分からん、だがこの部分に答えがあるような気がしてならぬ。その加護にかかる閲覧不可には間違いなく神の御名が記されているのだろう。エルリア様のような上級神かどうかまでは分からぬが、神託を使ってまで今日ここに来ると知らせる男の事をワシは知りたいのじゃ」


「なるほど、神託があったからこそ俺はここに来ることが出来たのか......いいだろう。しかし先ほど長老が言った通り、これは長老限りとしてもらいたい。他言無用だ。約束を破った場合の代償は保証できない。俺自身何が起こるか分からない」


「そうなのか」


「なぜなら閲覧不可は俺がしているのではなく、それを付けた本人がそうしているからだ。一時的にに解除する事は出来るが公にするつもりは無いんだ......それでも見るのか? 秘密を守るという事は長い人生において辛い作業と思うが」


「それでも良い。掟を守り通してきたワシに秘密が一つ増えた所で問題ない。ただそれを新たな掟に取り入れるかどうかはエルリア様の加護を持つ私に決断させて欲しいのだが」


「エルフの掟とは本当に深いんだな。そうか、ではその部分は任せるよ。さあ見てみると良い」


 そうして俺は閲覧不可を解除した。


「こ、これは......まさか」


 長老の目は大きく見開かれ絶句している。


「そ、創造神アザベル様の加護だとっ!?」


「声がでかいよ」


「す、済まぬ。いえ、申し訳ございませぬ。まさかこの加護を生きている内に見ることが出来るとは......お主、いや貴方様は神子であったのか!」


 そう言うと長老は飛び上がり、俺の足元に来ると跪いて祈り始めた。


「ちょ、ちょっとやめてくれ、下さい。俺はそんな大層なもんじゃない。お願いだから止めて下さい」


「今までのご無礼を何卒お許し下され。まさかアザベル様の加護を持つ神子様であったとは。この身を八つ裂きにされても文句を言えるはずもない。この地を差し出せと言われるならお望み通り喜んで差し出しましょう。何卒我らに祝福を与えて下され、何卒祝福を我らに......」


「いや、土地をくれとかそんな事一言も言ってないから。この地はエルフの土地だろう、だからこそ掟を守ってきたのだろう?」


「それもこれも今日この日に貴方様にお返しするためでございます。アザベル様の守護とエルリア様の加護は今日この日のために我らエルフに与えられていたのか。無駄ではなかった、決して無駄ではなかったのだ......ウウウウウ」


 長老は蹲って泣き出してしまった。俺はどうしたら良いのだ? オロオロしてみたもののここには俺しかいないので、どうにかこうにか長老を立たせて椅子へと座らせた。


「私が椅子に座って貴方様が地べたに座るなどあってはならない事です」


 そう言うと、長老は直ぐに椅子から立って俺の下へと跪いた。どうしよう。


「いえ、長老。気にしないで下さい。あなたはエルフの一族の長だ。俺なんかに簡単に頭を下げるべきではない。どうか、先ほどの通りでお願い致します」


「しかし、それではあまりにも無礼であります」


「ううむ、それではこうしませんか? エルフはこのままエルリア様の願いの通りこの大森林を守っていく。私は守って頂いている間は何も欲しませんし与える事もしない。つまり今まで通りです。違う事と言えば、そうだな、エルリア様かアザベル様から何某かの神託が降りた場合にのみ協力すると言うのは?」


「貴方様がそう言われるのであればその通りに致しましょう。じゃがヒロシ様にはせめて年に一度はこの街に来て頂きたい。アザベル様の加護を持つ者、それはエルフにとっては神の化身と同義なのじゃ。何卒お願い申し上げます」


「分かったよ。でも大層なのは勘弁して下さいよ? あと俺の家族も連れてくるかもしれないけど」


「ご家族にも秘密にしておいででしたな?」


「それはその時に考えるよ」


「ありがとうございます、後ワシの事はノールと呼んで下さい」


「そう言えば名前を聞いていなかったね」


「とんだご無礼を......この身を八つ裂きにされても......」


「いや、良いから、そこまで思ってないから。で、ノールさんで良いのですか?」


「ノール・アルミナスと申します。ノールと呼び捨てで結構です」


「じゃあ、ノールさんで。ノールさんはヒロシと呼んで下さいね」


「いえ、それは」


「秘密を守る事に協力してくれるんでしょ? そこは呼び捨てでお願いします」


「それは流石に......それでは表向きの呼び方は後ほど考えさせて頂きます」


 俺とノールさんは色々と話をした。ノールさんはじいさんやシュバルツ国王、ダルタニアス王とも会ってみたいと言ってくれた。ただ加護の件に関しては誰にも言ってないから俺が言うまでは内緒だ。そこについては触れないと言ってくれたぞ。


 

------------------------------



「誰かおらぬか!」


「はっ、ノール様」


「サリエルとユリアンを至急ここへ呼べ、あと下にラスがいるから同じく来るよう伝えるのだ」


「畏まりました」


 執事だろうか? 男性は直ぐに出て行ったが、なんて言うかやはり美形が多いな。今まで街で見た時もそうだけど、何と言うか整っている人が多かった。俺にとってはな。美的感覚は人それぞれだからな。


 あと、ラスってラースの事だよな?




お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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