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よろしくお願いします。
避けられない状況説明により進展が遅く感じるかもしれませんが、
その分投稿回数を増やして対応できたら良いと思ってます。
ギルドへ到着すると、ケビンを中心にいくつかのパーティーが集まっていた。天空の剣、暁の砂嵐、あと三つ程のパーティーがいる。Bクラス以下の冒険者達はそれを取り囲むような格好だ。
「ケビンさん、すまない。遅くなった」
「気にするな、何か作戦があるようだとサティから聞いた。どうだったんだ? 聞かせてくれないか? ん? 後ろの男は誰だ? ラザック士爵ではないのか?」
「そうだ、彼とは商売の関係で色々あってな。俺の友人でもある。そして彼が今回の作戦のカギとなる。これよりアデリーゼまで行くにはローランドを抜ける事を考えると急いでも10日程かかる。ガイアスから聞いた話ではそれでは到底間に合わん。独立宣言の回答期限を過ぎるとバルボアはアデリーゼに独立戦争を仕掛けるのだろう? そこまでは間違いないか?」
「ああ、間違いない。昼夜ぶっ通しで馬を走らせてギリギリ間に合うかどうかのタイミングになるだろう。だが......」
ケビンさんはそこで言葉を切った。気づいているのだろう。それではすべてが手遅れになる事を。
「俺もその点は気になっている。戦争がはじまると人質の意味がなくなるだろう。捕虜として生かしておくにはその身分はリンクルアデルにとって高すぎるんだ。王族であることに囚われ過ぎると一気に攻め込まれる可能性がある。国を守るために陛下が取る行動、それは恐らく俺たちの考えとそう変わらないと思う。そうだ。国の混乱を避けるため人質より事態の収束に重点を置く可能性だ。それだけは絶対に避けなければいけない。その辺りの状況を確認するためにも一日でも早くアデリーゼに到着する必要がある」
「その通りだ。しかしどうする? 飛行船でもあれば良いが流石にこの状況で迎えに来てくれることは無いだろう?」
「国道を使う」
「国道? まだ出来てないんじゃないのか?」
「ラザックさん、説明を頼む」
「ああ、国道はまだ石畳や宿屋は出来ていないが、道自体は開通しているんだ。途中何㎞かは舗装がない道を走る事になるが、早ければ2日とかからずアデリーゼまでつけるはずだ。道と宿屋については俺が何度か行き来しているから俺が先導できる」
「1日では無理か?」
「ヒロシさん、無茶をして馬が倒れでもしたら、そこからはもう自力で走るしかない。そうなると何日掛かるか分からん。辛いだろうが我慢して馬を休ませるんだ。それが最短でつける一番の早道だ。だが二日と言ったが、これからすぐに出れば明日の夕方には到着できるだろう。1日半だ」
「ヒロシ、それで行くのが良いだろう? すぐに出るか? 準備は出来ている」
「ああ、そうだな。それではすぐに出発しよう。皆もそれで良いか?」
「ヒロシさん、こういう時は強者がボスだ。ここに居る連中はヒロシさんの強さを知っている。アンタが仕切れば俺たちはついて行くぜ。サティもそれで良いだろう?」
「もちろんよ」
「そうか、すまないが国道を進むぞ。目一杯飛ばすからついて来てほしい。いや、絶対について来い! そして共に戦ってくれ!」
「よっしゃー! お前らヒロシさんの足引っ張んじゃねぇぞ!」
「「「おおおおおおお!」」」
俺たちはギルドを出てアデリーゼへと走り出したのだった。
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「陛下、ロングフォードから伝書鳩が届きました」
「そうか......ゴードンすまないが読んでくれないか」
陛下は憔悴しているが気力で皆を鼓舞している。魔獣は次々と森から現れ城へと向かってくる。非常線は破られてはいないが次から次へと湧いてくるようで冒険者たちも身が持たない。住民の被害は今の所ないが警備や冒険者からは既に少なくない死傷者が出ていた。
「それでは読み上げます。現在Bクラス以上のパーティがアデリーゼへと向かっているとの事。ヒロシの考えで国道を走破するらしく明日、つまり今日ですね。早ければ今日の夕方にはアデリーゼへと到着できる見込みとの事です。陛下、ヒロシ殿も向かっているようですぞ」
「そうか、神託の件があるから声を掛けるのは憚られたが、来てくれるならこれほど心強いことは無い。もちろんロングフォードの冒険者達もだ。今は戦力が少しでも多い方が助かる。あと、アランの持つジャッジメントは強力だと聞いているが実際の所はどうなのだ?」
「言いたくありませんが、かなり強力です。ウインダムと違うのは部隊編成ではなく、強力な護衛集団と言うイメージです。公爵個人で部隊を持つのはおかしいですからな。今は個の実力を重視して、いずれ部隊の隊長に据えるつもりなのでしょう。個の力量は恐らく互角かそれ以上と思われます。アランの放った言葉は決して誇張されているモノではないのです。確かな実力があると思ってよいでしょう。その上魔獣の相手をしながらと思うと不利な状況になる事は目に見えております。それだけにロングフォードからの応援は非常に心強い」
「そうか。今すぐ国道前まで人をやれ。合流後は速やかに王城に入れるようにここまで先導するのだ。全員入れて構わん。民は混乱しておるだろうが、魔獣が街まで到達する可能性は捨てきれん。厳戒令を出し皆家に戻るように繰り返し伝えよ。そしてこの騒動は数日の内に収まると広く喧伝するのだ。」
「心得ました」
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