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想定外の遭遇
校舎から出ると空間の異様さが際立って見える。
空は暗いのに辺りはよく見える。
暗いというよりは白と黒が色調反転したかのようだ。
そして相変わらず人の気配はない。
グラウンドに出ようと昇降口をくぐったとき、己たちは小鬼の一団に出くわした。
焚き火で煮込んでいる家庭科室から持ち出したらしい鍋の中に、何かを放り込もうとする寸前であった。
「あっ」
小鬼たちも驚いた。
手の中から放り込もうとした何かを鍋の中に取り落とすほどに。
転がり落ちたそれがとても見覚えのあるカラフルな柄をしていた。
「クマぁぁぁ!!!」
絶叫虚しく、クマのストラップは鍋の中に消えていった。
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