9/98
いともたやすく行われる非日常④
おれらの教室は三階。だから階段を登らなきゃならない。
階段に向かおうと廊下を歩いていると、保健室の前を通りかかった。
扉の前に立っていた白衣に大きなマスクをした女の人が、おれらを見て声をかけてくる。
「ねえ、私きれい?」
「ポマード」
邦彦くんが真顔で言った。
おれはバタバタと扉を閉めて逃げて行った彼女を振り返って、
「ポマードってなに?」
「整髪料の一種らしいぞ。口裂け女はあの手の匂いがダメらしい」
へー、と納得。
また今度探してみようかな、と市販のワックス派のおれは金髪をいじった。
てゆーか、邦彦くん。対処慣れすぎ。
毎日0時に更新します。
※もし気に入っていただけましたら、評価点、ブクマをお願いします。




