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うちの学校はおかしい  作者: 駄文職人
伊東忠士の場合

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80/107

肉薄

 口の中で八重歯が伸びるのが分かる。一度剥き出した本能が自由になろうと身体の奥から暴れ出す。


 人を襲え。獲物を喰らえ。

 欲のままに、と。


 それを俺は奥歯を噛み締めて強引に押さえつける。

 それでも一回り大きくなった右腕は止まらず、肘を超えて肩へ向けてメキメキと音を立てて獣のそれへと変貌していく。


 その時、お嬢がそっと後ろから俺の肩を優しく触れた。


「いけるかい、忠士?」


 化け物となった俺に、恐れることなく触れてくれるのはお嬢だけだった。


「……っ! もちろん」


 ならば、持てる全てを彼女に捧げよう。

 俺を人に戻してくれた、唯一の女性(ひと)に。


 俺は(はし)る。


 距離を詰めればすかさず鬼の腕が俺を捕まえようと迫るが、これまでの動きから見て、力こそ強いが鎖に邪魔されて腕はそう早くは動けないことは分かっていた。


 鬼の肌に爪を突き立て、そのまま腕を蹴って前へ肉薄する。


 目指すのは。


「引きずり出させてもらうぞ」


 鬼神を閉じ込めている檻の方だ。


 俺は自分の鉤爪を、祠の屋根めがけて振り下ろした。

毎日7時に更新しています。

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