呪いのメール
きっかけは、よくあるチェーンメールだった。
『この画像を送られた不幸なあなたは呪われました。呪いを解く方法は簡単です。一時間以内にあなたの知り合い五人に同じ画像を送ってください。放置した場合、あなたは恐ろしくも×××の晩餐に呼ばれることになるでしょう』
普通ならば、恐らくこのような子供騙しのイタズラなど一笑して黙殺するだろう。あるいは面白半分に友達に拡散する者もいるかも知れないが、拡散する方もされる方も本気にする者は一人もいるまい。
しかしながら、普段から怪奇現象を目の当たりにしている瑞明生たちの行動はすみやかだった。
最近掲示板に貼り出されて目につく『お困りごとはコチラへ アヤカシ対策委員会』のポスターに何故かおあつらえ向きにも五人分記載されている連絡先へ向けて、さっさと転送したのだった。
「おい、こないだ作ったフリーメールがパンク寸前なんだが」
「ム……」
「わたしのもです!未読が二百を超えました!」
「まるでDDoS攻撃だ……どうします、お嬢?」
「放っておけ、ブームが過ぎたらすぐに収まる」
委員長の言葉通り、三週間ほどで呪いの画像は送られなくなった。
毎日7時に更新しています。
※もし気に入っていただけましたら、ポイント、いいね、ブクマ等をお願いします。




