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うちの学校はおかしい  作者: 駄文職人
黒名蘭子の場合

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ひそかに●●は舌舐めずりする

 店員に頼んで四人席を作ってもらった私たちはそこに腰を落ち着けた。


「一人カフェ中、お邪魔して悪かったね」

「い、いえっ! 寂しさにもう心が折れかけていたところでしたので!」


 向かいの千鶴くんに謝罪すると、パタパタと手を振った。


 一人カフェ練習に至った事情を聞いてみると、せっかく高校デビューしたのだから、少しは大人になりたい。カフェぐらいは一人で楽しめるぐらい強くなりたい……と、なんとも可愛らしい理由だった。


「高校生で一人カフェ経験者の方が少ないのではないか?」

「私もそうお伝えしたんですが」


 困ったように菜子くんが頬を押さえる。といっても表情はぴくりとも動かない。彼女を知る者でなければ分からないような感情の動き。


 千鶴くんはきっぱりと首を横に振る。


「いえ、これは修行なんです。邦彦さんだって自分を強く保つことが大事だと仰っていました。もう鏡餅はごりごりです」


 まさかの自衛のためだった。


 彼女なりに先日の事件で何かと思うところがあったということだろう。


 実際に一人カフェが修行になるのかどうかは不明だが、彼女自身の認識の問題であるため無粋なことを言うのはやめた。


「それにしても本当に珍しいですね。伊東先輩も連れずにいらっしゃるとは」

「別に奴を連れている訳ではない。私が行くところに奴がついてくるだけだ。

 しかしながら今日に関しては本当にたまたまだな。君らが座っているのを窓から見つけてね。千鶴くんと話がしてみたかったんだが、邦彦くんに紹介を断られてなぁ」

「わたし、ですか?」


 きょとんと千鶴くんが首を傾げる。


 すれ違っても恐らく印象には残らない、実に平凡な高校一年生の少女。

 ()()()()()()()()()()()


 菜子くんは納得したように頷いた。


「あぁ。確かに千鶴さんは黒名先輩の好みかも知れませんね」

「好みどころではない、大好物だ」

「大好物っ!?」


 邦彦くんめ、こんな逸材を私から隠そうなどけしからん。さすがに今度会った時に一言物申さねばならん。


 慄く千鶴くんに、私は机から身を乗り出して言った。





「どうだ、千鶴くん。うちの委員会に所属してみる気はないか?」

毎日7時に更新しています。

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