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<107>まるで国のために愛を囁いているようです

 メイド達が料理をテーブルの上に並べ終え、部屋から出て行ってしまうと、シュトルクはシャーロットの傍に椅子を持って来て、膝と膝がくっつきあうような近さで向かい合って座った。

「君は嫌いな食べ物は?」

 そんなものあったって教えるもんですか。シャーロットはそう思っていても、猫を被って黙って微笑んだ。

「私達のような身分の者は、そうそう好き嫌いなど口にしないのが当たり前か。愚かな質問だったね。」

 シュトルクは微笑むと、小さなグラスをシャーロットに持たせる。自分も同じものを手に取ると、「乾杯」と言って呷った。

 これ、飲むの嫌だなーと思っていると、「飲まないなら飲ませてあげようか?」と言われてしまう。

 仕方なくシャーロットもグラスを空けた。思った通り、食前酒(アペリチフ)だった。

 毎度飲まされちゃってる気がするのよね…とシャーロットは思った。シュトルクはデキャンタからワイングラスに赤ワインを自分で注ぐと、飲み始めた。この人、お酒飲まないってこの前言ってなかったっけ? シャーロットが見つめていると、シュトルクは「欲しい?」と聞いてきた。

「いらないですわ。」

 シャーロットが答えると、赤ワインを口に含んで、無理やりシャーロットを抱き寄せた。

「な、何をする気ですの?」

 全力で抵抗しようとするシャーロットに覆いかぶさると、シュトルクは口移しにワインを飲ませた。動くと赤ワインが零れてしまう。ドレスが汚れると、何があったのか知られてしまう…! シャーロットは身動きできないまま、ゆっくりと流れてくるワインを飲み込んだ。

 抱き締められシュトルクの腕の中で、自分は酔いが回り始めているのだとシャーロットは自覚していた。ブルーノにお酒の癖を言ってる場合じゃなかった。自分のお酒の弱さをもっと警戒すればいけなかった。そんな事を考えながら、瞳を閉じていた。

「シャーロット?」

 甘い声が聞こえる。瞳を開けると、いつの間にか膝の上に座らされ優しく抱き寄せられている。シュトルクの腕の中でシダーとミントが混ざったような香りを感じて、シャーロットはそわそわしてしまう。

「何か欲しいものは、あるか? 宝石でも何でも、君が望めばいくらでも用意しよう。」

「そんなものはいりませんわ。」

 うっかり異国の人にものを貰うと意味が隠されていると、シャーロットは学んできている。

「私に出来ない事などない。望みを叶えてあげたいんだ。」

「いりません。お気持ちだけ貰っておきますわ。」 

 優しく頬を撫でて、シュトルクは囁いた。

「君が、ますます愛おしい。君が欲しい、シャーロット。」

 水色の瞳を見つめると、シャーロットは上目遣いにおねだりした。

「ねえ、喉が渇きましたの。お水が飲みたいのです。」

 綺麗な顔のシュトルクは甘く優しい眼差しで、シャーロットを見つめていた。

「水なんかでいいのか? 何が食べたい? 言ってごらん?」

 優しく微笑まれると、綺麗な顔だな…とシャーロットはうっとりと見つめた。いかんいかん…私はまた酔い始めているぞ…。

「私は、お水が飲みたいの。」

 酔いが回らないように少しでも水分を取らなくては…。手を伸ばして、水のグラスを手に取ろうとするシャーロットに、シュトルクはグラスを取り上げて水を口に含むと、口移しで水を飲ませようとした。

「これ以上キスするなら、大声で叫ぶわ。帰るし、もうあなたには会わない。」

 水を飲み込んで、シュトルクは水の入った別のコップをシャ-ロットに渡した。

 抱きしめられたまま、シャーロットは零れないように水を飲んだ。この人、何を考えているのか判んないわ。上目遣いにシュトルクを見つめて、シャーロットは考えていた。何を急いでいるのかしら。出会って数回で結婚を決めるとか、私にはよく判んないわ。

 空になったグラスをシャーロットから受け取ると、シュトルクは傍にあったフォークで、ローストビーフを刺してシャーロットの口に入れ、自分も同じものを食べた。

 シャーロットが食べる様子をじっと見ているシュトルクに、変なのと思いながら、シャーロットは尋ねた。

「ねえ、あなたはいつ、この国に来たの? 遠い東方の国って、ここから船で4日はかかるんじゃないの? 」

 シャーロットは、つい先週あった気がするんだけど、そんなにほいほい往復するもんなのかなーと思った。

「一昨日だよ? 船は直行すれば3日だ。君の公爵領の港に入港して、昨日こっちについた。今朝は王都を散策して、ここへ来た。君に会いにね?」

 シャーロットの口にパンをちぎって入れ、残りをシュトルクが食べてしまった。

「パンには私、バターが塗ってほしいわ。」

「覚えておこう、他には?」

「紅茶よりもコーヒーが好きよ?」

「ミルクは入れるのか? 砂糖は?」

「どっちも沢山。」

 くすくすと笑いながら、シャーロットは、あ、私、やっぱり酔ってると思った。

「私は砂糖もミルクも入れないな。それも、覚えておこう。」

 ガチョウのコンフィを器用に片手で取り分けるとフォークに刺して、シャーロットの口に入れる。零れそうになる肉を、シュトルクは指で押し込んだ。シャーロットはシュトルクの顔を眺めながら、他人事のように口を動かして食べていた。

「シャーロットは酒に弱いな。飲まないんじゃなくて、飲めないんだな。」

「あなたは知ってて、私を試したでしょう?」

 シャーロットが微笑むと、シュトルクも微笑んだ。

「君は魅力的だからね。そんなに容易く酔うくせに、頭の中はいろいろ考えているようだからな。」

「何も考えてないわ。ただ、食べにくいなら、私を離せばいいのに、って思っているだけよ?」

 シャーロットの腰を抱いているので片手が使えないシュトルクの顔を、シャーロットは両手で包み込んだ。シュトルクの水色の瞳は、シャーロットを優しく見つめている。

「私は一人で座れるわ? 放してくれていいのよ?」

「君と食事するのが楽しい。だからこれでいいんだ、シャーロット。」

 シュトルクはまたワイングラスを手に取った。飲み干すシュトルクの喉を、シャーロットは見つめていた。ちっとも顔が赤くならないわ。私に手掴みで食べさせたりもしない。言葉遣いも明瞭だし、この人はお酒が強いんだわ。あまり飲まないって言ったのは油断させるためね?

「あなたは何をしにこの国に来たの? お父さまが国王陛下も御存知だって言ってたわ。何を御存知なの?」

 シュトルクはシャーロットの顔を見ながらコンフィを食べている。あーん、と口を開けると、シャーロットの口にも入れてくれた。

「この国と、我が国は、この度正式に友好国として調印をする事になった。その正式な通達と、調印式の日取りを決めるためだよ?」

「へえ…、何の見返りがあるのかしら。私には何か得るものが見えてこないわ。」

「我が国の軍事技術の転用で得た、機械工業の技術の伝授と、技術者の派遣、だな。」

「私の国は、何を差し出すのかしら。」

「そうだな…、豊かな食料と洗練された文化と、知的で穏やかな女性、だろうか?」

「私はダメね。知的でも穏やかでもないわ。あなたも気がついているでしょう?」

 シャーロットが微笑むと、シュトルクはシャーロットを抱きしめて、耳元で囁いた。

「私の傍に来い、シャーロット。死ぬまで夢を見させてやる。ここでは味わえないことを、いくらでも味合わせてやる。」

「そういうのはいらないわ。」

 シャーロットはシュトルクの頬を撫でた。

「夢ならどこでも見れるわ。ここでも味わえない事なんて、どこに行ったって、沢山あるもの。」

 私はまだ、ミカエルを味わったことがないわ。シャーロットは近くにいても近くにいない婚約者を思った。ミチルとして傍にいても、つかみどころのないミカエルを、まだシャーロットは語りつくせる程、知らない。

「そういう君を、私は欲しいと思ってしまったんだ。」

「私を好きでもないくせに?」

「君が好きだよ、シャーロット。一目惚れを信じるかい?」

「どこの港でも、そうやって誰かを口説くの?」

「私にも好みがある。容易く流されてしまうような女はいらない。」

 シュトルクはうっとりとシャーロットの頬を撫でて、シャーロットを見つめた。優しく体を撫でるシュトルクは、シャーロットの巻き上げていた髪を解いてしまった。髪留めをテーブルに置くと、ゆらりと零れて流れた金髪を、シュトルクは愛おしそうに指で梳いた。優しく撫でてもらうと気持ちがいいのね、とシャーロットは身を任せる。

「シャーロット、」

「なあに?」

 シュトルクの胸に頭を預けて、シャーロットは瞳を閉じて抱かれていた。精悍なシュトルクの見かけよりも鍛えられた体は厚みがあって安定している。撫でられて気持ちいいし、暖かくて寝そうだなーと思いながらシャーロットは睡魔と戦っていた。いかんいかん。何か目が覚めるようなことを考えないと…。

「君は、ここにいるべきじゃない。」

「どこにいるのがいいと思うの?」

「私の腕の中だ。」

 ふふ。月並みな答えだわ。シャーロットは笑った。シュトルクの首を抱き寄せて、耳元で囁いた。

「誰の腕の中だって同じじゃないの? 私はどこにいたって私だもの。」

「そんなことを言うのは君ぐらいだろう。」

 シュトルクは微笑むと、片手でフォークを操り食事を再開する。

「シャーロットはもう食べないのか?」

 シュトルクの瞳を見つめて、シャーロットは首を傾げた。

「王子様、食べさせてくれる?」

「ああ、いいよ?」

 あーんと口を開けたシャーロットに、器用にフォークを操ってローストビーフを口に入れた。シュトルクは思い出したように言った。

「こっちでは、バレンタインをやるのか? 今度は、それぐらいに来れると思う。」

「バレンタインてなあに? みんな、私には教えてくれないの。」

 目を見開いたシャーロットの口の端についたソースを舐めて、シュトルクは微笑んだ。

「愛を囁き合う日だよ、シャーロット。男性が告白をして、女性が受け入れるんだ。君を、貰いに来るよ。」

「貰うの? 私を? 結婚もしないのに?」

 だんだん頭がしっかり働き始めた。流されてはいかんのだ…。

「結婚するんだよ? 私達は国と国とを結ぶ懸け橋になればいい。そうだろう?」

 んー、無理だな、それ。シャーロットは首を傾げた。

「あのね、それは無理。今の私は酔ってるだけだから、忘れて?」

「どうして?」

「酔ってる私は私じゃないの。大切なことは、お酒が入ってない時に聞きたいわ。」

 シュトルクの頬を撫でながら、シャーロットは上目遣いに答えた。

「あのね、あなたは嫌いじゃないわ? あなたは賢くて大人で、ズルいもの。私の身近にいない人だから、魅力的だと思う。でも。私、お酒の入ってない時のあなたを知らないもの。だから、無理。」

「食事していない場で、同じことを言えば、君は結婚してくれるのか? そうではないだろう?」

「そうね。私はもう婚約者がいるもの。明るい場所で、お互いに頭がはっきりしている状態で、お酒を飲んでいない時に、またお話しましょう? ね?」

 静かにシャーロットを見つめて、シュトルクは指でシャーロットの唇をなぞった。

「明るいところで、君は今のように私に話しかけてくれるのか? 私の目を見て微笑んでくれるのか?」

「あなた次第だと思うわ。」

 ミカエルはカルアミルクをうっかり飲んで酔った私を、悪戯しないで王族用の休憩室に隠してくれたわ。シャーロットはクッションを抱き締めて眠ったのを思い出す。酔わせてキスしようとするシュトルクとは、違うんだわ。そう思うと、ミカエルは優しいのだと、よく判る。

「町娘のような気取らない格好をした君と、明るい場所で改めて話がしたい。畏まった関係ではなく、普通に話もしたい。」

「あなたもタキシードじゃ嫌よ?」

 くすくすと笑うシャーロットは、自分の解けた髪を撫でて、ちょっと困ったなと思った。

「髪はその方が美しい君によく似合う。」

 シュトルクはシャーロットを見つめて、髪を撫でた。そのまま手は、シャーロットの身体をなぞるように撫でた。

 ああ、そうか。シャーロットは自分が着ているドレスの意味がわかった気がした。自分で着ることが出来なければ、脱ぐことも出来ないドレスは、私の身を守る為だったんだ。父も母も、私を守ってくれたんだ…。

 シャーロットはやんわりと手を押しとどめて、シュトルクの膝から降りると、ひとつ空けて隣の席に座り直した。

「シャーロット?」

「ここにいるわ。甘いものが食べたいの。あなたはまだ食事するのでしょう?」

 安心して一人で何かを食べたかった。食事を続けるシュトルクを眺めながら、シャーロットは微笑むとデザートの果物の盛り合わせを食べ始めた。

 リンゴのウサギを見つけて、フォークで差して頭から食べた。ミカエルなら、そんな酷いことをって言いそうだな、と思いながら、シャーロットは少し笑った。

 目の前にいるシュトルクは、大人だからそんなことを思ったりもしないんだろうな。そう思うと、急に、ここに自分が一人でいることが怖く思えてきた。


 食事を終えたシャーロットがお手洗いに席を立ち化粧を直して部屋に戻ろうとすると、部屋の中から話し声が聞こえた。すでに父と母が大使とともにシュトルクと話をしている様子だった。

 部屋に戻ったシャーロットを、母は目を見開いて観察していた。おかしいのは髪形だけで、あとは着崩れたと言える程度だわ。心の中でシャーロットは言い訳をする。メイド達にローブを着せてもらうと、シャーロットは意識して笑みを作った。

「今度この国に来るのは2月の中頃くらいだろう。またこういう機会を設けてほしい。」

 シュトルクは父と握手をしていた。大使とも、握手する。

「シャーロットは学生です。学校に通っています。時間を取れるとは限りません。日にちによってはお断りしますが、宜しいかな?」

 父は微笑んで、シャーロットに目配せして、再びシュトルクと握手した。

「今日はありがとうございました。貴重なお話を伺えて楽しかったです。では、失礼いたします。」

 にこやかに言うとシャーロットは母の傍に立ち、シュトルクと距離を置いた。前回のようにうっかり握手して頬にキスなんかぜーったいしない。心の中で呟いて、猫を被ってシュトルクに微笑んだ。

「では、失礼いたしますわ。」

 母を先頭に、シャーロットは礼をすると部屋を出た。父も後を追って歩いてくる。

 店の入り口まで戻ると、支配人夫婦が見送りに出迎えてくれていた。父と母に挨拶を済ませた支配人夫妻は、先に馬車寄せへと出てしまった両親の後に続いて店を出ようとしたシャーロットに話しかけてきた。

「今日はありがとうございました。またの来店をお待ちしております。青い姫君を間近に拝見できて光栄でした。」

 立ち止まってシャーロットは、また青い姫君とか言われちゃったよと思いながら微笑んだ。今日のドレスは青くないのに、それでも言われちゃうんだね。

「ヴァレントには旅行中仲良くしてもらいました。こちらこそありがとうございました。」

 シャーロットが微笑むと、夫人がシャーロットの顔を見て、驚いたように目を見張った。

「姫様、イヤリングを落とされたのではありませんか?」

「え…?」

 お手洗いで化粧直しに鏡を見た時には、両耳に青い花が咲いていた。ローブを羽織った時にでも落としたのだろうか。

「どうしましょう。お父さまとお母さまには、ちょっと待っていただくように伝えてもらえませんか? 中に取りに戻ります。」

「いえいえ、急いでお探ししてお持ちします。少しお待ちになって下さいませ。」

 支配人夫妻が慌ててメイド達を呼んで支持をしているところへ、シュトルクが颯爽と現れた。出入り口の明るい日差しに目を細め、シャーロットを見つけると、青い花のイヤリングが乗った手を差し伸べた。

「馬車寄せまで送ろう。忘れ物を持ってきた。」

 ゆっくりシャーロットに近付くと、シュトルクは優しくシャーロットの耳に青い花飾りのついたイヤリングを付けてくれた。シュトルクの指が、シャーロットの首筋をつつーっと撫でた。

「痛くないか?」

「ええ、ありがとうございます。」

 シャーロットは支配人夫妻に微笑み礼をすると、シュトルクのエスコートで外へ出た。

 馬車寄せに留められた馬車に乗り込む父の後ろ姿が見えた。吐く息が白い。空を見上げると灰色の雲が覆っていた。ああ、雪でも降るのかしら。シャーロットは横を歩くシュトルクを見上げた。

「あなたの国は、冬は寒いのですか?」

「ああ、こことあまり変わらないね。」

 雪も降るのかしら。

「一年中船の上にいる訳ではないのですね?」

「公務がたまにあるからね。したくなくても責務からは逃れられない。」

 馬車の前まで来ると、二人は立ち止まった。

「明日は会えないのか?」

「ええ。明日は学校へ帰ります。」

「昼食くらいは一緒に取れるだろう?」

「時間にもよります。午前中はお客様があるのです。」

「なら、昼食を誘いに君の屋敷まで行こう? ならいいだろう?」

「お父さまとお母さまがいいって仰ったら、ね?」

 シャーロットが微笑むと、シュトルクは静かにシャーロットの両手を握った。

「シャーロット、」

 頬にキスなんてしないわ。シャーロットは「またね、」と微笑みゆっくり手を引っ張って離れると、シュトルクに背を向け馬車に乗った。先に乗り込んでいた母達の向かいの席に座った。

 動き出した馬車の中から外に立って見送るシュトルクに手を振って、シャーロットは溜め息をついた。

「どうだったの? 今日はお酒は大丈夫だった?」

 母が心配そうに尋ねた。シャーロットは髪の毛を指差して、言った。

「この程度で済んだ、のかなと思います。髪は結い上げるより流した方が好きなんだって仰ってました。」

「まあ、王子様は我儘ね。」

 帰りの馬車の中で母に聞かれるままに、ぽつりぽつりとシャーロットはシュトルクと話したことを話した。母は、調印式の話をして、父も公爵として参列することを教えてくれた。国としてはハープシャー公爵の手柄として、友好的な技術交流を歓迎しているという話も聞いた。

 明日も会う話をすると、父は苦笑いした。

「エリックが不機嫌になりそうだな。3人でお出かけばかりズルいと言いそうだ。」

「ほんとね。いっそのこと、シャーロット、エリックを連れて行っておあげなさいな。」

「え、かなり嫌です。それなら出かけたくないわ。」

「まあ、考えましょう?」

 母はそう言って微笑んだ。馬車の窓には降り出した雪がいくつか当たって、消えた。

ありがとうございました

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