校門前の桜
「やはり、解せません」
「いきなり何だ」
「邦彦くん、先日は千鶴さんと連れ立って学内を歩き回っていたそうではありませんか」
「夢堂も一緒だったが?」
「なぜ私も連れて行ってくれなかったのですか!?」
「だから、何を自分も当然誘われるべきだみたいに言ってんだよ!? 委員会活動にお前は関係ねぇだろ!」
拳を握りしめて力説する菜子にやぶにらみの青年が怒鳴る。
だが一切怯むことなく、菜子はいいえと首を振る。
「それをいうなら、千鶴さんはあの時委員ではなかったはず。ということならば、私だって同道する権利があったのでは!?」
「お前面倒くせぇな!?」
「やだやだやだ! 邦彦くんと一緒じゃなきゃやです! 今度置いて行ったら恨みます。ドロドロですよ!」
「駄々っ子!?」
「あのー、菜子ちゃん? 大丈夫? こちらの方呆気に取られてるよ?」
青年にとりすがる菜子は、もう一人のいかにもグレましたとばかりに金髪ピアスをかかげる青年に声をかけられてちらりとこちらを見る。
途端にスカートを正し、背筋を伸ばしていつもの澄まし顔を作る。
「失礼。動揺して現実逃避してしまいました」
「現実逃避……?」
「現実逃避半分、本音半分だったよね……」
こっそりと金髪ピアスとやぶにらみが囁き合う。
聞こえているだろうに、菜子は素知らぬ様子でこちらに向き直る。
「だって、今更校門前で待ち構えられているなんて思わないじゃないですか」
密かに込められたトゲが私の胸を抉る。
まともに菜子顔を合わすのは二年ぶりだ。実に二年の間、私は菜子を放置してきた。
「久しぶり……菜子」
「お久しぶりです。姉さん」
挨拶をすればきちんと返してくれるが。
菜子のこちらを見据える視線はどこか冷ややかだった。
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