打開策なの
結局、邦彦くんは門まで出てきてくれたの。
なぜか私の前に仁王立ちになる。いつも不機嫌そうだけど、いつもに増してピリピリしている。
それでも私の前でスマホに耳を当て、聞く姿勢をとってくれた。
「京也と晴海がいねぇ」
『知ってるの』
京也くんに学校から出るように警告したけど、一足遅かったの。
「何が起きている?」
『封印が解けたの』
「あ?」
『鬼はずっと足を探していたのよ。鬼をこの地に縛り付けるために地下に封じていたのに、アレが封印を解いた。鬼が動くわ』
「……そういうことかよ、チクショウ」
邦彦くんはガリガリと頭を掻きむしった。
苦々しそうな顔をして。
「俺をこっちに残したのは、先輩か」
どうやら邦彦くんだけこちら側にいるのは誰かの差し金らしい。
邦彦くんはすっと居住いを正して、私を見る。
「俺ぁ、どうしたらいい?」
『私、メリーさん。鬼がどうなろうと関係ないの』
名を持つ私は、鬼がいなくなっても何も問題はない。メリーさんという怪談はあまねく知れ渡っているの。
人の記憶に残り続ける限り、私は消えはしない。
『ただ、京也くんはあ ちらに引き込まれてしまった。返してもらうの。そのためには道が必要なの』
「道? ……あぁ、こっち側から引っ張る奴が必要ってことか?」
『私はあちらに近いからダメ。邦彦くんも、たぶんダメなの。あちらに馴染みすぎてる』
「……先輩もそんなこと言ってたな。怪異に慣れすぎてるとかなんとか。好きで慣れた訳じゃねぇんだが」
邦彦くんみたいに何でも見える人は珍しいの。珍しいからアヤカシたちの興味を引いてしまう。
「じゃあどうするんだ? 誰でもいいから俺を呼んだんじゃねぇんだろ」
御名答。
『適任が一人だけいるの』
「俺の知ってる奴か?」
『この地に縁が深くて、最近こちら側で存在感を増してきている人』
アヤカシは名を得ることでこちらの世に留まることができるようになる。
その名が広まれば広まるほど、こちらの世に馴染んでゆく。力は増し、そう簡単に消えることはなくなるの。
そうやって彼はうまく自分の存在感を強めていた。
『よくこの辺りでインタビューをしているの。まだ近くにいるはずなの』
次回11月6日7:00に投稿します。
※もし気に入っていただけましたら、ポイント、いいね、ブクマ等をお願いします。




