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<109>悪役令嬢はヒロインがわからないようです

 寮の自分の部屋に戻ったシャーロットを、ミカエルはミチルとして待ってくれていた。ピンクのニットのセーターに、灰色の毛織のキュロットを履いてピンクと灰色の縞々のニーハイソックスを履いている。

「おっそーい。」

「ごめん、いろいろあったの。」

 トランクを床に置くと、シャーロットはコートを脱いでお気に入りのざっくりとしたベージュのニットワンピースに着替えようとすると、ミカエルが、「ちょっと待って、」と言った。

「そのワンピース、可愛い。もう一回白いコート着て、このピンクのクマリュック背負ってみて。」

 シャーロットが言われた通りにコートを着直しクマリュックを背負うと、ミカエルはコートの前のボタンを開けて、水色のワンピースが見えるように開いた。学校に帰るために着替えた服で、袖口や裾に青いレースと紫色のレースが重ねてあり、母好みの膝下丈だった。

「ちょっとシャーロット、恐ろしくかわいい。綺麗すぎる。その格好で今度デートして。」

「え。デートってミチルと?」

「ミカエルと。来週の土曜、ちょうど土曜市じゃん。一緒にからくり屋敷見に行こうよ?」

「えー?」

 前回のからくり屋敷に行った際にななしやに寄ったことを思い出して、シャーロットは嬉しいけど素直に喜べない自分がいて戸惑った。お昼はななしやって言われたらどうしよう。今はローズに会いたい気分じゃなかった。

「お昼はどこで食べるの?」

「どこか探そうよ。ななしや以外で。」

 ミカエルはシャーロットの心の中の迷いを見透かしたように言った。

「なら行く。」

「じゃ、決まりね。」

「もう着替えてもいい?」

 シャーロットがクマリュックを下ろして白いコートを脱ぎながら尋ねると、ミカエルはぶーたれた。

「もうちょっとだけ。その恰好で夕ご飯食べに行こうよ?」

「学食だし、いつもの格好でいいじゃん。」

「わかってないなあ、シャーロットは。」

 何がなんだかよく判んないわ。シャーロットは思った。どんな格好だって私なのにね。

「じゃあ、学食行って帰ってきたら、着替えてもいい?」

「やったー!」

 喜ぶミカエルの顔が可愛くて、シャーロットはやっと日常に帰って来たんだわと思った。


 学食から戻ったシャーロットはさっそくシャワーを浴びて、モフモフのピンクのナイトウェアに着替えた。もう疲れたから寝る、と言いたかったけれど、そうならないだろうことは経験から知っている。

 椅子に座って教科書を広げて予習していると、シャワーを済ませたミカエルが髪を乾かしながら出てきた。ミカエルが着ている水色のナイトウェアの両袖口には、白い蝶が飛び交う様子が刺繍で描かれている。

「あら、もしかしてマリライクスの新製品?」

「そう。水色とピンク色とベージュ色と作ったんだけど、水色ばかり売れるの。不思議だよね、」

「同じ蝶の刺繍なの?」

「刺繍は全部同じにしてみた。」

 シャーロットはピンクに白い蝶は上品すぎるわと思った。可愛いのが私なら欲しい。

「ピンク色だけ、刺繍は変えたら? 蝶じゃなくて猫とか。黒とか茶色の刺繍で。」

「あ、それ可愛いね。今度そうしてみてって提案して作らせてみよう。ベージュはどうしたらいいと思う?」

「思い切って、ベージュはリボンとか。水色のリボンとか、可愛いんじゃない?」

「青い姫君にちなんで青いリボンにしてみよう。案外売れるかもね。」

 もうその話はやめようよ…。シャーロットは青い姫君は自分ではないと思いはじめる。他人と思わないと、付き合いきれない。

 早速ミカエルは自分の机に座って、手紙を書き始めた。シャーロットは余計なこと言っちゃったなと思いながら終わるのを待った。話をするタイミングがどんどんわからなくなっていく気がした。

「明日ハウスキーパーに渡しておいてって頼んでみよう。明日の朝、学校へ行く前に僕の部屋に寄ってっていい?」

「ええ、忘れずにそうしてね。」

 シャーロットは自分は覚えていても言わないつもりで、ミカエルの背中にそう答えた。

「ところで、用事って何だったの? 公爵はなんか言ってた?」

 ミカエルはシャーロットに背を向けたまま、尋ねた。

「お父さまは特に何も。用事は、用事だったわ。」

 チョコレート専門店の用事とか、シュトルクの用事とか、シュトルクの用事の続きとか。

「楽しい用事?」

「どうなんだろう。」

 半分は楽しくて、半分は義務だったわ。シャーロットはそう思った。シュトルクは今回国賓で来国しているのだろうと思った。調印式の調整の為に来たということは、シャーロットとの食事は半分は国としての接待だろう。護衛に近衛の騎士が付くのだから、宿泊先はお城だろう。もう半分は、公爵家としての接待だろうと思った。父や母のあの対応やエリックの反応を考えると、公爵家が一枚噛んだ話だろうと思う。

「ミカエルはお勉強、進んだ?」

「うん。一人はつまんないね。お昼ご飯とか、ガブリエルとラファエルと食べたよ。シャーロットは何を食べたの?」

 誰とって聞かれないだけましか…。

「お肉?」

 手づかみで鳥の骨付き肉を食べたって言いにくいなあ…。

「ふうん。」

 ミカエルはシャーロットと向き合って座り直した。ミカエルは微笑んでいる。

「いろいろ聞きたいことがあるんだけど、いいかな? シャーロット。」

 やっぱりそういう展開なのね…。シャーロットは項垂れてミカエルと向き合った。


「ふうん。」

 二日間のシャーロットの出来事で、ミカエルに話せることと言ったら、チョコレートのことを隠そうとするとシュトルクの話しかなかった。シュトルクに何をされたのかを話さずに、何を話したのかだけを話した。それでも、内容はあまりミカエルに伝えたい話題ではなかった。

 我ながら情けないなとシャーロットは思いながら、不機嫌そうなミカエルを見つめた。

「あんな遠くの東方の国との友好的な国交なんて、勝手にすりゃいいのにね。」

 ミカエルは口を尖らせた。「国と国との懸け橋って言ったって、大人が勝手に橋でもなんでも架ければいいんだから、シャーロットは関係ないじゃん。僕の婚約者なんだから。」

 そうはいってもねえ…、シャーロットは肩を竦めた。向こうは虫除けの婚約だと解釈している以上、何を言っても説得力がない。しかも公爵家が絡んでいる。そうなると娘のシャーロットにも当然仕事は回ってくる。

「ミカエルが一番好きなんだけどねえ。」

「あ、そうなんだ。なら許す。」

 へへっと笑ったミカエルが可愛くて、シャーロットはキュンキュンしてしまう。私って単純。自然と微笑まずにはいられなかった。


 月曜日の朝、ミチルなミカエルは忘れず学校へ行く前にミカエルの部屋に寄った。寮を出ると、シャーロットはミカエルと手を繋いで学校へと歩き出した。

 前の方を歩くリュートの傍には、トミーとマリエッタが並んで歩いていた。マリエッタとお揃いの白いマフラーをしたトミーがリュートのカバンを持っているのが見えた。

「ローズがいないね。」

 ミカエルが囁いた。頷いたシャーロットは、辺りをそっと見渡した。黒いだぼだぼのコートの女子学生など、どこにも歩いていなかった。そっと自分の首に巻いたピンク色のマフラーを撫でた。ローズがくれたマフラーは、あれからずっと、使えないでいた。

「そうね、何もないなら、いいんじゃないかな。」

 シャーロットは先週の金曜日の騒ぎを思い出して、心の中で溜め息をついた。


 教室に行くと、ガブリエルが待っていた。

「おはよう、」と挨拶をすると、ガブリエルは「おはよう」と言ってから、にやりと笑った。

「あの女は週末、修道院で過ごしたようですのよ?」

「は? はい?」

 シャーロットはびっくりしすぎて声が掠れてしまった。

「なんでも、金曜の朝の一件が職員の間で問題になって、理事長が王都の修道院へ話をしたようですの。しばらく週末は修道院でいろいろご指導いただくみたいですわ。」

 ガブリエルはふふんと鼻で笑った。

「基本的な常識から、貴族の在り方まで学ぶようですのよ? 金曜日の時点で、男爵家にもお叱りのお話が、理事長からも修道院からも行ったみたいですの。」

「相変わらずガブリエルは詳しいなあ。誰に聞くの、そんな話。」

 ミカエルが小さい声で尋ねた。「もしかして理事長?」

「もちろん、ハウスキーパーでお城からやってくる者達からですわ。」

 お城にはそういう話が情報として伝わるのね、とシャーロットは意外に思った。

 得意そうなガブリエルは、シャーロットに微笑んで言った。

「今日も宰相の息子のお世話をするのでしょう? ミチルのことは私が面倒を見ておきますから、シャーロットは安心してお世話に行ってらしてね?」

 ミカエルはぶーたれながら、シャーロットに言った。

「お昼休みは一緒にご飯にしょうね、シャーロット。今日こそは絶対だからね?」

 しっかり頷くと、シャーロットはリュートの隣の席へと向かった。


 リュートは「おはよう」と微笑むと、シャーロットを傍に座らせて、大きな骨太の手で包み込むように手を握った。

「今朝から、登下校時の荷物は騎士コースの友人達が順番に持ってくれることになった。この前のような迷惑をかけることはもうないと思う。悪かったね。」

 シャーロットは怪我をしているのに周りに気を使わなくてはいけないリュートが、気の毒に思えてきた。

「私は大丈夫だから気にしないで? リュートは週末、大丈夫だったの?」

「ああ、家に帰っていたからね。身の回りのことは母や妹達がやってくれたよ。」

「ローズのことは…、聞いた?」

 シャーロットは言葉を区切った。エリックとブルーノが、「おはよう」と言いながらシャーロット達の前の席に座った。

「何の話?」

 ブルーノは嬉しそうにシャーロットに微笑んだ。

「楽しくない話、だろ?」

 エリックがにやりと笑った。

「あの女はいろいろ学んだみたいだな。まあ、対応が遅すぎる気がしなくもないけどな。」

 サニーもシャーロットの隣の席にやって来た。

「おはようございます。リュートの怪我は大丈夫ですか?」

「だいぶ痛みにも慣れてきたよ。」

「ローズは今日は見かけませんね。」

「そういえばそうだな。」

 エリックはそう言って、教室の中をぐるりと見渡した。

「授業が始まってから来るの。まだ来ないわ。」

 シャーロットが俯いて呟くと、リュートが頭を撫でた。

「君はあんな目にあっても、フリッツの心配をするんだな。」

 授業開始のチャイムが鳴って、講師が来てから教室を振り返って探すと、奥の方の席にローズの姿を見つけた。

 ローズはシャーロットの視線に気がつくと、プイっと顔を背けた。

 その態度があからさまで、シャーロットはローズってあんな子供っぽいことをする子だったかしらと違和感を覚えた。ロータスだった頃はもっと余裕があったように思えた。それだけ心にゆとりがないのかもしれない。

 授業のノートを取りながら、リュートをちらりと見上げた。ローズを見つけたわ、というつもりだった。シャーロットの視線に気がつくと、リュートは微笑んで小さく頷いた。


 今週は火曜、木曜と、ミカエルはミカエルとして2年生の教室に行っていた。木曜の放課後、シャーロットは教室でミカエルと待ち合わせをしていた。ガブリエルは図書館に用事があると言って先に帰ってしまった。教科書を読んで復習していると、珍しいことに、ローズがシャーロットに近付いてきた。

「姫様、ちょっとよろしいですか?」

 よろしくなくてもよろしいかと聞かれたら、はいと言うしかないんだろうな、とシャーロットは思った。教室には出入り口付近に何人かの男子生徒が残っているだけで、周りには知っている人が誰もいなかった。あんまり二人きりで話したくないな~。

 猫を被って小さく頷くと、椅子に座ったままのシャーロットはローズを見た。

「この前はごめんなさい。私の言ったことは忘れてください。」

「そうね、そうするわ。」

 そう願われているのだからそうするしかないのだろう。それでも覚えているだろうけどね、とシャーロットは思った。

「姫様の言うことなら、王太子殿下はなんでも言うことを聞いてくれるんだと、私は勝手に思い込んでいました。」

 ? 

 シャーロットは目をぱちくりさせて、ローズを見た。ローズはへへへへっと照れくさそうに笑った。

「…どうしてそう思うの?」

「だって、好きな人の頼みなら何でも聞いてあげたくなるでしょう?」

「あなたの言っている言葉の意味がよく判らないわ、ローズ。」

 好きな人の頼みでも、本を盗み出せなんて唆すような、犯罪はよくないだろう。

「あれぐらいのことなら大丈夫だって思ったんです。王族って、なんでもやっていいんでしょう?」

「それは今も、本気で言ってるの?」

 ローズは今までそんな風にミカエルのことを見ていたんだろうか。シャーロットは頭痛を覚えた。

「違うんですか? 王様って、好き勝手なことをするのが王様でしょう? 本の一冊や二冊、本だらけの図書館から消えたって庶民の誰も影響ないでしょう。」

「そういう問題なの?」

「そういう問題でしょう? 好きな人が盗ってきてっ言ったら、普通の人はダメでも、王様なら何やったって問題ないんだから、持ってきたらいいでしょう? 王様のためにみんな我慢してるんですから。」

 シャーロットは自分の知ってるミカエルのお父さんはそんな人じゃないって知っているだけに、ローズが言っている王様が誰のことなのかわからなくなってきていた。

「な、何を我慢しているの?」

「王様が決めたんでしょ? お城の図書館の本は王族以外は持ち出し禁止って、おかしくないですか? 横暴だと私は思いますよ。貴族じゃなければお城にも入れないし、図書館だって利用できないじゃないですか。」

 シャーロットは首を傾げた。お城に庶民が本を借りに行く理由がよく判らない。お城にある本はお城に必要だからある本だとシャーロットは思った。お城の本の持ち主は王族なんだとしたら、持ち主が決めたことを守るのが筋じゃないかな。

「それは当たり前のことじゃないの?」

「姫様はおかしいと思いませんか? 貴族って閲覧だけしかできないんですよ?」

 ローズは本気でそう思っているのか、顔は真剣そのものだった。

「閲覧させて貰えたら十分じゃないのかな。お城にしたって、ここの図書館にしたって、王様だろうとなかろうと、決まりがあるのなら決まりを守った方がいいと思う。違うのかしら。」

「姫様って案外頭、固いんですね。貴族だからですか? 」

 言っている意味がわからなかった。頭の中に「?」マークばかり浮かんでくる。シャーロットは目の前のローズが理解できなくなってきていた。

「あのね、今の話を、他の誰かに話した?」

「いいえ?」

「ななしやでもいいから、誰かにその話と同じことを聞いてみて? 私が頭が固くてもなんでもいいけど、必ず、同じ話をおばちゃんかエルメにするのよ?」

「はあ、しばらくななしやには帰らないので会えないんですが…。」

 ローズは肩を竦めた。

「土日は?」

「修道院に行くんです。お話を聞きに。」

「じゃあ、そこで、会った人に、その話を必ずして。それで、公爵家の娘はローズの話を理解できなかったって言って、その話をしてみてほしいの。判った?」

「姫様の頼みなら仕方ないですね。聞いてあげましょう。」

 聞いてあげましょう? シャーロットはローズは本当に修道院で貴族の在り方のお話を聞いてきているのか、見当がつかなくなった。聞いて理解していれば、冗談でも上級貴族の娘のシャーロットに対して、聞いてあげましょうなどと言えないと思った。

「では、姫様、御機嫌よう。」

 ローズははにかんだように笑ってお辞儀をすると、教室を出て行った。

 溜め息をついて窓を見上げたシャーロットに、慌てて教室に入ってきたエリックとブルーノが近付いてきた。

「今の、ローズ?」

「あら、あなた達、もう帰ったんじゃなかったの?」

「あの女が教室に引き返していくのが見えたから、気になって引き返してきた。」

 その勘は当たりよ、エリック、とシャーロットは心の中で弟を誉めた。

「何を言われたのか教えろ、お姉さま。」

 教えてくださいだよね? と思うけど、エリックなら許せるのが不思議だ。シャーロットはうんざりしながらローズとのやり取りを丁寧に答えた。

「私は理解できなかったわ。だから、何も言えなくなってしまったの。」

 エリックとブルーノは不快そうに顔を顰めた。

「あの女は、修道院でお説教を聞いているんじゃなかったのか?」

「何も効果がないようだね、シャーロット、よく耐えたね。」

 ブルーノはシャーロットの頭を抱きしめた。

「私、どこから何を話せばいいのかわからなくなってしまって。ローズは何もわかってないみたいだったから、騙すようなことになるとは思ったけど。ああ言えば、誰かに聞く前に自分で気が付くかなって思ったの…。」

「それは騙すとは言わないと思うぞ、お姉さま。修道院の手慣れた者達に説明をお任せしたって言うんだ。あの女が自分で気がつくとは思えないが、な。そういう温情をかけてやる必要もないと思うぞ。」

 ブルーノはシャーロットの頭を撫でて微笑んだ。

「今度また、気分転換に出かける? シャーロット。」

「いい。ありがとう。ブルーノの気持ちだけで嬉しいわ。」

「それにしても、好きな人の頼みなら犯罪をって。ローズはどこからそんな考えを学ぶんだ? そんな判断も出来ないような奴が王様になったら、この国は滅びるよな。」

 エリックは呆れたように言った。「明日のお昼はリュートとサニーと5人で会議だな。」

 私もその5人のうちの一人なのかしら。シャーロットは首を傾げた。

「もちろんお姉さまも参加だからな。今の話をもう一回するんだぞ?」

 シャーロットはうんざりして項垂れた。同じ話をミカエルにもするんだよ、きっと…。

「エリックがしてくれて構わないわ…。何なら私はその会議に出なくてもいい…。」

「会議には出ろ、説明はしてやる。いいか? お姉さま。」

 弟は相変わらず煩くて面倒臭い…。

「じゃ、リチャードが待ってるし、行こうか、ブルーノ。」

 エリックまでリチャードと走っているのね。シャーロットはみんな元気だなーと思った。サニーも体を鍛えているって言ってた気がする。

「じゃあね、シャーロット、気を付けて帰るんだよ?」

 ブルーノとエリックは荷物を持つと急いで教室を出て行った。

 窓の外の空を見上げながら教科書を眺めていると、ミカエルがやっと来た。

「ごめんね。シャーロット。待ちくたびれたでしょ?」

 こくんとシャーロットは頷いた。いろんなことが起こったから疲れたわ。

「待ってる間に何かあった?」

「沢山あった。しかも明日のお昼はエリックと食べることになった。」

 ぶーたれたミカエルはそれでも察した表情になると、シャーロットの手を握って、上目遣いに、「大丈夫だった?」と尋ねた。

ありがとうございました

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