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本日2話目となります。
ここから開いてしまったからはお戻り下さいね。
よろしくお願いします。
「魔物が出ました!」
先行しているシンディが叫んだ。隣にはリーシアがいて一緒に走って戻ってくる。いつの間に仲良くなったんだ? 心配してたこっちの身にもなって欲しい。まぁ、悪いことではないので全く問題ないのだが。
「獲物はなに?」
「あれはセンチピードデビルですね。群れでいます」
「ん?それはあれか、俺の探している魔物ではないのか?」
「そうよ、良かったわね。丁度いいわ、狩っていきましょう。ガイアスも良いわよね?」
「もちろんだ。まぁ、毒に注意していればこのメンバーでは大して問題にはならんだろう」
良かった。これで研究ができるぞ。後はその毒液が強アルカリ性であることを祈るばかりだ。俺は興奮している自分を抑え、目標に向かって皆と移動を開始した。ククク、さぁ狩りの時間だ。悪いがお前らには俺のメシの種になってもらうぞ。
「いました!先行します!」
シンディが飛び出して行った。
「おう!俺たちもいくぞ!ラースとリーシアは援護体制だ!」
「「「了解!」」」
「よし!サティ、クロ、俺たちもい、、、、イヤアアアアアア!!」
「ちょ、ちょっと突然どうしたのよ!」
「ダメダメダメダメダメダメ!!!ムリムリムリ!!」
「ヒロシ様、落ち着いてください!ヒロシ様!?」
「うわぁ!ムシ!ムシだ!うわああ!!」
そこには体長5メートルはあろうかと言う巨大なムカデが山ほどいた。
「ムムム、ムカデじゃないか!うわぁ!くる!こちに来るぞ!逃げろ逃げるんだ!」
「ムカデって何よ?あなたが言ってたセンチピードデビルじゃない。ほら、行くわよ!」
「嫌だ嫌だ嫌だ!無理だ!見ろあの足を、あの体を!キチキチ音がなってる!」
「もう、落ち着きなさいよ!なによ?泣いてるの?」
「ウゥ...怖い、嫌だ嫌すぎる。グス」
「まったく...仕方ないわね。クロちゃん、先に行ってて。リーシア! ちょっと来て!」
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戦闘は順調に進んでいる。センチピードデビルは毒液を吐くため魔物としてはCランクに指定されている冒険者泣かせの魔物だ。それが結構な数発生している所を見ると森の状況はやはり普通ではないと言えるだろう。ただ確かに厄介な魔物であることは間違いないが、私たちAクラスパーティーの敵ではない。
こうして離れてみてるとシンディも十分強いわね。ヒロシさんの護衛とはこのレベルでも納得できないのか。彼女の強さを見ていると、それはシンディさんの目標が高いだけのような気がしないでもないけど。
そんなことを思いながら戦況を見ているとサティさんに呼ばれた。
「サティさん、呼びました?」
「ええ、ちょっとヒロシが使い物にならなくてね。ここで一緒に待っててくれないかしら?」
「ヒロシさんが?え?ど、どうしたんですか!」
「どうも虫さんが苦手みたいね。全然知らなかったわ。という事でお願いね」
そう言うとサティさんは飛び出して行った。ヒロシさんはと言うと、ひどい取り乱しようだ。
「ヒロシさん、大丈夫ですか?しっかりして下さい!」
「うううう、ダメだ、もうダメだ。全滅する。俺たちはここで終わりだ!」
「何を言ってるんですか? 大丈夫です、すぐに終わりますからね」
「嘘だ! そんな注射する前のセリフを言っても俺は騙されないぞ!」
「注射って何ですか? あ、こっちにも来ましたね」
「ムシムシムシィィイイ! キシキシ音がなっている! 耳を塞ぐんだ! 呪われるぞ!」
ホントに使い物にならないようだ。ここは私が頑張らなくては。私はメイスを握り締め、センチピードデビルを迎え撃つ。
「えい! えい! えい!」
センチピードデビルの急所は頭だ。毒を獲物に向かって吐く時に頭を下げる。その瞬間を狙って一気に叩く!
結構大きく魔物たちは展開しているようだ。こちらにも何匹か漏れてきている。そこへシンディさんも戻ってきた。
「いやぁ、数が多いですね。こっちは大丈夫ですか?」
「良い所に戻ってきてくれました。ちょっと大変な事になってます」
「大変な事? ああ! ヒロシ様! どうしたのですか? ま、まさか、毒液に!?」
「いや、違うんですよ」
私は経緯を簡単にシンディさんに説明した。
「サティさんに下がるようにと言われたんで来てみればこんな事になっているとは」
「そうなんですよ」
「てっきり休んで良いという事かと思ってました」
「打ち漏らしを仕留める程度ですから、シンディさんもいてくれたら全く問題ないかと思います。私たちはここでヒロシさんを守る事にしましょう。毒袋に触れると良くないので打撃で仕留める方が良いでしょうね」
「そうですね、私もできる限り打撃で対応します」
「ちょっと見慣れないヒロシさんですけど、これって立派な護衛ですよね?」
「ふふ、そうですね。でも初めての護衛です。お役に立たないと」
「ヒヒヒ、焼き払ってやる! そうだ、森ごと焼き払えばいいんだ! ヒヒヒヒ! 一匹残らず焼き払ってやるううぅぅうう! ヒィヒィフー、ヒィヒィフー!」
「何言ってるんですか!そんなの駄目に決まってるでしょう!」
「ヒロシ様、ここは私たちに任せておいて下さい」
ヒロシ様は膝を抱えてブツブツ何か言いながら爪を噛んでいる。大丈夫かこの人? しかし、ケガをさせる訳にはいかないし、森を焼き払う事もさせれない。この人なら本当にやりそうで怖い。
たまに漏れ出てくるセンチピードデビルを二人で狩っていく。
「えい! えい! えい!」
「はっ! はっ! それ!」
しばらくして戦闘が終わり、皆が戻ってきた時にはヒロシさんは放心状態になっていた。そこにはリンクルアデル最強の面影はなく、ガイアス言い過ぎなんじゃないの?と思ってしまうのであった。
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