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よろしくお願いします。
誤字脱字を指摘して頂きありがとうございます。
本当に助かっております。改めてお礼申し上げます。
『天空の剣』はそういう意味では非常にバランスの良いパーティではないだろうか?近接と遠距離、そしてヒーラー。それを証明するだけの実力と実績。流石Aクラスパーティだ。
「じゃぁ、もう少ししたらポーターはリーシアの後方で待機。私たちは二手に分かれて挟み撃ちにしましょう」
「了解だ、戦闘開始の合図はラースの弓で良いか?」
「ええ、それで良いわ」
そしてゆっくりと目標に向かって俺たちは進む。いた。オークだ。手には斧やこん棒を持っている。群れを作ったり武器を使う事から分かるように彼らには知能がある。
ゴブリン、コボルトなど二足歩行できている魔物はほぼ知能があるとみて良いだろう。四足歩行の魔物については殆どない。ただしある一定のレベルに達した魔物や魔獣は言葉や思念での会話が可能らしい。
そして唐突に戦闘は開始される。
ラースが放った矢がオークに突き刺さる。ところが傷が浅いのか倒すまでには至らない。
「ブモオオオオ!」
オークも襲撃に直ぐに気付いたのだろう、矢が飛んできた方向を見据える。しかし続けざまに多数の矢がオークを襲う。すごいな、タイムラグが殆どない。一度に何本かまとめて放ってるのか?
矢じりの種類は多いが分類すると大きく二種類となる。返しが有るか無いかだ。現在、ラースは貫通性を高めるため、また長期戦になった場合に矢を回収し易くするため返しの無い矢じりを使用している。何種類か持っているようだ。
集中して的にされたオーク一体が力尽きて倒れた。
オークはたまらず後ろに下がる。しかし下がった先には天空の剣が待ち構えている。そして本格的な戦闘が始まった。ガイアスとフィルの剣士としての腕前はもちろんだが、その連携は素晴らしかった。フィルが素早く足を切りつけ敵の意識を引き付け、ガイアスが追撃を入れる。二人一組で確実に屠っている。
突然始まった戦闘にオークたちはうまく適応できず既に五体が倒されていた。
クロとシンディが一体を相手にするが、クロはサポート役に徹しているようだ。シンディの戦闘をこの目で見るのは初めてだ。彼女の武器は両手剣...っぽいがあれはショートソードか? ショートソードは防御面でも優れていると聞く。シンディの場合はそこに格闘技の要素も存分に含んでいるので対人戦ではかなり優秀な部類だと思う。
しかし、今回は体格も膂力も違うオークだ...が杞憂だったようだな。オークを単騎で撃破できるようになるとはやるじゃないか。ただしシンディにはもっと上を見て欲しいので手放しには喜んであげられないのが師匠として辛い所だが。
そしてガイアスとフィルが一体を倒した時に残りのオーク二体が逃げ出した。倒しに行くかと思ったんだが、サティが言うにはこのまま巣まで案内してもらいましょうとの事。
「でもそうね、案内は一体で良いわね」
「それなら一体減らしましょうか?」
ラースが追いついて来ていた。途中矢を抜いてきたのだろう。
「ええ一体だけお願い。大丈夫かしら?」
「まぁ、この距離なら外しようがありませんよ」
と言うと同時に彼の手元から三本の矢が飛び出した。今、同時に射ったよな?
しかしオークは偶然か分からないが木の陰に隠れてしまった。木に当たるかと思われた矢はその瞬間有り得ない弧を描き、木を躱して後ろのオークに命中した。
「今のあれって絶対曲がったよね?」
「ええ。まぁ、あれくらいは朝飯前ですよ」
スキルと風魔法のおかげでその辺りは問題無いんだと。すごいなおい。俺は素直に感動した。三本まとめて射るのはスキルの恩恵もあるが鍛錬の賜物で五本まで同時に放つことが出来るらしい。コイツめちゃくちゃ強いんじゃないのか?状況では相当苦戦させられそうな気がする。
「ガイアス、ラースの実力ってすごいんじゃないの?」
「ああ、何でもアリなら相当やるだろう。森に愛されてる奴だしな」
一体が走り去った後、木の後側に倒れたオークを見たら首の後ろに三本刺さっていた。恐ろしいまでの精度だな。森に愛されてるって所がよく分からんが。スキルか何かだろうか?
逃げたオークをシンディが追跡する。彼女は何と言うかこういう所での動きも素早い。種族特性なんだろうか? 俺たちは更に後方でついていく形だ。シンディを見失わないように、でも近づきすぎないように。彼女は立ち止まって俺たちに待機の合図を出してから一人消えた。
「前方にオークの群れが固まっています。正確な数は確認できませんが十体以上いるでしょうね」
しばらくして戻ってきた彼女の報告に俺たちは驚いた。
「集落を作ってる最中ってところか。これはリーダーは絶対いるな」
「でも、それなら尚更討伐しないといけませんね」
「そうだなラース。今のメンバーなら可能だと俺も思う。街まで約1日の距離に集落なんて放っておく訳にはいかない」
「そうね、討伐は絶対よ。ポーターは念のため戦闘場所から少し離れて待機しておいて頂戴。今回はリーシアも出るからあなた達を守る事は出来ないわ。戦闘中は離れて周りを警戒しておきなさい。ゴブリン、コボルトが襲ってくる可能性があるわ」
「わかりました、ゴブリン、コボルトなら大丈夫です」
ポーターは緊張した面持ちで答えた。低ランクでオークと対峙するのは無理だ。子供と大人くらいの違いはあるからな。ここで待機するのが得策だろう。
今日は複数投稿目指して頑張ります。
引き続きよろしくお願いします。