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今日はこれで最後です。

”通信を開始します”


「は?」


 突然頭の中に響いてきた言葉に思わず声を出してしまう。


”通信を開始するにあたりこの部屋に防音結界の施行及び特例処置として神界とのアクセスを許可します。通信開始まで5秒4秒3秒2秒1秒”


「相原比呂士だな?」


「あ、あう」


 変な声が出た。


「相原比呂士で間違いないな?」


「あ、ああ。相原です」


「すまないな、驚いている事だろう。本来はもう少し早く話せればよかったんだが、重要なのは本人が自分の死を理解し、受入れなければ回線が開けないことになっているのだ」


「あの、あなたは?」


「聞きながら大方答えを持っているんだろう? 分かるぞ? そう、私は惑星パナスの創造神、アザベルだ。国々によって呼び名は違うが創造神と言えば私になる」


「やはりそうですか。それで......」


「聞きたいことは山ほどあるだろうが、まずは一つ目大事なことだ。お前さんが死んだのは運命だ。あの飛行機が墜落することは決まっていた。どの因果をみても回避することは不可能であった」


「そうなんですか」


「それで私は地球の神からの約定に従って本来乗り込む乗客乗員含め全員を(ふるい)にかけ、その中から特定の人間にアンケートと言う形でパナスへの適性を見定めたわけだ」


「理由を聞いても?」


「簡単に言えば転生のチャンスを与えるためだ。もちろんある程度の期待もしているがな。お前の生に対する執着、これまでの行い、生まれてから今までの全ての行動に関してモニターした。パラレルワールドは知っているな?」


「聞いた事はあります」


「お前が何かのタイミングで人生を左右するほどの決断をした際に、選ばなかった方はパラレルワールドでその時間を独自に進める。お前と言う人間はパラレルワールドで今や何人いるか分からんほどに膨れ上がっとる」


「何人もいるんですか......」


「ただ勘違いしてはイカンのがパラレルワールドとはあくまで非現実的に実在するいわば時間軸の外側にいる世界。実在すると言ったが実在はしない。あくまで仮想だ」


「良かったというか、複雑ですね」


「それらを全てモニターした際に驚いたのが、今のお前、ここに現実として実在しているお前が一番良い結果になっておる。どういうことかわかるか? これは奇跡と言っていいくらいの確率だ。人生を左右するほどの大きな選択をお前はただの一度も間違うことなくクリアしてきたのだ。普通あり得ん」


「いえ、そのありがとうございます?」


「大金持ちになる、大スターになる。色々ゴールはあるだろう。しかしお前の場合それら全てがどこかで破綻するという形だ。これは(けな)しているんじゃないぞ? 数多に存在する運命と因果の中でお前は転落へのルート、それを全て回避して見せたんだ。私も驚いた。長い時間の中で中々出会うことが出来ない人間だ」


「そうなんですね、でも死んじゃったんですよね?」


「あぁ、人生とは何と儘ならないことよ。でもお前自身、家族もみな幸せだ」


「死んだ俺が幸せだってのはちょっと......」


「お前が死んだことに関しては運命なんで何とも言えぬが、後悔する人生ではなかったはずだ」


「まぁ、確かに今そんなことを考えてましたけど」


「しかも、アンケートの答え方も素晴らしい。残された家族の幸せを端的に最高の形で表現している。何かカンペがあるのか疑ったほどだ」


「いえ、そんなことはしてないし、そこまで考えてませんよ」


「そうか、まぁ良い。それでこれからの事なんだが。折角転生したんだし上手く生きていけばよい。基本それだけだ」


「そうなんですか? パスとか文字化けしてるのは良いんですかね? あと色々ギルドの人にも驚かれたんですけど」


「別に構わん。最悪国王に直接神託を下すから安心しろ。この国は非常によく運営されている。リンクルアデルの国王は中々の人格者だ。悪いようにはしないだろう。むしろ私からお願いするとしたらこの大陸の繁栄を助けてやって欲しい」


「助ける?」


「この大陸も成長してきてな。そろそろバランスが崩れるのではないかと危惧しておる。知っての通りこの世界には魔素がある。負の要素はその魔素の状態を損ねてしまう。その負の要素はジルコニア大陸を総ている魔族には良く働いてしまうんだ」


「魔族が居るのですか?」


「魔族は基本的にジルコニア大陸からは出てこない。しかしバランスが崩れると領土拡大とかに動き出すやも知れん。統治に興味がない割には......要するに戦闘狂なのだ。戦いが全てみたいな種族だ。そうなるともうセリジア大陸だけの問題だけではなくなる」


「負の要素ってのが大きくならなければ良いと」


「そう言う事だな。文字通り大陸間での大きな問題へと発展してしまう可能性があるんだ。起こる事象については因果の縛りがあるから中々抜け出すことは難しい。だけどその努力を惜しんではいけない。分かるかね?」


「まぁ、分からないこともないです。でも僕にできるんですかね、そんなこと」


「できる範囲でだ。今のままでも直ぐに世界に影響を与えることは無いから深く考えずとも良い」


「はい......何ができるか分かりませんが。あと能力ってのがよく分からないんですけど」



明日、また投稿します。

よろしくお願いします。

お読み頂きありがとうございます。

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