悪魔の選択なの
「すごいですね。どうして分かったんです?」
「別に。今日はすんなりトオルくんを見つけられたから、俺をここで待ってたんじゃねぇかと思っただけだ」
「うわ直感ですか……」
トオルくんは苦笑した。
やっぱり今回の神隠し、黒名蘭子が関わっていたみたいなの。忌々しい。
『京也くんはどこ?』
「わっ。びっくりした」
私としたことが、名乗る前にお話してしまたの。猛省なの。
『私、メリーさん』
「あぁ、あなたが噂の……」
『痛い目を見たくなければ、知っていることを洗いざらい吐くの』
「あれ!? 聞いてたよりも好戦的だ!?」
「悪いがあんまり余裕がないんだよ、俺もコイツも」
はよ話せ、と邦彦くんも援護してくれる。
この時だけは邦彦くんの荒っぽい性格が頼もしく感じた。
「確かにぼくは黒名先輩の協力者ですが、ぼくから情報を取ろうとしても無駄ですよ。ぼくが頼まれたのは、案内役だけですから」
だけどトオルくんは飄々とした態度を崩さない。気に食わないの。
「案内役だ?」
「順番に答えていきましょうか。京也くんと菜子さんの居場所ですが、ぼくにも分かりません。ですが、誰が連れて行ったかは分かりますよ。最近賑わせていたメールはもともと、学校の守り神へ供物を捧げるためのものでしたからね。逆さチャイムを聞いた人を強制的に異界に送る術式です。お二人もまた、メールを受け取ったのだと思います」
「……バカ野郎どもが。とっとと俺に転送しておきゃ良かったんだ」
この場にいない二人に邦彦くんは悪態をつく。
確かに京也くんは、あのおぞましいメールを受け取っていたの。「転送なんてしたら、送られた人が困っちゃうから」と誰にも送らずに破棄していたの。
「転送していてもしていなくても関係ありませんよ。言ったでしょう。供物を集めるためのメールだと」
「神様が何でそんなことをする。これまでそんなことしてこなかっただろう」
「力が必要になったからです。守り神を害しようとする、力ある人が現れたから」
「黒名先輩……!」
黒名蘭子が、守り神を排除しようとする動きを始めた。
だから守り神は力をつけようとした。
京也くんが、巻き込まれた。
「お二人を助ける方法は、とても簡単です」
トオルくんは私たちに突きつけた。
「屋上の守り神の祠を壊せばいい。供物が必要なくなれば、お二人はきっと帰ってきますよ」
甘美で冒涜的な、悪魔の選択肢を。
次回11月10日7:00に更新します。
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