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よろしくお願いします。

毎日投稿を心掛けますが何話更新できるかは分かりません。

申し訳ありませんがご了解下さい。

 俺は説明した。仕事の内容自体は変わらないが、支社における利益管理を本店ではなく支社ベースで行う事。仕事自体は本社からの指示によるところが多いが販売先の拡張、工場拡大など支社ベースから本店へリクエストを出す事。 


「そしてこのローランド支店、この名称はローランド支社となる。本来あまり違いの無い言葉だがNamelessにおいては重要な意味を持つ」


 そして利益管理が出来ていれば、予め決められた範囲内で投資などを容認すること。つまり支社に与える権限と責任を大きく変更した事だ。給料は上がる、しかしリスクもある。その辺りを細かに話した。


「なるほど、責任重大ですね」


「そうだ、責任は重大だ。そしてこのローランド支社の社長は......」


 俺は一呼吸開けると彼女の方を見て言った。


「お前だ、エミリア」


「ええええ!」


「ちなみにアデリーゼは支店ベースで経営する。社長ではなく支店長は置く事になるがそこを管理するのはローランド支社。つまりお前だ」


「ええええ!」


「Nameless商会の本社が権限を全て握るのは変わらないが、これからはグループ経営となる。グループ全体の社長は俺、副社長はレイナ。支社の組織は支社の下に紐付けされる事になるが、支社長はNameless本社の直属になる。つまりお前はグループで言えばトップの一人となるのだ」


 エミリアは口を開けて呆けている。


「できるな?」


「は、はひ」


「良く聞こえんな」


「はい、お任せ下さい! 必ずやこの支社を大きくして見せます」


「そうだ、それでいい。頼むぞエミリア社長」


「必ずやご期待に応えて見せましょう」


「皆も協力を頼むぞ」


「「はっ!」」


 その後、エミリアとローグを連れて工場を視察した。どういう教育になっているのか分からないが、ロングフォードと同じく従業員は俺を見ると一斉に礼をしてきた。嬉しいけど照れるな。


 元々そう言う性分ではないので偉そうに歩くこともできないのだ。とりあえず軽く手を挙げて挨拶を返しておいた。制服とかも支社独自のデザインを取り入れたいとか色々なアイデアをその場で受け取った。いきなり否定するのもアレなので、最初はまず好きなようにやって見ると良いと答えておいた。


 これでローランド支社での用事も終わった。明日はいよいよバルボアだ。



------------------------------------



 そして次の日の朝、早めの朝食を終えた俺達はバルボアへと向かう。昨日俺たちが商会に行ってる間、ラザックには船の手配などを頼んでいた。


「で、どうだった? 船の手配はできた?」


「ええもちろんです。以前にも手伝ってもらいましたし、ましてや伯爵家ですからね。即答ですよ。ただ汚い船で申し訳ないと言っておりました」


「別に気にしないさ。泳いでいくよりよっぽどマシだぜ」


「そう言ってもらえると有難いです」


 ローランドの停泊場は大きいものではない。アザベル様の加護のお陰か近場に魔物が出ることは無いそうだが、魚介類が獲れても日持ちがしないので流通させるのは難しいらしい。


 当然、氷系の魔法や魔道具を使えばそれも可能になるのだが、その費用が高いのでそこまでする事はしないとのこと。高い海の魚を買うのであれば淡水魚を食すようだな。なのでローランドで取れた海の魚はローランドでしか売れないと言う事だ。ロングフォードもそう言う感じである。


 港に着くと一人の男が近寄ってきた。


「ヒロシ様、私はスバンと言います。前回はお話する機会もなく覚えていないかも知れませんが......ラザックとは彼がロングフォードで冒険者になるまで、ここで一緒に育ちました。今回はお声掛け頂き大変光栄です」


「ああ、前回は事情が事情だったもので済まないことをした。俺がヒロシだ。今回は無理を言って済まないがよろしく頼むよ」


「もちろんです、お任せ下さい」


 船が出発してしばらく、舵は彼の従業員がやってくれているので、俺はスバンとゆっくり話す機会が出来た。とは言ってもあまり広くはない船だ。一般的な漁船だがらな。だから甲板で適当な所に腰かけて話している。


「船乗りをしてどれくらいなんだ?」


「私はこの港育ちなんで物心ついた頃から船に乗っております」


「へえ、他に漁船は多くあるのかい?」


「いえ、それほどには。ご存知の通りあまり売れる訳ではありませんので。陸に上がる、ええと漁師を辞めて陸で職を探すことを考えている者も少なくありません」


「でも漁師を続けていると」


「それ以外の方法で働いたことがないので、中々思い切れないんだと思います」


 そんな話をしながら船は進む。船で前回の場所まで行くのに半日ほどかかる。実は飛行船で行くのとトータルの時間はあまり変わらない。乗っている時間は飛行船の方が短い、つまりそれだけ早く到着するのだが、飛行船は発着に時間がかるのだ。


 もうしばらくするとバルボアが見えてくるらしい。前は夜の海だったからな。今は周りを見渡すことが出来て気持ちが良い。陸側は崖と森が続いているが、森の緑が素晴らしく奇麗だ。そしてやがて森が切れ始めた頃に俺はスバンに声を掛けた。


「ん? おいスバン、あそこはもうバルボアなのか?」


「ああ、そうですよ? さっき見た所でアザベル大森林は抜けましたので、あそこはもうバルボア領です。森の端っこですね」


「あそこに船は停めれるんじゃないのか?」


「確かに停めれますが、あそこからだと馬車でもまだ一日ちょっとは掛かりますよ」


「一日だと? たった一日で到着するのか?」


「え? まあ馬車に乗ればの話ですけど。あと、一日ではありません。一日ちょっとかなと。あそこは見ての通り辺境なんで何もないですし。それに大森林は抜けたと言ってもまだあそこは森ですからね。もう少し開けていればいいのですが」


 なるほど。という事は開けていれば可能という事じゃないか。



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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