<117>悪役令嬢、脅される
今週は火曜日と水曜日はミカエルがミカエルとして授業に行くと言ったので、シャーロットはガブリエルと一緒に行動していた。ガブリエルは途中で編入していきた上にミカエルと一緒に卒業を目指して単位を取っているので、シャーロットよりも授業数が多く、ミカエルと一緒に冬の長期休暇には補講を受けていたりもした。水曜日の今日も、シャーロットが授業を終わっても、その後授業を受けに行くため別行動を取っていた。
シャーロットは授業で使う資料を探しに、一人、図書館に寄り道していた。資料を探し終わり、たまたま手に取った異国の民話集の本が面白かったので、最後まで読んでいるうちに閉館時間まで居残ってしまっていた。
夕日が落ちて暗い運動場を、まだ走っている者達がいる。よく体力が続くなーと思いながら、シャーロットは一人帰り道を急いだ。すっかり帰りが遅くなっていた。周りには下校する生徒の姿もあまり見えない。
寮の近くまで来て明かりが見え、ほっとして歩みを緩めると、ドン、と後ろから誰かに背中を突き飛ばされた。
あまりの衝撃に地面に手をついて倒れた。手にしていたカバンが地面に転がる。
「シャーロット・ハープシャー。これは警告です、王太子殿下との婚約を辞退しなさい。」
聞いたことのない女性の声が、シャーロットの名を呼んで、はっきりと言った。
誰? 何?
シャーロットは落ち着いて立ち上がると、手を払い、地面についた膝を払った。触るとヒリヒリと痛い。
声の主に向き合うと、女子生徒達が息を切らして立っていた。なんとなく上級生ということは判ったけれど、見たことのない顔だと思った。
「どういうことでしょうか、説明していただけますか?」
シャーロットは猫を被って微笑んだ。知らない人に突き飛ばされる理由が判らない。
「あなたにこの国の王妃になってもらっては困るのです。怪我をする前に手を引いてください。」
暗がりの中で見る女子生徒は3人いて、背はシャーロットよりも高く、髪の色は3人とも金髪ではないだろうと思った。瞳の色までは見えなかった。ただ、一人の女子生徒の口元に小さな黒子が二つ並んでいるのは見えた。
近くを誰かが通り過ぎる気配がした。男子学生達が話をしながら通り過ぎて行った。聞かれたくないのか、彼女達はしばらく黙って様子を伺っていた。
「わかりましたね? 怪我をする前に決めるのですよ?」
そう小声で言うと、3人組は去って行った。
暴力を振るわれるのも警告を受けるのも初めてなシャーロットは、動けないまま見送った。3人の姿が寮の中へと消えてしまうと、あまりの衝撃に体が震えはじめた。
落ち着こう、落ち着くのよ、私。
自分を励ましてカバンを拾って歩き出した。がくがくと膝が震えていた。時間をかけてゆっくりと歩いて寮の自分の部屋に戻ると、冷静に着替えて、冷静に自分の持ち物を観察した。
カバンが汚れているし、白いコートの裾も汚れている。こんなのはどうってことはない。スカートの裾も、なんともない。着替えながら自分の体も観察する。舗装されていない踏み固めただけの土の道には、かけらのような小石が転がっていたりして、手にいくつか切り傷を作って刺さっていた。手でそっと払うと、血が滲む。両足の膝小僧を擦りむいていた。血が見えると、傷口が痛む気がしてくる。
「うわー、」と思わず感想が声に出てしまう。
痛いなあと思ったけど、これか~。
子供の頃、領地の別荘の庭で遊んでいて、走って転んで擦りむいて以来の怪我だな~。
傷口を洗いにシャワールームに行き、流水で流してタオルでぽんぽんと拭った。子供の頃は、こういうことは侍女にやってもらってたんだわ。自分で対応できるようになったんだなあと思うと感慨深い。いかに怪我をしないように自分が生活しているのかがよくわかる。走らなくなったし、飛び跳ねなくなったし、慎重に行動することを覚えていた。
膝小僧には、念のためと入学した当初に家から持たせてもらっていた傷薬の軟膏を塗って、ガーゼを当てて包帯でくるくる巻いた。手は我慢できそうだったので軟膏を塗るだけにしておいた。
それでも、泣けてきてしまう。夜、お風呂に入ると沁みちゃうんだわ。こんなことで泣けちゃうとか、私、弱い大人になっちゃったんだわ。
泣くのを我慢して、シャーロットは膝を隠すように踝丈のカーキ色巻きスカートに黒いセーターを着て、ミカエルの部屋へと急いだ。
でも、どうしてミカエルと婚約を辞退しなくてはいけないんだろう、王妃になることは何か不都合があるのかな。あの3人の上級生は誰なんだろう。突き飛ばしておきながら、怪我をする前に決めるようになんて。もう怪我しちゃってるんだから決められないじゃん。
考えれば考える程傷口が痛む気がして、シャーロットは悲しくなった。口元に黒子が二つある女子学生って、いるようでいない気がするわ…。
ミカエルは木曜はミチルで過ごすと言って、夕食が終わった後、ミチルな女子学生の制服に着替えると一緒に女子寮の部屋に帰ってきていた。こりゃまずい、シャワーでうっかり痛いなんて言えないなとシャーロットは眉を顰めた。ガーゼを剥がす時も、痛くても静かにやろうと思う。
うっかり痛いなんて言ってミカエルに怪我のことを聞かれたら、理由を言わなくてはいけないだろう。そう思うと、帰り道に自分の身に起こったことを話せないままでいた。
シャーロットは猫を被って動揺を隠すように冷静を装って勉強をし、先にシャワーを済ませたミカエルの後、冷静を装ってシャワールームに行った。タオルや着替えと一緒に、こっそり代えのガーゼも包帯も傷薬の軟膏も持ち込んだ。シャワーを浴びながら痛さで顔を顰めていても声は我慢した。
いつもより時間がかかってしまったけれど、シャーロットは何事もなかったようにナイトウェアに着替えた状態で部屋へと戻った。
何も言わないまま自然に振舞って、ミカエルにお休みと言ってシャーロットは眠った。枕元にこっそり軟膏を持ち込んで、手にはこっそりと塗った。
ミカエルに何もバレなくてよかった。ほっとすると、よく眠れた。
翌朝、シャーロットは自分のベッドにミカエルが一緒に眠っている狭さで目が覚めた。今年に入ってから結構こういう日があるよね。ミカエルは自分のベッドを使わないのかしら。眠い目を擦りながら、起き上がるとミカエルの頬をつついた。
「おはよう、ミカエル、起きて?」
あれ? 掌に包帯が巻いてある? 私、包帯なんか巻いて寝たっけ?
一瞬にして目が覚めてしまったシャーロットが目をぱちくりとしていると、ピンク色のマリライクスのナイトウェアを着ているミカエルが、まだ眠そうに伸びをして起き上がった。袖口には黒い猫が蝶を追いかけている刺繍が施してあった。
「シャーロット、その手の怪我と、足の怪我は何?」
「足の怪我?」
見えないように隠しているよね? ベージュのナイトウェアを着ている自分の体を抱き締めた。まさか寝ている間に何かしたの?
「昨日、寝ようとしてベッドに入った時、うっかりシャーロットの足に触れたら『痛いっ』って寝言で言ったんだ。よく見たら手も血が滲んでいた。だから勝手に包帯もガーゼも使わせてもらった。」
ミカエルはシャーロットの顔をじっと見ていた。
「昨日そんな話は一度も言わなかったよね、シャーロット。僕に言えないようなことでした怪我なんでしょ?」
「…こけただけよ。」
油断してたから踏ん張れなかっただけだわ。
「うっかりこけてたら話してくれたでしょ?」
話したくないなあ…。シャーロットが黙っていると、ミカエルはシャーロットの頬を撫でながら囁いた。
「言わないなら、このままキスするけど?」
ベッドに一緒にいる時にキスするとか、ダメな気がするわ。
「…着替えてから話す。」
ミカエルは先にベッドから出て、さっさと着替え始めた。シャーロットもベッドから這い出ると、しぶしぶ着替え始めた。
こうやって結局話すことになるんだなーと心の中で、呟いた。
話し終え一緒に学食に朝食を食べに行った後も、ミカエルは黙ったまま、何かを考えこんでいる様子だった。
シャーロットはそれならそれでいいわと思った。昨日のことを追及されても暗くて人相はよく判らなかった。黙ったまま学校へ行くために支度して着替えていると、先に支度し終えたミチルなミカエルが、椅子に座って話始めた。
「以前、ゲームの中でシャーロットがローズをいじめるって話はしたよね?」
「ええ、聞いたわ。罵ったり突き落としたりするんでしょう?」
シャーロットは靴下を履きながら、これじゃ足の包帯が見えちゃうわね、と、タイツに履き替えることにした。黒いタイツは一応校則で禁止されてはいない。
「そう。シャーロットは今、ローズに何もしてないよね?」
「触れてもいないし、話もしていないわ。」
昨日エリックと一緒にいた時、睨まれたりはしたけどね。
「ゲームの中でローズは確かに君に突き飛ばされて怪我をする。でも、今、ローズは怪我をしていない。ローズがリュートを怪我をさせているよね。今回シャーロットも怪我をしたし…、」
ミカエルは迷っているような表情になった。シャーロットはタイツを履くためにミカエルに背を向けた。
「もしかして、ローズが受ける怪我を、周りの誰かが代わりに貰ってるのかな。シャーロットが悪役令嬢にならずにいる不具合を修正するために、そうやってゲームのバランスを取っていくのかな。」
ゲームの進行上ケガをする人が必要で、それはローズじゃなくてもいいってことなのかしら。シャーロットは首を傾げた。それじゃあこの先も、怪我を誰かが分散して貰い続けるってことなんじゃないのかしら。
「私、昨日、誰も傍にゲームの攻略対象者はいなかったわよ? ローズの場合だと、その都度誰かが助けてくれるんでしょう?」
タイツを履き終えたシャーロットは、黙っているミカエルの傍に自分の椅子を持って来て座った。
ミカエルと見つめると、手の擦り傷を見せて微笑んだ。ガーゼも包帯も顔を洗う時に取ったままで、赤い線のような擦り傷が両手の平に走っていた。
「こんなの、たいした怪我じゃないわ。転んだって言えばいい怪我じゃないのかな。暗がりの中、突き飛ばされたのは怖かったけど、たいしたことないわ。」
「シャーロット、それはやっぱり暴力って言うんだよ? 君が王太子の婚約者だって知ってて振るった暴力だったら、それは王族に対する暴力と同じなんだよ?」
ミカエルの顔は真剣だった。シャーロットは視線を逸らしてしまった。
そんなこと、言われなくたって知ってる。やった者が特定されたらその者達が罰を受けるのも知ってる。でも、目撃した者がいない以上、シャーロットが勝手に転んだと言われたらおしまいだ。
黙ってしまったシャーロットの頬を撫でて、ミカエルはシャーロットの手を取り傷口に優しく軟膏を塗ると、ガーゼを当てて包帯を巻いた。掌の半分ほどを覆う包帯は、ちょっと生活するのには不便だ。
「今日一日だけでもそうしていて、シャーロット。君が怪我をした現実を知れば、やってしまった行為の重大さを、その者達は知るだろう。」
「どうしても?」
エリックが怒り出す方がシャーロットには厄介に思えた。煩い弟が暴走する方がシャーロットにとっては面倒だった。
「どうしても。」
ミチルなミカエルはシャーロットの白いコートを肩にかけると、カバンを持ってくれた。
「そのコートも、今日はやめておく?」
「ううん、これでいい。」
そこまで気にすると自分が負けてしまいそうで嫌だった。彼女達に負けてしまって、ミカエルの婚約者を辞退するのは、シャーロットは嫌だった。
一緒に学校に行くと、案の定、教室に先にいたガブリエルが包帯を巻いた手に気がついて顔色を変えた。
「シャーロット、どうしましたの?」
微笑むだけで何も言わないシャーロットに代わって、ミチルなミカエルはそっと小声でガブリエルに説明していた。ガブリエルの顔色がどんどん赤く変わっていく。
シャーロットを赤い顔で見て、ガブリエルは手を握って肩を震わせた。何も言わないで、とシャーロットは微笑みながらふるふると首を振った。それでも、ガブリエルは押し殺したように言った。
「そういうのは、卑怯だと思いますわ、」
卑怯だろうと何だろうと、その者達にはシャーロットがミカエルと結婚すると不都合な何かがあるんだろう。そう思うと、シャーロットには何も言えなかった。これまで何もなかった方が不思議だと思えてきていた。
「ちょっと、ラファエルのところへ行ってきます。授業までには戻ります。」
ぺこりと頭を下げて、ガブリエルは教室を出て行った。
「行っちゃったわ。ガブリエルには言わなくてもよかったのに。」
シャーロットがミカエルにそう言うと、ミカエルは細い目をしてシャーロットを見た。
「ガブリエルは今でも、サニーとシャーロットが結婚してくれてもいいと思ってるよ。でも、卑怯なことは許せないんだ。あの子はそういう子だからね。それとこれとは別の問題だって、ちゃんとわかってるよ?」
授業が始まると、ガブリエルは教室に戻ってきた。少し晴れた顔つきになっていた。
ちょっと後が怖いなと、シャーロットはこっそり思った。
シャーロットの手の怪我を見たリュートは何も言わなかった。ただ、小さく頷いて、シャーロットの頬を撫でた。
エリックは一言、「どうせこけたんだろう、」とにやりと笑った。
ブルーノはシャーロットの体を制服の上から触って確認して、足の怪我を見つけると、頭を撫でて、「我慢していい子だね、」と微笑んだ。
サニーは心配そうに手を撫でて、「何かあったんですか?」と尋ねた。
4人に対して、シャーロットは何も言わなかった。ミカエルと結婚することに反対な彼女達の話をして、この4人がどういう反応をするのかは見て見たかったけれど、その話をする事自体が嫌だった。
学食でお昼ご飯を食べていても、学校の帰り道も、誰かの視線を感じた。シャーロットは猫を被って微笑んでやり過ごした。
王子様なミカエルと一緒にいる時に感じる視線とは違う。そう思った。
シャワーを終え部屋の中に戻ると、ミカエルが包帯とガーゼを持って待っていた。
「足、見せて?」
シャーロットは大人しく椅子に座って、ナイトウェアを捲って傷口を見せた。じくじくと滲んでいた。
「大丈夫。自分でやれるから。たいしたことないから。」
ふるふると首を振って、ミカエルは言った。
「たいしたことあるよ。僕の大事なシャーロットの体だもん。こんな風にされるのは嫌だ。」
ちょっと嬉しいな。不謹慎と判っていても、シャーロットはつい微笑んでしまった。好きな人に大事にされるのは嬉しい。
ミカエルは丁寧に軟膏を塗ってガーゼを当てると、優しく包帯を巻いた。しゃがんだまま、シャーロットを見上げて、ナイトウェアも直してくれた。
「エリック達には言わなかったんだね。どうして?」
「言っても仕方ない、でしょう?」
シャーロットは微笑みながら答えた。
「犯人を探し出して、どうするの? 怪我が治る訳でもないし、目撃した人がいる訳でもない。私が勝手に転んだだけって言われたらおしまいだし。それに、」
「それに?」
「同じようなことが起こったら婚約破棄を国王陛下がするって、リュートは知ってるわ。エリックはシュトルクかブルーノと結婚してほしがってるからいい口実になるわ。サニーは私が怖じ気付いて婚約破棄を願い出ることを願うだろうし、ブルーノは後先考えずに報復すると思うの。」
ミカエルは顔を伏せて、椅子に座った。
「そうだね、みんなシャーロットが僕に婚約破棄されることを願ってるからね。違う意味で一致団結しそうだね。」
「ミカエルは言って欲しかった?」
「言っても言わなくても、シャーロットが決めたことだから。その後のことはその後考えようって思ってた。」
「ガブリエルは…、なんか言ってた?」
「ああ、ラファエルと話したみたいだね。ラファエルが口元に黒子2個ある女子生徒を割り出すって言ってたみたいだね。ラファエルは独自の情報網を持ってるから。」
「王族ってみんなそういうものを持ってるの?」
「向こうから売り込んでくるって以前にも説明したでしょ? そういう感じで使ってる人達だから、気にしなくていいよ?」
使ってるって言えちゃう辺りが凄いよね、とシャーロットは思った。エリックもそのうち情報は得そうだなと思った。ただ、暗がりの中での出来事で、目撃者がいたのかどうかすら怪しい中で情報が集まるのかはわからない。
「ミカエルは、今回のこと、誰か見当はついてたりする? 私が結婚して王妃になったら困る人って、誰なんだろう。」
うーん、とミカエルは唸って考え込んでしまった。
「ミカエルに関係はないの?」
「ないと思うなあ。」
「それはどうして?」
ミカエルと関係ない人がミカエルと結婚するなって言うのかな。関係のない人が怪我までさせて妨害するなんて、理由がわからない。
躊躇うような表情のミカエルと見つめていると、根負けしたのか、ミカエルは話してくれた。
「この前のクリスマスで婚約者候補にあがったクララ嬢は、僕じゃない人と結婚するってゲームではあったから、違うと思う。僕がゲームの中のバッドエンドで結婚する人はまだ入学してきていないよ。」
「え、そうなの?」
「そう、だから、君に教える必要もないし、君が気にする必要もないんだよ? その人とどうこうなる前に、君と結婚してしまえばいいんだから。」
ミカエルはそう言うと優しく微笑んだ。
「あとは…、ああ、そうか、ノーマルエンドの女性がいたのか。」
まだそんな可能性があるのか…。シャーロットは知っている人じゃありませんように、と思った。
「そっちはありえないから、気にしなくていいと思うんだけどなあ。」
「どうして?」
「もう断ったから。」
ん?
「シャーロットも見てたでしょ?」
見てた? 断った?
「リルル・エカテリーナ王女。」
えー? エリックじゃないの? 読みが外れて驚いたシャーロットは、心の底から残念と思った。割とあの人、好きだったんだけどなあ。あ、だから断り方を知ってたんだ…。
「そうなると、僕、関係ないと思うんだよね。」
「そっか…。」
誰かが何かを考えて、シャーロット達の結婚の邪魔をしようとしているのだけは判った。
「ますますわからなくなっちゃったね、」肩を竦めて、ミカエルは微笑んだ。「じゃあ、一緒に寝ようか、シャーロット。」
うん、と言いかけてシャーロットは首を振った。いかんいかん、流されてはいかん…。
「寝ない寝ない、一緒に寝ないわ。」
シャーロットはミカエルを入らせないように自分のベッドに入った。上段のベッドにミカエルが梯子を使って登っていくのを確認すると、瞳を閉じた。
暗闇の中で誰かに突き飛ばされる夢を見た。誰かは笑って、両手が血だらけのシャーロットに言った。お前が諦めるまで、何度だって突き飛ばしてやるから。低くて耳障りな声は暗闇の中に響いた。
ありがとうございました