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よろしくお願いします。

数日前にユニーク数が6万を超えておりました。

みなさまの応援のお陰と感謝しております。

本当にありがとうございます。

 夕食を過ぎた辺りからフェルナンデス家の中は慌ただしくなってきた。トニーさんが遅いのは仕事の関係もあるので可能性はあるだろう。しかしソニアとリリーが連絡もなしにこの時間まで戻ってこないと言うのはおかしい。何かあったと考えるのが普通だろう。


 しかし仮にも二人はフェルナンデス家の令嬢であり、ロングフォード男爵家の娘である。二人での外出とは言え警備は付けてあるのだ。そうそう面倒ごとに巻き込まれることなどないはずだ。しかし好意に甘えて男爵家からの護衛は連れて行かなかったようだな。それが裏目に出たか。


「とりあえず屋敷の者はもちろん、警備と衛兵には届けている。トニーだけなら気が早いと思うかもしれんが今回はソニアさんとリリーのこともある。早めに動いて悪い事など無い」


「お義父さん、ありがとうございます。何事もなければよいのですが......私も街へもう一度戻ろうかと思います」


「待て、ヒロシ君。流行る気持ちは分かるが不慣れな土地で闇雲に動いても効率的とは言えん。まだただの早とちりという可能性もある。もう少し様子を見るのだ」


「はい......しかし」


「ヒロくん、辛いけどお父さまの言う通りだと思うわ。三人が一緒かどうかは分からないけどバラバラに動いたらもしもの時に動きが取れなくなるわ。もう少し待ちましょう」


「サティ......」


「私の体調が良ければ私だけでも行くのだけれど」


 サティの体調は今がピークなのかかなり熱が高い。足元がふらつくほどに。


「いや、サティとお義父さんの言う通りだ。今は待つとしよう。サティはゆっくり休むんだ」


「ええ......早く治して協力するわ」


 サティはメイドに支えられて部屋へと戻っていった。しばらくすると玄関の方が慌ただしくなり、出て行くと二人についていた護衛が戻ってきていた。茶店で休憩中に店で買ったものを先に馬車へ運んでくるように指示を受け、戻ってきたら二人が消えていたとの事。


 店の主人に話を聞いた所、店内で何かあった様子はなく二人で慌ただしく店を出て行ったとの事だった。本来護衛を身辺から離すべきではないが、今さら言っても仕方がない。荷物を馬車に積み込んでくるようにとの命令が出たのであれば、フェルナンデス家の護衛が断る事は出来ないだろう。そしてこういう悪いことはそういう偶然が生み出す産物なのだ。


「これは...何某かの事件に巻き込まれたことも視野に入れる必要が出てきたやも知れぬ」


 お義父さんであるブライト族長は俺の方へと向いてそう言ったのだった。



---------------------------



「ソニアお姉さま、次はあのお店にしましょう!」


「リリーちゃん、ちょっと買い過ぎじゃないかしら?」


「全部お姉さまにお似合いですから良いのです。さぁ参りましょう」


「ふふ、そうね? たまには良いわよね? でも次はリリーちゃんに似合う服を見ましょう」


 私はリリーちゃんとフェルナンデスの街を楽しんでいる。買い物に出るのも久しぶり...って事は無いのだがリリーちゃんとは初めてだ。目に映るのは南国独特の雰囲気の中に並び立つレストランや店の数々。様々な色が混ざり合って出来ている賑やかな街。少々財布のひもが緩むのは仕方がないだろう。ヒロシさんも許してくれるわよね?


 そう言う訳でリリーちゃんと服を見た後、私たちは茶店に入ることにした。随分と買ったからここで一休み。護衛は2人ついてきているが両手にはすでに荷物が大量に持たされている。外で待っているのも辛いだろう。そう言うとリリーちゃんは護衛に声を掛けた。


「私たちはあなたが帰ってくるまでここで待つから、馬車に行って荷物を置いてきなさい。帰ってくるまで店からは出ないから安心して」


「そうさせてもらえると助かるのですが、大丈夫でしょうか?」


「早々危ない目にも合わないわよ」


「そうですか、それではすぐに戻って参りますので」


 外は夕暮れに差し掛かっている。しばらくすると日も沈みフェルナンデスの夜の顔が見えてくる。


「フェルナンデスの夜も面白いのよ? 冒険者も戻ってくるから色々なショーや食堂が開店するわ。ドルスカーナは暑いでしょ? だから夜の方が人が多いくらいなのよ。 家族連れも夕食に出てくるし」


「へえ、そうなのね。この街の雰囲気ホントに素敵ね」


「ソニアお姉さまにそう言ってもらえると嬉しいです」


 通りに目を向けると確かに家族連れがチラチラと目につくようになった。夕涼みがてらに家族で食事か。そう言うのも悪くないかも知れない。ああ言う雰囲気も良いわね、リンクルアデルに戻ったらたまには外で食べようかしら?


 そう思いながら待ちゆく人を見ていると一人の男性が目に入った。男性は少し急いだ様子で目の前を通り過ぎようとしている。


「あれってトニーさんじゃないかしら?」


「え? どこ? ほんとだお兄さまだわ。仕事終わったのかしら?」


 トニーさんは現在フェルナンデスの街を活性化させようと頑張っている。この街にもいくつかの何と言うかガラの悪い集団が居て街の商店からみかじめ料などを取っているらしい。街である以上少なからずそういう連中は要るものなのだが、最近の景気の悪化に連中が暴れる事件が頻発、警備や衛兵も手を焼くようになってきたとの事。


 要するに縄張り争いが激化してきたという事だ。その中でフェルナンデス家の跡継ぎであるトニーさんは毎日抗争に終止符を打つべく街の商店や警備と連携を取り日々街のために奮闘しているとの事。素晴らしい人なのよね。花嫁募集中らしいけど選びたい放題だと思うのは私だけかしら?



お読み頂きありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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