決意
それからの俺は猛勉強した。
彼女、お嬢が瑞明高校へ行くと聞いたからだ。授業などろくに出ていなかった俺は基礎から頭に叩き込まねばならなかった。
「なんだ、分からないところがあるのか? ふふ、素直だね忠士は。こちらへおいで、教えてあげよう」
家族も教師も怖がるので、疑問はお嬢に聞くより他になかった。
俺の反応を面白がってからかってくるが、お嬢は俺を怖がらなかった。当然だ、自分より弱い奴を怖がる理由がない。
「撫でるのはやめてください」
「おや、すまない」
力量が上の相手だと思えば、自然と俺の口調は敬語になった。
強者への服従もまた本能だろうか。
「そういえば、どうしてお嬢は人のフリをしているんですか」
苦しくはないのだろうか、本来の自分を殺すのは。
尋ねた時お嬢は少し驚いた顔をした。
「私のは、人の真似事に見えるか」
「え」
「ショックだな……」
「い、いえ、そういう訳では!」
これ見よがしに落ち込んで見せたお嬢は、次の瞬間にはくつくつ笑っていた。
「私は、託された。だから私は『黒名蘭子』を全うせねばならん」
お嬢はそれ以上、俺に自分の話をしてくれなかった。
だが、それがお嬢が大切にしているモノなのだと分かった。
十分だ。
俺はお嬢に、黒名蘭子に尽くそう。
お嬢こそが今の俺の生きる意味なのだから。
結膜下出血で白目が真っ赤になりました。その内血鬼術使えるようになるかも。
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