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囚人道路
明治の時代、北海道で囚人によって作られた道路でその距離は約630㎞に達すると言われている。それは極寒の地でたった四年で作られた。囚人たちは脱走を防ぐため二人一組となり足枷を付けられていたらしい。労働は過酷で死にゆくものはその場で土葬にされあちこちに小山ができた。足枷の鎖をのせられた小山は鎖塚と呼ばれる事になる。このような囚人道路は日本のみならず世界でも見られる。
俺もそれと同じことをする事を決めていた。倫理観を問われるかもしれないが、世の中には救いようがないクズというものが必ずいる。前世でもどうしてこんな議論の余地もないクズを牢屋で生かしておくのか疑問だった。未成年だろうと何だろうと俺はクズに与える末路は一つしかないという考え方だ。
即刻死罪
賛否両論あるだろうがそういう事だ。冤罪の疑いがあるのなら逡巡もするが、ここは魂歴をみることができ冤罪の発生率は極めて少ない。一応簡単な面接と言うか罪の確認はするようにお願いはしているがそれだけだ。
何回か男爵家で会議を行った。基本はこちらの計画をゴードンさんが戻った際に陛下へと報告する。
と、同時にエミリアさんも商店の開業に向け準備を進めるローグたちと合流。
慌ただしいがローグと従業員も明後日にはアルバレスへと出発する。商店の開業については向こうのギルドの協力は既に取り付けてあるので安心だ。後からエミリアさんも合流するし、地元だから何とか上手くやって欲しい。
そして工期は起工式の次の日から一年六カ月とした。二点を繋ぐラインに山も大岩も湖も何もない。大陸南側の温暖な気候に恵まれたアルガスにおいて作業は比較的進みやすいと思われる。加えて両側より進めるのだ。一方だと計算上約三年かかるがそれを両側から進める事で工期を半分にする。完全な人海戦術工事だが問題ないと考えた。こちらには人力以外にも魔法や魔道具という便利なものがあるから作業効率としては悪くない。
総工事管理はNamelessが、部門管理を加盟店が、搬入搬出など含めた工程管理を商店が行う。そして道路建設の直接労働を囚人と重犯罪者奴隷が行う。犯罪者、及び奴隷の管理については警備と冒険者が担当する。
これでこちらでやることは大方終わりかな?起工式を一月後と定めており、毎日が本当に忙しい。
距離的な問題もありローランドへは頻繁に行くわけにはいかないが、三ヶ月毎位には行こうと思っている。
しんどい。疲れた。ちょっと休みたい。
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と言う訳で俺はいまサティの家で休憩している。昼間っからイチャイチャしてしまった。ムフフな事をあれやこれやとだ。羨ましいだろう?
だって仕方ないだろう、結婚した瞬間に出張だったんだぞ? そこは分かって欲しい。
休むつもりが余計に疲れた気もするがそんな事はまったく気にしない。精神的には完璧にリフレッシュだ、羨ましいだろう?
夜にサティの所に行くって言うのもなんかそれ目的って感じで嫌なんだ。そもそも、俺とサティの新居はどこなんだ。なぜ結婚しているサティと別居でソニアと同居しているのだ。わからん、どうしてこうなった。完全に通い妻ならぬ通い夫ではないか。
でも、今はこのままで上手くいっているから良いって事になってる。一応相談はしたんだよね。言っておくがソニアとはプラトニックな関係だぞ。俺は節度ある人間だ。節度ある人間なのだ。
「なぁ、サティ。次にローランドに行く時って一緒に来れる?」
「いつ行くの?」
「多分三ヶ月くらい後かなぁ」
「それくらい先なら都合もつくわよ」
「向こうの進捗を見るのと、陛下にサティを紹介しておこうと思ってさ」
「ソニアはどうするの?」
「商会の件もあるし、子供もいるからね。基本は今回はパスで考えてるんだけど、もしかすると一緒に行けるかな?」
「何かあるの?」
「今ローラちゃんが来てるだろ?彼女こっちにいる間はシェリー達と一緒にこっちの学校に通うんだって。もし反対も可能なら子供も一緒に連れて行ける」
「いい考えじゃない」
「ただ問題が二つある。一つは長旅であること。二つ目はレイナが過労で倒れるかも」
「大変なのね」
「おまけにローグもローランドへ出すからなぁ。いっそのことレイナを上に引き上げて、部下を育てる方向で考えようかな。最初は大変かも知れないけど、レイナの自由度は増すはずだ」
「あなた仕事の事ばっかりね。たまには一緒に森に入りましょうよ」
「そうだな、それが良い。実は森で探したいものもあるんだよ」
「また新しい薬品とか仕事目的なんでしょ」
「そう言ってくれるな。目的があると森に入るにもクエストみたいで楽しいだろ?」
「まぁそれもそうね」
「それよりもお願いがあるんだ」
「なによ?」
「もう一度『あなた』って言ってくれないか?」
「もう、バカね」
と言いつつ俺はサティを抱き寄せ二回戦へと突入していくのだった。
羨ましいだろう?
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