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よろしくお願いします。

 言っちまったぞ。実は内容については進行形で考えている。これは言えないけどな。


「ほう?何か良い話があるのか?」


「はい、公共事業をやってみませんか?」


「公共事業とな?なんだそれは?」


「簡単に言うと国が大元となり事業、商売をする事です。国が金を出し、商売自体はNamelessが引き受け、事業が完成した後は国に金が戻るようにするシステムです」


「よく分からんな。もう少し具体的に頼む」


「今考えているのは、ロングフォードとローランドを繋ぐ道路の建設です」


「つづけよ」


「現在ロングフォードとローランドは馬車で10日程度の道のりとなっております。これを2日に短縮させる事業です。2日に短縮できるなら2つの街はもっと親交が盛んになり人の行き来が増えます。そうなると経済は活性化する。活性化すればお金が回るという事ですね」


「ふむ、しかし2日とか無理だろう?」


「現在馬車の速度は悪路という理由もあり時速約7km、それを休憩を入れながらになると一日30㎞~40㎞程度の距離数しか走れていません。本来ホスドラゴンは馬車を引いても時速20㎞程度の速度で走れるのです。道路を改善すると走破距離は3倍になります。つまり三分の一程度で終わります」


「途中から何を言っとるのかさっぱり分からん。時速やらキロメートルやらとはなんだ?まぁ、そこは後ほど詳しく聞くとしてどうやって儲かる?」


「元となるお金は国が出します。投資額は金貨1万枚とします。道路が出来れば人はその道を使いたくなりますよね?特に商人は。そこで新しい道には通行税を掛けます。個人には銀貨2枚、商人には銀貨20枚としましょう」


「それで?」


「人々の往来は現在の数十倍になる可能性があります。その内7割は間違いなく新しい道路を使用します。商人ですからね。危険で長い道のりを避けるために安全を金で買いますよ。往復で銀貨40枚、毎日20組の商人が行き来するとします。両方の街から行き来しますから40組ですね。一日最低銀貨1600枚月に約銀貨5万枚、ざっと計算すると月の税金は通行量だけで金貨500枚です。1万枚の投資額は約2年で完済、それ以降の税金は全てリンクルアデルの税収となります」


「ゴードン!」


「はっ」


「考えを述べよ」


 国王丸投げしたな。


「恥ずかしながら計算が追いついておりません。ただざっくり間違いないかと。質問としては金貨1万枚で可能なのでしょうか?」


「そのあたりは詳しい人に相談しないと何とも言えませんが、それだけではありません」


「と言いますと?」


「休憩場所を作ります」


「はあ」


「先ほど言いましたがローランドからロングフォードまでは約350㎞。馬車で走ると時速20㎞、1日200㎞前後を走るわけです。100㎞毎に休憩所、野営出来る所や両方の街から宿屋を出せば儲かるとは思いませんか? 絶対に人は利用しますよ」


「素晴らしい」


「食堂や宿屋からも税金は入ります」


「入るでしょうな」


「まだあります」


「聞きたいですな」


「今までの道は長い間旅人や商人が行き来して自然出来た、言わば獣道が大きくなったものです。それを国王が自ら道路を整備し彼らに旅の安全と宿と食料、風呂まで用意する。リンクルアデル王は、国民はもちろん他国からも賢王として注目を浴びるのは間違いないでしょう」


「ううむ、確かにそうですな、間違いないでしょうな」


「それは全て王様のモノです」


「決まりだ!」


 うわ、ビックリした。陛下、突然大きな声を出さないで下さいよ。


「儲かる気しかしないぞヒロシ。やれ! 金は出す!しかしな、お前に何の利がある?」


「商売は間違いないなくやり易くなります。いやらしい話ですが、人が移動するという事はそれだけお金もかかりますからね。商会としてはきっちり儲けさせてもらいますよ。あと、本音ですが毎回来る度に一ヶ月も家を空けるとなると嫁と許嫁が怖いです。多分私は来なくなると思います」


「それは困るな。それはそうとヒロシはサティと結婚しているのであったな。もう許嫁までおるのか?」


「はい、ゾイド様の孫娘であるソニアさんです」


「そうだったか、ゾイドよ、お前も抜け目がないのう。一番の勝ち組はお前か?」


「いえいえ、そのようなことは。孫娘の将来については本人達に一任しております」


 じいさん、慌ててるぞ。


「話を戻すが神託によればヒロシが良いなら相互利益の話もしても良いとのことだ。これ程の大きなことだ、ヒロシには度々来てもらわんといかんな。お前たち、ヒロシの扱いはどうするのが良いか?」


「失礼ながら、私からも良いでしょうか?」


 レイヴンさんが話しかけてきた。


「許す、話せ」


「恐れながら、ヒロシ殿の武に関する事でございます。あのドルスカーナの武神と言われるアッガス殿をも凌駕するそのお手並みを是非拝見させて欲しいのです」


「貴様、アザベル様のお言葉を信用しておらんと言うのか!」


 やばい、王様怒りそうだ。レイヴンさん、恐らく後ろに控えている騎士団から突かれたんだろうな。

偉くなってもたいへんだなぁ。っと首が飛ばされる前に助け船を出してあげないと。


「許せぬ! この場で何たる発言を...ただで済むとは思っておるま『ちょっとお待ちください!』」


「む、どうしたヒロシよ?」


「口を挟んだことに対してまず謝罪致します。ただレイヴン様のご意見も至極真っ当なものと思います。皆さんご存知の通り私はパスの中身も明かせず、私自身も陛下の仰る役割についても理解できておりません。要するにただの正体不明の男なのです。それをアザベル様のお言葉とは言え、何もせずに信を得るのは虫が良すぎると考えております」


「そうか、レイヴンを許してくれるか?」


 許すも何も怒ってんのはアンタでしょ?この辺が政治家の怖い所だ。


「もちろんでございます。ただお互いに無用な怪我は避けたいところです。決闘ではなくタリスマン(身代りの御守り)を用いた模擬戦であれば私も問題ありません」


「ありがとうございます、ヒロシ殿。もちろんタリスマンを用いての模擬戦で構いません。それでは後ほど訓練場にお越し頂く形で良いですか?」


「それで構いません」


「余もいくぞ」


 この変わり身の早さこそが一国の王のすごい所だと思う。そうして謁見は一旦終了として、皆でぞろぞろと訓練場へと向かうのだった。



書いたら投稿したくなります。

ストックを考えたいのに、、、

これからも楽しんで頂けるよう頑張ります。

引き続きよろしくお願いします。


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