そして巨人は邂逅する
もうもうと黒い煙が立ち上る。
おかげで部屋の中の様子を外から窺い知ることはできない。
これだけ見ればすわテロかとでも思ってしまいそうな光景。
己たちが駆けつけた時、すでに部室の扉は壊れ、なんとか蝶番一つでぶら下がっているような状態だった。明らかに中から強い衝撃があったと分かる。
これで仮に中に誰かがいたとすれば大怪我は免れない……
「痛たた……うにゃあ、びっくりしたぁ」
「何だってのよ、前回はこんなことなかったのに」
煙の中から二つの人影が起き上がる。
己はとっさに千鶴を背中に隠した。
警戒するこちらをよそに、咳き込みながらも部屋から出てくる。
「っていうか、なんで私ばっかり飛ばされんの!? ふざけんな、あのクマ今度会ったら火炙りにして……って」
向こうもこちらに気が付いて、悪態をつく口を止める。もう一人が「おぉ!」と喜色を滲ませた。
「にゃあ、人だよ、人! ぼくらだけじゃなかった!」
「えぇ……被害拡大してんじゃん。どうすんのよ、これ」
片や諸手を上げて歓喜し、片やゲンナリしたように肩を落として、男子生徒と女子生徒が姿を現したのだった。
ヒナセとメイコの学年を二年から一年に変更しました。
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