表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/362

104

いつもありがとうございます。

 馬車に皆が乗り込んだ後、私は直ぐに馬にまたがりガイアスに声を掛ける。


「護衛を頼まれたわ。天空の剣もすぐに動ける?」


「ああ、大丈夫だ」


「私は他の護衛と共に先頭の馬車を、ガイアスは後ろをお願い。男爵家に着いたらその後どうするかゾイド様に聞きましょう」


「了解した、じゃ、後でな」


 そうして私は男爵家へと向かった。


 私はヒロシの妻と言う事で護衛の礼を言われると共に中で一緒に話をする事になった。ソニアも状況はよく呑み込めていないようだ。ちなみにガイアスは外で暁の砂嵐たちと共に警護中。


 男爵家の談話室で皆がソファにゆっくりと腰を落ち着かせる。ただ、執事、メイド達は王族に失礼があってはならないので緊張した面持ちだ。その辺りはセバスさんは流石に動じていないようだ。


 私はソファへと腰を掛け、レイラ様の話を待っていた。


---------------------------------------


 空から見るリンクルアデルはそれはそれは奇麗なものだった。雄大な景色、遥か広がる緑の森と山々。飛行機と違い恐らく地上300m付近の低空を走る有視界飛行である。一部の窓は開閉可能となっていて風が気持ちいい。雨が降ったりとか風が強かったりなどの制約はあるだろうけど、どの程度影響が有るのかは分からない。元居た世界とは常識が違うからな。


 たとえ時速80㎞だとしても400㎞を走破するのに5時間かかるのかと言えばそうではない。直進で障害物がなく速度は安定している。それこそ追風の影響を受けたら数時間で到着するだろう。


 ラウンジルームで皆と談笑をしながらたまに外の風景を眺める。俺、すっげえセレブな気分だ。サティやソニア、子供たちにも見せてやりたい。これはあれだな。俺の密かな目標にしよう。個人で飛行船を所持する商会。ムフフかっこいい。


 空の散歩を満喫し船はロングフォード上空へと到達する。下を見ると広場には沢山の人々が集まっている。徐々に高度を下げて行くと窓からは歓声が入ってくる。あ、サティだ。ソニアもいるな。


 着陸してレイラ様が出て行く。流石に特権階級の頂点に君臨する人だけあって、オーラがハンパない。先ほどソファで笑っていた時とは雰囲気がまるで違う。王族だけが持てる一種のスキルなんじゃないのだろうか?


 そして俺はサティとの再会を果たし、男爵家へと向かった。抱きしめてキスしたかったが俺は自重できる男だ。ホントだぞ?


-------------------------------------------


「と言う訳なんです」


 ゴードン卿が国家事業について皆に説明をしてくれた。改めて聞くと俺もエライ事をぶち上げたもんだ。何を考えてんだ、俺は。他人事のように聞いている自分がいる。どうしよう。


「ヒロくん、そんなこと言ったの?」


「...言ってません」


「何言ってるの?言ってるじゃないのよ」


「どうやら言ってるみたいですね」


「他人事じゃないのよ?どうすんのよ?」


「どうするって言われても」


「出来るのそんな事?考えてるの?」


「か、考えてますよ」


「考えてないんでしょ?」


「考えてますって」


「どうせ、言いながら後付けしたんでしょ?」


「...」


「図星ね?」


「...」


「流すに流せなかったんでしょ?」


「...」


「バカじゃないの?」


「う、うるせー!やるっつてんだろうが!お前はごちゃごちゃうっさいん...いや、まて...ゴハァ!」


 俺はもろに腹パンを受け体を九の字に曲げて崩れ落ちた。王女様の前でグーパンするか普通...恐ろしい女だ。痛ってぇ。


「す、すごいわ。ヒロシ様が倒れるなんて。模擬戦では膝すらつかなかったのに...」


「お兄ちゃんを一撃ってあり得ないよね」


 拳を握り締めたまま仁王立ちのサティが俺を見下ろしながら言う。


「模擬戦ってなによ?」


「さて? 聞いたこともありませんな」


「何カッコつけてんのよ?ウインダムと模擬戦したの?」


「とんでもない」


「しましたよ?一人はタリスマンが無ければ即死でした」


『カルディナあとでぶっ飛ばす』


「模擬戦したのね?」


「したような記憶も少しあるようです」


「お兄ちゃんって何よ?」


「それはですね...」


「お兄ちゃんが僕に弟になってくれって言ったんだよ」


「おいいいい! 待て違うだろ! 何しれっと言ってるんだお前は! まて、サティ、違う。違うんだ聞いてくれ!」


「お仕置きが必要ね?」


「待て待て待て! セイラム! 怒るぞ! 死活問だ...ゴフゥ!」


「エヘヘ、ちょっと違ったかな。実はね...」


「あら、そうだったのね。ヒロくんじゃぁ許してあげるわ」


「殴ってから言うのは止めてくれませんか...」


 ソニアが倒れた俺に膝枕をしてくれている。癒しだ、癒しがここにある。


「もうソニア、甘やかしたらダメよ」


「うふふ、少しだけですよ」


「男爵家は賑やかなのですね。面白そうで羨ましいですわ」


「はぁ、レイラ様。御見苦しい所をお見せして申し訳ありませんな」


「いいえ、ゾイド男爵。こういう雰囲気は大好きですの」


 俺は痛かっただけなんですけどね...とは言えなかった。


 子供たちは庭で遊んでいる。すっかり仲良くなったようで何よりだ。シャロンも一緒に遊んでいるぞ。シンディも良く相手をしてくれている。



 サティとソニアはセイラムが男だと聞いて驚いていた。更にウインダム1番隊の隊長と聞いて二度驚いていた。そうだよな、それが普通の感覚だと思う。


 カルディナはサティと会えたことでテンションが上がっていた。


 俺たちも含め一行は今日は皆男爵家に泊まり明日ギルド長を含めて協議することになった。みんな一緒と言う事で子供たちも大喜びだった。






お読み頂きありがとうございます。

ブクマ、評価は励みになります。

お手数ですが一手間頂けたら嬉しいです。

引き続きよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] > 俺はもろに腹パンを受け体を九の字に曲げて 「くの字」に曲げて
2021/11/18 01:42 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ